死神の神子と魔弾の機工士

ナカジマ

文字の大きさ
80 / 184
第2章

第80話 下層エリアへの到達

しおりを挟む
 清志せいじ達一行は、アドベンチャー号の捜索を進めていた。中層辺りから更に下へと降りて行く。
 このアドベンチャー号は、第1デッキから第10デッキまである合計10のエリアで分かれている。
 第1デッキから第4デッキまでが喫水線の下にあり、船底の重要な施設が集中している。
 その船底エリアとしては最初のエリアになる第4デッキに到着した清志達だったが、そこからは明らかに雰囲気が違った。船内というよりは、むしろ研究施設の様な雰囲気がある。

「何だ? ここは一体……」

「船……だよねぇ?」

「へぇ……この先は妨害が更に強力みたいね」

 黄泉津大神よもつおおかみの発言を受けて、清志は試しに探知系魔術を使用してみる。すると数メートル先すらもう探知する事が出来ない。
 幾ら得意分野ではないと言っても、清志はSランク魔術師である。専門外とは言え、ある程度なら魔力量でゴリ押す事も本来なら出来る。
 しかしそれすらも出来ないとなると、この先は色々と厄介な場所だと言える。待ち伏せに注意しないと、不意を突かれる可能性がある。
 より一層の警戒が必要になると、清志は愛花あいかと視線を交わして頷き合う。これまでの船内とは違い、真っ白で病院の廊下みたいな空間を進んでいく。

「電子ロック、か?」

「もう壊れちゃっているね」

「……進もう」

 カードキーを使用するタイプの端末が壁に設置されているが、自動ドアは破損して片方が完全に破壊されていた。
 本来であればここから先は、特別な権限を持っていないと入れないエリアだ。当然そんなモノを清志達は持っていないが、もうこれは事件の捜査である。
 魔導協会に所属する魔術師が持つ捜査権を理由にすれば、この行為は不法侵入には当たらない。
 破損した自動ドアを潜った先には、またしても白い通路が続いている。通路の左右には個室があるらしいので、入れる部屋がないか確認していく。
 ロックが掛かっている部屋もあるが、全ての部屋に入れない訳ではない様だ。

「ここって居住エリアなのかな?」

「見た感じそうっぽいけど、船に人が住んでいるのか?」

「物好きな人達だった、とか?」

 鍵の開いていた部屋の幾つかを見る限り、室内は居住用と思われる構造になっている。上の階にあった客室とは違って、明らかに人が住む為の造りになっている。
 客室の様に簡易キッチンではなく、しっかりとした家庭用が用意されている。冷蔵庫のサイズも大きく、洗濯機まで置かれていた。
 風呂場もしっかりとしており、浴室乾燥も可能となっている。これだけ充実していると、旅行客用とは思えない。
 しかし豪華客船になぜそんな部屋が必要なのか、清志達には理解出来ない。長期滞在の富裕層向けとしては豪華さが足りず家庭的過ぎる。
 そもそも長期滞在者向けなら、もっと景色が良い上のエリアに設けるだろう。

「敵の事もある、個室は無視して広い部屋を探そう」

「こんな所で戦うのはゴメンだよ」

「似た様な扉は全部無視してしまおう」

 清志達は警戒しつつも、探索の足を速める。似た様な個室が並んでいるので、その全てを無視して進む。
 下手に開けて、室内にイソギンチャク頭でも居たら面倒だからだ。中層を探索中は、そう言った出来事がたまにあった。
 耳も無いのに何を頼りに集まって来るのかは不明ながら、一度戦闘が始まると周囲から集まってくる生態があるらしい事は判明している。
 余計な手間を増やさない為にも、藪の中に手を突っ込む様な真似はしない。曲がり角でばったり、という可能性に注意しつつ先に進むと更に下へと続く階段が見つかった。

「この階はもう良いか」

「一応平和だったしね」

「この先に一体何があるんだ……」

 余計な探索はしなかったので、特に何も起きる事なく第4デッキは終了した。第3デッキへと向かう為の階段を清志達は降りていく。
 第3デッキに降りると、今度は広い部屋が多くある様だった。扉と扉の間隔がかなり広くなっており、ガラス張りの部屋も複数確認された。
 今度はじっくり調べる価値が有りそうなエリアである。しかし残念ながらそう事は上手く運んではくれない。
 第3デッキに入るなり早速イソギンチャク頭達、SG03の群れがエリア中を闊歩していた。
 そして当然ながら、降りて来た清志達に反応を示す。耳もなければ目も無いというのに、素早い反応を見せた。

「うえぇ、またぁ!?」

「来るぞ姫島ひめじま!」

「来なくて良いよぉ!」

 再び襲来した生物兵器達が、清志達へと殺到する。単体での戦闘能力は低いが、とにかく無駄に数が多い。
 死体があれば増殖出来るのは既に清志達は見て知っているが、その大元がどこに居るのかは今も不明なままだ。
 感染源とでもいうべき存在を倒すか、この船にある死体分を全て倒すか。もうそのどちらかを選ぶしかないのだろう。

 迫り来る敵の群れに向かって清志が先行して突っ込む。通路を広々と使い、大鎌で纏めて頭部を斬り飛ばす。
 突き進んで来る複数の触手を躱しながら、敵集団の中心で巨大な刃を振り回し一気に処理を進める。
 清志が暴れるだけで一気に敵の数が減る。

「頑張れー!」

「サボるな姫島!」

「はぁ、分かりましたよ」

 このまま清志が殲滅してくれないかなと、小さな声で応援していた愛花だったがちゃんとバレていたらしい。仕方なく、嫌々ながらも愛花は参戦しする事にした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【俺たちが飛ばされた魔物島には恐ろしいモンスターたちが棲みついていた――!?】 ・コミュ障主人公のレベリング無双ファンタジー! 十九歳の男子学生、柴木善は大学の入学式の最中突如として起こった大地震により気を失ってしまう。 そして柴木が目覚めた場所は見たことのないモンスターたちが跋扈する絶海の孤島だった。 その島ではレベルシステムが発現しており、倒したモンスターに応じて経験値を獲得できた。 さらに有用なアイテムをドロップすることもあり、それらはスマホによって管理が可能となっていた。 柴木以外の入学式に参加していた学生や教師たちもまたその島に飛ばされていて、恐ろしいモンスターたちを相手にしたサバイバル生活を強いられてしまう。 しかしそんな明日をも知れぬサバイバル生活の中、柴木だけは割と快適な日常を送っていた。 人と関わることが苦手な柴木はほかの学生たちとは距離を取り、一人でただひたすらにモンスターを狩っていたのだが、モンスターが落とすアイテムを上手く使いながら孤島の生活に順応していたのだ。 そしてそんな生活を一人で三ヶ月も続けていた柴木は、ほかの学生たちとは文字通りレベルが桁違いに上がっていて、自分でも気付かないうちに人間の限界を超えていたのだった。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

ダンジョントランスポーター ~ 現代に現れたダンジョンに潜ったらレベル999の天使に憑依されて運び屋になってしまった

海道一人
ファンタジー
二十年前、地球の各地に突然異世界とつながるダンジョンが出現した。 ダンジョンから持って出られるのは無機物のみだったが、それらは地球上には存在しない人類の科学や技術を数世代進ませるほどのものばかりだった。 そして現在、一獲千金を求めた探索者が世界中でダンジョンに潜るようになっていて、彼らは自らを冒険者と呼称していた。 主人公、天城 翔琉《あまぎ かける》はよんどころない事情からお金を稼ぐためにダンジョンに潜ることを決意する。 ダンジョン探索を続ける中で翔琉は羽の生えた不思議な生き物に出会い、憑依されてしまう。 それはダンジョンの最深部九九九層からやってきたという天使で、憑依された事で翔は新たなジョブ《運び屋》を手に入れる。 ダンジョンで最強の力を持つ天使に憑依された翔琉は様々な事件に巻き込まれていくのだった。

処理中です...