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第1章
第25話 孤児院と答えの在処
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支部長からの依頼を受けた俺達だが、まだその日までは時間がある。その間に少し行きたい所があったから、アイナを連れてやって来た。
それは市内にある孤児院だ。魔導犯罪に巻き込まれて、両親を失った子供達が居る場所。もしかしたら自分も、孤児になって居たかも知れない。
その思いから、寄付をしたりたまに子供達と遊んだりしている。アイナが不殺を決めた理由を教えてくれた様に、俺が魔導犯罪者に容赦をしない理由を教えたかったから連れて来た。
「あー! 清志兄ちゃんが女連れて来た!」
「待て待て、どこでそんな言い方を覚えた?」
「お姉さんだれー?」
「アイナだよ! よろしくねー」
ゾロゾロと孤児達が集まって来る。職員の方々はどうしても子供達と年齢が離れている。だから俺達の様に、比較的に歳が近い人間に興味津々だ。
特にハーフで美人のアイナは人気らしく、女の子達が群がっている。憧れのお姉さんと言った所だろうか。系統は違うが同じく派手で綺麗な茉莉も、やっぱり人気者だった。
孤児の女の子達にとっては、歳の近いお姉さん達と接する事が出来て嬉しいらしい。小さい子達はそうだが、それなりの年齢になると男でも美人が気になる様だが。
「こら、アイナのスカートを捲ろうとするな」
「いってぇ! 何すんだよ!」
「そう言う事はやったら駄目だ。前にも教えただろ?」
多感な年頃と言うのだろうか。生憎と俺にはそんな時期は無かったが。気になる女の子や大人の女性の気を引きたくて、そう言った行動に出る男の子達が少なからず居た。
見つけ次第注意はしているし、職員からも怒られている筈だ。しかしまだ、どうして駄目なのか良く分かっていないらしい。
中々子供に物事を教えるのは難しいものだ。毎日付き合っている職員の皆さんには頭が下がる。お行儀の良い子達は楽だろうけど、ヤンチャ坊主共はそうは行かない。
もちろん子供が元気なのは良い事だけど、元気過ぎて暴れるのはまた別の問題だ。
「お前ら、先生に迷惑を掛けるなよ?」
「えーーじゃあ代わりに兄ちゃんが遊んでよ」
「ちょっ、お前ら引っ張るな! 制服が伸びる!」
「清志、大人気だね」
女の子達の髪型を弄るアイナが、こちらを見て笑っていた。女の子は比較的に大人しい遊びを好む。対して男の子達は走り回ったりボール遊びを好む。
もちろん全員がそうではないけど、傾向としては概ねそうなる。本当ならこの子達も、両親と幸せに暮らしている筈だった。
それがある日突然奪われて、独りになってしまった。保護されて孤児院に来て、皆と暮らす様になる。当然最初から全員が上手く行くわけじゃない。
今俺の制服を引っ張る男の子も、当初は馴染めなくて大変だった。初めて見た時は、反抗的で荒んだ日々を送っている様だった。
いきなり知らない大人と子供に囲まれて、家とは違う場所での生活を強制されて。その気持ちは理解出来たから、暫く通って声を掛け続けた。
俺も同じ立場だと知ってからは、少しずつ心を開いてくれる様になった。そうしている内に大人達の言う事も聞く様になり、周りの孤児達とも仲良く出来る様になった。
「なぁ、兄ちゃん! 俺もまじゅつしってのになれるかな?」
「うん? そうだな……まだまだ鍛えないと駄目だけど魔力はあるみたいだな」
「そうなの!? 鍛えるってどうやるの!?」
幼稚園生ぐらいの子供にも出来る、簡単な魔力操作を教えてやる事にした。右手から左手まで、魔力の塊を移動させる半分遊びの様なもの。
放出する事が無いので、魔力が切れて倒れる心配もない。暴走する危険もない、最初期に習う訓練方法だ。
嵯峨学園の様なエリート養成施設や、神坂家の様な代々続く魔術師の家系なら幼い頃からやらされる。俺もこうして、両親に教えて貰ったっけ。
今となっては遠い昔の話だ。10年以上前の、神坂家に沢山人が居た頃に良くやっていた。
「あれぇ? 上手く出来ない」
「もっとゆっくりやるんだ、急いだらダメだ」
「清志って、そんな事も教えるの?」
「ん? まあね。素質のある子に教えてるよ」
例え孤児であろうとも、素質があれば魔術師になれる。そして魔術師になれば、孤児であっても良い稼ぎになる。
両親を失ったとしても、幸せになれる未来がある。それを知って欲しいから、こうして暇な時に魔術の基礎を教えている。
この子達の幸せな未来の為に。そう考えながらも、自分に言い聞かせているだけかも知れない。親が居なくなっても、幸せになれる筈だと。俺にも幸せな未来はきっとあるんだと。
「結構楽しかったよ。清志はこれを見せたかったの?」
「……そうだよ。やっぱり俺は許せないんだ。幸せな未来を奪う奴らが」
「そう、ね。それは私も同じだよ」
「アイナが間違ってるとは、今更言わない。ただ、俺にも譲れない事はあるんだ」
アイナの理由も、立派なものだと素直に思えた。似た様な経験をしながらも、残された人達の為に敢えての不殺。
腸が煮えくり返る様な怒りと憎しみを抑えて、殺さずに捕まえる。それはそれで凄い精神力と理性だ。ただどうしても俺には、難しい行為だ。
減らない孤児達の事を考えれば、容赦なく地獄に叩き落としたい。一刻の猶予も与えてやりたくないんだ。
「きっとさ、私達はこの仕事をする限り悩み続けるんだよ」
「アイナ……」
「難しいよね、執行者ってさ」
アイナと出会った事で、改めて自分を見直した面はある。俺のやり方は本当に正しいのかと。その答えはまだ見つからないけど、アイナと居たらいつか見つかる。そんな気がするのは俺の思い違いなのだろうか。
それは市内にある孤児院だ。魔導犯罪に巻き込まれて、両親を失った子供達が居る場所。もしかしたら自分も、孤児になって居たかも知れない。
その思いから、寄付をしたりたまに子供達と遊んだりしている。アイナが不殺を決めた理由を教えてくれた様に、俺が魔導犯罪者に容赦をしない理由を教えたかったから連れて来た。
「あー! 清志兄ちゃんが女連れて来た!」
「待て待て、どこでそんな言い方を覚えた?」
「お姉さんだれー?」
「アイナだよ! よろしくねー」
ゾロゾロと孤児達が集まって来る。職員の方々はどうしても子供達と年齢が離れている。だから俺達の様に、比較的に歳が近い人間に興味津々だ。
特にハーフで美人のアイナは人気らしく、女の子達が群がっている。憧れのお姉さんと言った所だろうか。系統は違うが同じく派手で綺麗な茉莉も、やっぱり人気者だった。
孤児の女の子達にとっては、歳の近いお姉さん達と接する事が出来て嬉しいらしい。小さい子達はそうだが、それなりの年齢になると男でも美人が気になる様だが。
「こら、アイナのスカートを捲ろうとするな」
「いってぇ! 何すんだよ!」
「そう言う事はやったら駄目だ。前にも教えただろ?」
多感な年頃と言うのだろうか。生憎と俺にはそんな時期は無かったが。気になる女の子や大人の女性の気を引きたくて、そう言った行動に出る男の子達が少なからず居た。
見つけ次第注意はしているし、職員からも怒られている筈だ。しかしまだ、どうして駄目なのか良く分かっていないらしい。
中々子供に物事を教えるのは難しいものだ。毎日付き合っている職員の皆さんには頭が下がる。お行儀の良い子達は楽だろうけど、ヤンチャ坊主共はそうは行かない。
もちろん子供が元気なのは良い事だけど、元気過ぎて暴れるのはまた別の問題だ。
「お前ら、先生に迷惑を掛けるなよ?」
「えーーじゃあ代わりに兄ちゃんが遊んでよ」
「ちょっ、お前ら引っ張るな! 制服が伸びる!」
「清志、大人気だね」
女の子達の髪型を弄るアイナが、こちらを見て笑っていた。女の子は比較的に大人しい遊びを好む。対して男の子達は走り回ったりボール遊びを好む。
もちろん全員がそうではないけど、傾向としては概ねそうなる。本当ならこの子達も、両親と幸せに暮らしている筈だった。
それがある日突然奪われて、独りになってしまった。保護されて孤児院に来て、皆と暮らす様になる。当然最初から全員が上手く行くわけじゃない。
今俺の制服を引っ張る男の子も、当初は馴染めなくて大変だった。初めて見た時は、反抗的で荒んだ日々を送っている様だった。
いきなり知らない大人と子供に囲まれて、家とは違う場所での生活を強制されて。その気持ちは理解出来たから、暫く通って声を掛け続けた。
俺も同じ立場だと知ってからは、少しずつ心を開いてくれる様になった。そうしている内に大人達の言う事も聞く様になり、周りの孤児達とも仲良く出来る様になった。
「なぁ、兄ちゃん! 俺もまじゅつしってのになれるかな?」
「うん? そうだな……まだまだ鍛えないと駄目だけど魔力はあるみたいだな」
「そうなの!? 鍛えるってどうやるの!?」
幼稚園生ぐらいの子供にも出来る、簡単な魔力操作を教えてやる事にした。右手から左手まで、魔力の塊を移動させる半分遊びの様なもの。
放出する事が無いので、魔力が切れて倒れる心配もない。暴走する危険もない、最初期に習う訓練方法だ。
嵯峨学園の様なエリート養成施設や、神坂家の様な代々続く魔術師の家系なら幼い頃からやらされる。俺もこうして、両親に教えて貰ったっけ。
今となっては遠い昔の話だ。10年以上前の、神坂家に沢山人が居た頃に良くやっていた。
「あれぇ? 上手く出来ない」
「もっとゆっくりやるんだ、急いだらダメだ」
「清志って、そんな事も教えるの?」
「ん? まあね。素質のある子に教えてるよ」
例え孤児であろうとも、素質があれば魔術師になれる。そして魔術師になれば、孤児であっても良い稼ぎになる。
両親を失ったとしても、幸せになれる未来がある。それを知って欲しいから、こうして暇な時に魔術の基礎を教えている。
この子達の幸せな未来の為に。そう考えながらも、自分に言い聞かせているだけかも知れない。親が居なくなっても、幸せになれる筈だと。俺にも幸せな未来はきっとあるんだと。
「結構楽しかったよ。清志はこれを見せたかったの?」
「……そうだよ。やっぱり俺は許せないんだ。幸せな未来を奪う奴らが」
「そう、ね。それは私も同じだよ」
「アイナが間違ってるとは、今更言わない。ただ、俺にも譲れない事はあるんだ」
アイナの理由も、立派なものだと素直に思えた。似た様な経験をしながらも、残された人達の為に敢えての不殺。
腸が煮えくり返る様な怒りと憎しみを抑えて、殺さずに捕まえる。それはそれで凄い精神力と理性だ。ただどうしても俺には、難しい行為だ。
減らない孤児達の事を考えれば、容赦なく地獄に叩き落としたい。一刻の猶予も与えてやりたくないんだ。
「きっとさ、私達はこの仕事をする限り悩み続けるんだよ」
「アイナ……」
「難しいよね、執行者ってさ」
アイナと出会った事で、改めて自分を見直した面はある。俺のやり方は本当に正しいのかと。その答えはまだ見つからないけど、アイナと居たらいつか見つかる。そんな気がするのは俺の思い違いなのだろうか。
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