死神の神子と魔弾の機工士

ナカジマ

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第2章

第88話 状況の整理

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 真嶋まじまの後を追った事で判明した新たな情報。それはまだ彼が単独でレヴィアタンの研究を続けていると言う事。
 そして単に彼を捕まえただけでは、この事態は解決しない事も分かった。

 これは一旦真嶋を追い掛けるよりも、他メンバーとの合流をした方が良いと判断した清志せいじとアイナは、シャーロット達と連絡を取った。
 丁度イソギンチャク頭の親玉、SG03の母体とでも言うべき存在の処理は済んだ所だったらしい。
 それと同時に再び少女の幽霊が姿を現した話も共有された。

「分かった。一旦第3デッキの中央研究室で合流しよう」

『オッケー! じゃあまた後でね』

「何があるか分からないから気を付けろよ」

 出来れば諜報に長けた亮二りょうじ茉莉まりのコンビとも合流をしたい所ではある。ただ2人が本気で潜入捜査モードに入ると、付き合いの長い清志でも見つけるのは難しい。
 恐らくは2人も似た様な情報を掴んで、船内に探りを入れているのは間違いないだろう。

 もしかすると清志達4人よりも、更に詳しい情報を掴んでいても不思議ではない。
 こんな状況は彼らにとって非常に向いている現場だ。ろくな警備もないのだから、探りたい放題である。
 諜報が得意とは言えない清志達だけでも、これだけの情報を掴めたぐらいだ。

「それにしても困ったわね」

「ああ。真嶋を捕まえるよりも、レヴィアタンをどうにかする方が先かもな」

「幽霊に関しても分からないままだものね」

 異界に取り込まれた当初はその理由が幽霊の可能性であると疑ったが、どうもそうではなく神話生物が原因と判明した。
 だがそれだけとも限らず、下手をするとアドベンチャー号で亡くなった人々の霊も関わっている可能性がある。その場合は非常に厄介な状況にあると言える。

 相当数の人間が亡くなっているのは確実で、彼らの怨霊や怨念も絡んでいた場合は除霊も必要となって来る。
 除霊については清志と黄泉津大神よもつおおかみで対応可能だが、規模が不明であるのと集まっている場所を突き止める必要がある。
 最悪のパターンだと、レヴィアタンに対処しつつの除霊作業になる。同時進行になりSランクが1人参戦出来ないのは辛い所だ。

「そう言えば、今更だけどヘンリーはどうしたんだ?」

「あ~。この前の事件で酷使したからね。今は工房で休眠中よ」

「精霊にあの規模の魔術は確かに酷か」

 開発者が精霊となって、アンティークのデリンジャーに宿った精霊銃。アイナの戦闘をサポートしている年老いた精霊は現在眠りについている。
 流石に人型巨大兵器を作成する程の大魔術を、ただの精霊が補佐するとなると負担が大きいのだ。

 存在が消滅する程の消耗ではないが、場合によっては数ヶ月ほど休眠状態になる。
 今回は清志というパートナーが居たお陰でその負担も少なかったが、過去には1年以上休眠していた事もある。
 これは神子である清志と黄泉津大神には無い関係性だ。無理やり人造のSランクとなったアイナには、単なる精霊ではやや力不足なのである。
 それでも長年どうにかして一緒にやって来たのだ。大切な相棒であり、祖父の様な存在だ。

「まあおじいちゃんだしね」

「老人は労わってやりなよ」

「これでも十分労わっているわよ」

 2人の関係は少々特殊である。アイナの始まりでもあり、実の父親とも関係がある特別な存在である。
 ただそれは彼女の過去に大きく関わるものであり、流石にこの状況でのんびりと説明している場合ではない。
 大体清志と仲良くなったとは言え、まだ全てを打ち明けられる程の関係とは言えない。

 だからこそアイナは適当にこの話を切り上げて、愛花達との合流を急ぐ。清志も必要以上に突っ込むつもりがないので、今回の事件についての話題に戻る。
 到着した目的の研究室で色々と考察を話し合いながら、愛花あいか達の到着を待っていると2人が姿を現す。

「幽霊ですわ幽霊ですわ幽霊ですわ」

「ちょっと、どしたのシャーロット?」

「ははは、いやぁ幽霊を見てからずっとこうで」

 生理的に受け付けない敵との戦闘から解放された愛花は生き生きとしている。
 逆に苦手な幽霊を間近で見てしまったシャーロットが、今度は使い物にならない感じになっている。
 本来有能な2人であるのだが、今回は運が悪く少々面白い感じになってしまっている。

 一旦シャーロットはそのまま放置して、3人で今後について話合う事にする。お互いに詳しい情報を交換し合い、対策について協議を始める。
 真嶋とレヴィアタン、そして他にも居るであろう幽霊達。複合的な問題が起きている状況なので、順番にクリアする必要がある。

「あの子、何か言いたそうだったんだよね」

「霊のメッセージは案外馬鹿にならないんだよな」

「解決のヒントになる事もあるものね」

 魔導犯罪の調査に於いて、幽霊のメッセージは大きな意味を持つ。分かり易い例で言えば犯人の顔を見ていると言った様なケースだ。
 今回も姿を見せた少女の霊に何かの意図があるのであれば、或いは真嶋の捜索よりも価値が高い可能性がある。

 事件の全容を知らずに動き回るよりも、何かを知っている可能性のある幽霊の少女と仲間達を探す方向で方針が決まった。
 真嶋については、大体居そうな場所を既に確認済みである。そちらは一旦保留とし、今度は4人で幽霊への対処を開始した。
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