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第2章
第69話 船内の調査②
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元々船の上に居る事が多かったからか、それとも面白いネタを見つけたからかアイナは非常に上機嫌だった。
対してホラーが苦手なシャーロットの気分は最悪だった。シャーロットはアイナをライバル視しているが、アイナは同じ英語圏の留学生として彼女を見ている。
だからこうして、アイナはシャーロットを振り回しがちだ。一度模擬戦でやり合ったからと言うのも大きい。
アイナはシャーロットの腕を高く評価しているので、魔術師としても友人としても気に入っていた。
「ねぇ、怖がり過ぎじゃない?」
「貴女が鈍感過ぎるんですわよ!」
「えぇ~そうかなぁ? 怖がる要素が無いと思うけど」
ホラーもグロテスクな表現も平気なアイナは、こんな状況でもいつも通りだ。そもそもアイナはあまり怖がる事がない。
怖いもの知らずと言うよりも、育った環境による影響が大きい。幼い内から様々な経験をして来た事で、耐性が出来てしまっているのだ。
凶悪な犯罪者だけでなく、悪魔や霊と言った存在とも相対して来た。特にアイナの持つ魔力は、その手の存在に滅法強い。
弱い霊ならアイナに触れただけで、保有魔力が霧散して存在を維持出来なくなってしまう。低級の悪魔も似た様なものだ。
「大体おかしいでしょう! こんな状況は!」
「だから調べてるんじゃない」
「この船が幽霊船だったらどうするのですか!」
実在するのかどうか、まだまだ議論が尽きない幽霊船。霊が居るのだから、幽霊船も実在すると考える者も居る。
逆に船を動かすだけの魔力を、ただの霊が保持し続けるのは不可能だと考える者も居る。どちらが正しいとするかは未だに決まらず、決定打にも欠けていた。
シャーロットは前者を支持する側であり、アイナは後者の考え方をしていた。幽霊船で有名なのは、良くある木造の帆船だ。
それが何十年も何百年も、現れたり消えたりする。それを各国の海軍が察知も出来ずに居るとはアイナには思えない。
状況を楽しんでもいるがもし実在するならば、それなりの設備が必要だと冷静な目で事態を見ていた。
「こんな現代的な幽霊船なんてあるかしら?」
「わ、分からないでしょう、そんな事は!」
「そもそも幽霊に船は動かせないんじゃない?」
低級な人間の幽霊が持つ力はたかが知れている。それこそ出来てポルターガイストだ。食器などを動かす程度の力しかない。
こんな巨大な豪華客船を動かせる程となると、元Aランク魔術師達の幽霊が数人は必要となる。その辺りにいる一般人レベルならば、1000人分の幽霊が居ても不可能だ。
それにこの船には明らかに魔道具の類も積まれているし、製造年代的に見て運航には魔力が必要な客船だ。
つまりこの船が幽霊船だと言う可能性は低いと、魔術にも船舶にも詳しいアイナはすぐに見抜いていた。
ただ怖がるシャーロットが面白かったので、わざわざ説明していないだけで。
「大体、霊なら精霊とかも居るじゃない?」
「spiritとghostじゃ別物でしょう!」
「そんなに違いは無いと思うけど」
シャーロットの言い分も最もだが、日本語における霊と言う単語が一番そう言った存在を表現するのに相応しい。
結局はこの世ならざる者達であり、属性が正に向いているか負に向いているかの差しかない。正の属性を持つ魂と魔力の塊が精霊であり、負の属性を持つ魂と魔力の塊が幽霊だ。
前者は幸福な一生を送った生命の魂が昇華された場合。後者は無念に散った未練ある生命の魂が現世にしがみついた場合に発生する。根本的には生命体の魂でしかないのだ。
「そんなんじゃ、悪霊退治とか出来ないでしょ?」
「ゔっ……ま、魔術師にも仕事を選ぶ権利が約束されておりますわ!」
「そっかぁ~じゃあ今回はシャーロットの不戦敗だね」
「なっ!? ひ、卑怯ですわよ!」
何かとライバル視するシャーロットを、ニヤニヤとアイナが笑いながら見つめる。このまま怖がって船を降りるなら、シャーロットの負けだと言われては彼女も引き下がれ無い。
負けず嫌いのシャーロットを、早くもアイナは上手く扱っていた。アイナが上手いと言うよりも、シャーロットが単純と表現した方が正しいのかも知れないが。
いずれにせよ、そんな風に負けをチラつかされては、シャーロットも船を降りるとはもう言え無かった。シャーロットは震えながらも、気丈に振る舞ってみせる。
「い、良いでしょう! 悪霊でも怨霊でも、わ、私が全部凍らせてやりますわ!」
「おっ! 良いねぇ。そう来なくっちゃ」
「あ、あくまで人命優先ですからね! 人助けが優先ですけどね!」
「はいはい」
これだけ騒いでいても誰も現れない。その時点で人間など居ないだろう。海難救助の経験が何度もあるアイナには、経験則から大体は察する事が出来る。
今回の様なケースだと、可能性として高いのは大規模な海賊団が放置したパターンだ。船を盗み船内を物色した後、不要になった船を捨てた。
オチはそんな所だろうなとアイナは考えている。予想に反して本当に幽霊船なら、それはそれで面白いとも思っているが。
どちらにせよ、もう少しシャーロットで遊べそうだなとアイナは楽しそうに笑っていた。
対してホラーが苦手なシャーロットの気分は最悪だった。シャーロットはアイナをライバル視しているが、アイナは同じ英語圏の留学生として彼女を見ている。
だからこうして、アイナはシャーロットを振り回しがちだ。一度模擬戦でやり合ったからと言うのも大きい。
アイナはシャーロットの腕を高く評価しているので、魔術師としても友人としても気に入っていた。
「ねぇ、怖がり過ぎじゃない?」
「貴女が鈍感過ぎるんですわよ!」
「えぇ~そうかなぁ? 怖がる要素が無いと思うけど」
ホラーもグロテスクな表現も平気なアイナは、こんな状況でもいつも通りだ。そもそもアイナはあまり怖がる事がない。
怖いもの知らずと言うよりも、育った環境による影響が大きい。幼い内から様々な経験をして来た事で、耐性が出来てしまっているのだ。
凶悪な犯罪者だけでなく、悪魔や霊と言った存在とも相対して来た。特にアイナの持つ魔力は、その手の存在に滅法強い。
弱い霊ならアイナに触れただけで、保有魔力が霧散して存在を維持出来なくなってしまう。低級の悪魔も似た様なものだ。
「大体おかしいでしょう! こんな状況は!」
「だから調べてるんじゃない」
「この船が幽霊船だったらどうするのですか!」
実在するのかどうか、まだまだ議論が尽きない幽霊船。霊が居るのだから、幽霊船も実在すると考える者も居る。
逆に船を動かすだけの魔力を、ただの霊が保持し続けるのは不可能だと考える者も居る。どちらが正しいとするかは未だに決まらず、決定打にも欠けていた。
シャーロットは前者を支持する側であり、アイナは後者の考え方をしていた。幽霊船で有名なのは、良くある木造の帆船だ。
それが何十年も何百年も、現れたり消えたりする。それを各国の海軍が察知も出来ずに居るとはアイナには思えない。
状況を楽しんでもいるがもし実在するならば、それなりの設備が必要だと冷静な目で事態を見ていた。
「こんな現代的な幽霊船なんてあるかしら?」
「わ、分からないでしょう、そんな事は!」
「そもそも幽霊に船は動かせないんじゃない?」
低級な人間の幽霊が持つ力はたかが知れている。それこそ出来てポルターガイストだ。食器などを動かす程度の力しかない。
こんな巨大な豪華客船を動かせる程となると、元Aランク魔術師達の幽霊が数人は必要となる。その辺りにいる一般人レベルならば、1000人分の幽霊が居ても不可能だ。
それにこの船には明らかに魔道具の類も積まれているし、製造年代的に見て運航には魔力が必要な客船だ。
つまりこの船が幽霊船だと言う可能性は低いと、魔術にも船舶にも詳しいアイナはすぐに見抜いていた。
ただ怖がるシャーロットが面白かったので、わざわざ説明していないだけで。
「大体、霊なら精霊とかも居るじゃない?」
「spiritとghostじゃ別物でしょう!」
「そんなに違いは無いと思うけど」
シャーロットの言い分も最もだが、日本語における霊と言う単語が一番そう言った存在を表現するのに相応しい。
結局はこの世ならざる者達であり、属性が正に向いているか負に向いているかの差しかない。正の属性を持つ魂と魔力の塊が精霊であり、負の属性を持つ魂と魔力の塊が幽霊だ。
前者は幸福な一生を送った生命の魂が昇華された場合。後者は無念に散った未練ある生命の魂が現世にしがみついた場合に発生する。根本的には生命体の魂でしかないのだ。
「そんなんじゃ、悪霊退治とか出来ないでしょ?」
「ゔっ……ま、魔術師にも仕事を選ぶ権利が約束されておりますわ!」
「そっかぁ~じゃあ今回はシャーロットの不戦敗だね」
「なっ!? ひ、卑怯ですわよ!」
何かとライバル視するシャーロットを、ニヤニヤとアイナが笑いながら見つめる。このまま怖がって船を降りるなら、シャーロットの負けだと言われては彼女も引き下がれ無い。
負けず嫌いのシャーロットを、早くもアイナは上手く扱っていた。アイナが上手いと言うよりも、シャーロットが単純と表現した方が正しいのかも知れないが。
いずれにせよ、そんな風に負けをチラつかされては、シャーロットも船を降りるとはもう言え無かった。シャーロットは震えながらも、気丈に振る舞ってみせる。
「い、良いでしょう! 悪霊でも怨霊でも、わ、私が全部凍らせてやりますわ!」
「おっ! 良いねぇ。そう来なくっちゃ」
「あ、あくまで人命優先ですからね! 人助けが優先ですけどね!」
「はいはい」
これだけ騒いでいても誰も現れない。その時点で人間など居ないだろう。海難救助の経験が何度もあるアイナには、経験則から大体は察する事が出来る。
今回の様なケースだと、可能性として高いのは大規模な海賊団が放置したパターンだ。船を盗み船内を物色した後、不要になった船を捨てた。
オチはそんな所だろうなとアイナは考えている。予想に反して本当に幽霊船なら、それはそれで面白いとも思っているが。
どちらにせよ、もう少しシャーロットで遊べそうだなとアイナは楽しそうに笑っていた。
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