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第2章
第97話 現世に現れしモノ
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アドベンチャー号にて清志達が真嶋の確保に動き出す少し前。異界の外ではワタツミの主任研究員である葛木美咲が清志達を捜索していた。
海上保安庁からの救援も次々と到着して大規模な調査へと発展している。美咲達からの報告により、魔導協会も調査に参加を表明していた。
急遽派遣されたA級魔術師が、数名ほど本土からヘリで向かっている最中だ。更に近海で演習を予定していた米海軍からも協力要請が入って来ている。
当初の予定はただの海洋調査だったにも関わらず、随分と大きな話へ変化していっていた。
「葛木主任、これを見て下さい!」
「ええ……これは、どう言う事?」
「つい先ほどから、観測データに変化が起きておりまして」
美咲の下に届けられたデータの数々から、ハッキリとはしないが何か大きな反応が近くにあるのが分かる。
ただその反応は微弱であり、観測機器のエラーだと言えなくもない。だがワタツミ所属の船舶が搭載している機器はどれも最新式である。
ここで単なる誤反応と決めつけてしまうのは早計だろう。データを見る限りでは、豪華客船1隻分程度の質量を示している。
状況から考えれば、探しているお目当てである可能性が捨てきれない。ただ問題なのは、本当にこんな質量が近くにあるなら他の船と衝突している筈だと言う点だ。
「本当にここにあるって言うの?」
「データ上では、そうなります、ね」
「現代に幽霊船だなんて馬鹿げた話が……まさか」
ふと思い当たった可能性を確認する為、美咲は観測機器の下へと走る。突然の事に驚いていた研究員も美咲の後を追い掛ける。
操舵室に飛び込んで来た美咲に船長達が驚いているが、彼らを無視して美咲はコンソールを操作する。
ソナーや電波、そして魔力の反応など様々な角度から観測を続ける。
暫く操作を続けていた美咲は、自分の考えが当たっている可能性を確認して周囲に指示を出す。
もしこの予測が正しいのであれば、周辺に居る各艦に注意を促さねばならない。
半ば確信に近いものを得た美咲の行動は早かった。
「船長! 急いで海上保安庁の船舶に連絡を!」
「そりゃ構いませんが……」
「急いで! あと貴方、怪異に詳しい学生を呼んで来て!」
美咲が思い至ったのは、異界化した幽霊船になっている可能性だ。
大昔の帆船時代と違って、海難事故に遭う確率は低く幽霊船になる可能性は低い。
仮に海難事故にあったとしても、最近の船舶であれば十分脱出は可能である。
魔術を利用している船ならば、尚更安全だ。余程の事が無ければ死者の出る海難事故なんて起こらない。
だがもし、その有り得ない事態が起きてしまったのであれば。
現代の技術で作られた安心な船舶でも乗り越えられない事故に遭ったとしたら。
非現実的だと切って捨てた幽霊船説が本当であるなら、色々と状況に説明が出来る。
美咲は自身の予測を海上保安庁の責任者に伝えつつ、嵯峨学園の生徒がやって来るのを待つ。
「あの、お呼びだと聞いたのですけど」
「良い所に来てくれたわね! 貴女の得意魔術は?」
「陰陽術です。あとエクソシズムについてもある程度」
「適任ね! このデータを見て貰える?」
美咲が示した観測データとその予測を、操舵室にやって来た女子学生に提示する。
連れて来られた生徒は、清志達と同じクラスの成績優秀者だ。流石に清志やアイナに匹敵する領域にはおらず、Aランクの魔術師に過ぎない。
しかし清志達と同じクラスに所属出来るだけの実力は持ち合わせている。
提示されたデータから正確に読み取った女子生徒は、アドベンチャー号が異界化に巻き込まれている可能性が高いと判断を下した。
急に反応が出始めた原因は不明であるものの、恐らく清志達が何かした影響であるとの補足も付いた。
「うちのクラスでも特に優秀な6人ですから、脱出の方法を見つけたかも知れません」
「もしそうだとしたら、ここに直接?」
「はい。突然現世に出て来る可能性は高いです」
周辺海域を調査する為に、複数の船舶が周囲に集まっている。
もしこの状況でアドベンチャー号クラスの大型船が突然現れたら、複数の船を巻き込む大事故になるのは確実だ。
急いで周囲を航行中の船舶に向けて、美咲は注意喚起を行う。会話を聞いていた海上保安庁の責任者も、大急ぎで指示を飛ばす。
急に騒がしくなった現状に、疑問符を浮かべながらも船員達は行動を開始する。
進路の変更に船速の上昇、ボートで海上に出ているダイバー達への帰還指示。
慌ただしくなり始めた美咲達の下へ、更なる混乱を齎す事態が起こる。
「質量反応上昇中!」
「まさか!? もう出て来るって言うの!?」
「総員、何かに捕まれ!!」
異界からの脱出を目指していた清志達が、早くも戻って来たのかと思われた。
しかし徐々に漂い始めた海霧の中には、明らかに豪華客船よりも大きな影が見えていた。
天まで届く塔でも出現したかと思われた巨大な影、それは伝説と思われていた神話生物。
50メートルを超える巨体を誇るレヴィアタンが、消えたアドベンチャー号と共にその姿を現世に現した。
海上保安庁からの救援も次々と到着して大規模な調査へと発展している。美咲達からの報告により、魔導協会も調査に参加を表明していた。
急遽派遣されたA級魔術師が、数名ほど本土からヘリで向かっている最中だ。更に近海で演習を予定していた米海軍からも協力要請が入って来ている。
当初の予定はただの海洋調査だったにも関わらず、随分と大きな話へ変化していっていた。
「葛木主任、これを見て下さい!」
「ええ……これは、どう言う事?」
「つい先ほどから、観測データに変化が起きておりまして」
美咲の下に届けられたデータの数々から、ハッキリとはしないが何か大きな反応が近くにあるのが分かる。
ただその反応は微弱であり、観測機器のエラーだと言えなくもない。だがワタツミ所属の船舶が搭載している機器はどれも最新式である。
ここで単なる誤反応と決めつけてしまうのは早計だろう。データを見る限りでは、豪華客船1隻分程度の質量を示している。
状況から考えれば、探しているお目当てである可能性が捨てきれない。ただ問題なのは、本当にこんな質量が近くにあるなら他の船と衝突している筈だと言う点だ。
「本当にここにあるって言うの?」
「データ上では、そうなります、ね」
「現代に幽霊船だなんて馬鹿げた話が……まさか」
ふと思い当たった可能性を確認する為、美咲は観測機器の下へと走る。突然の事に驚いていた研究員も美咲の後を追い掛ける。
操舵室に飛び込んで来た美咲に船長達が驚いているが、彼らを無視して美咲はコンソールを操作する。
ソナーや電波、そして魔力の反応など様々な角度から観測を続ける。
暫く操作を続けていた美咲は、自分の考えが当たっている可能性を確認して周囲に指示を出す。
もしこの予測が正しいのであれば、周辺に居る各艦に注意を促さねばならない。
半ば確信に近いものを得た美咲の行動は早かった。
「船長! 急いで海上保安庁の船舶に連絡を!」
「そりゃ構いませんが……」
「急いで! あと貴方、怪異に詳しい学生を呼んで来て!」
美咲が思い至ったのは、異界化した幽霊船になっている可能性だ。
大昔の帆船時代と違って、海難事故に遭う確率は低く幽霊船になる可能性は低い。
仮に海難事故にあったとしても、最近の船舶であれば十分脱出は可能である。
魔術を利用している船ならば、尚更安全だ。余程の事が無ければ死者の出る海難事故なんて起こらない。
だがもし、その有り得ない事態が起きてしまったのであれば。
現代の技術で作られた安心な船舶でも乗り越えられない事故に遭ったとしたら。
非現実的だと切って捨てた幽霊船説が本当であるなら、色々と状況に説明が出来る。
美咲は自身の予測を海上保安庁の責任者に伝えつつ、嵯峨学園の生徒がやって来るのを待つ。
「あの、お呼びだと聞いたのですけど」
「良い所に来てくれたわね! 貴女の得意魔術は?」
「陰陽術です。あとエクソシズムについてもある程度」
「適任ね! このデータを見て貰える?」
美咲が示した観測データとその予測を、操舵室にやって来た女子学生に提示する。
連れて来られた生徒は、清志達と同じクラスの成績優秀者だ。流石に清志やアイナに匹敵する領域にはおらず、Aランクの魔術師に過ぎない。
しかし清志達と同じクラスに所属出来るだけの実力は持ち合わせている。
提示されたデータから正確に読み取った女子生徒は、アドベンチャー号が異界化に巻き込まれている可能性が高いと判断を下した。
急に反応が出始めた原因は不明であるものの、恐らく清志達が何かした影響であるとの補足も付いた。
「うちのクラスでも特に優秀な6人ですから、脱出の方法を見つけたかも知れません」
「もしそうだとしたら、ここに直接?」
「はい。突然現世に出て来る可能性は高いです」
周辺海域を調査する為に、複数の船舶が周囲に集まっている。
もしこの状況でアドベンチャー号クラスの大型船が突然現れたら、複数の船を巻き込む大事故になるのは確実だ。
急いで周囲を航行中の船舶に向けて、美咲は注意喚起を行う。会話を聞いていた海上保安庁の責任者も、大急ぎで指示を飛ばす。
急に騒がしくなった現状に、疑問符を浮かべながらも船員達は行動を開始する。
進路の変更に船速の上昇、ボートで海上に出ているダイバー達への帰還指示。
慌ただしくなり始めた美咲達の下へ、更なる混乱を齎す事態が起こる。
「質量反応上昇中!」
「まさか!? もう出て来るって言うの!?」
「総員、何かに捕まれ!!」
異界からの脱出を目指していた清志達が、早くも戻って来たのかと思われた。
しかし徐々に漂い始めた海霧の中には、明らかに豪華客船よりも大きな影が見えていた。
天まで届く塔でも出現したかと思われた巨大な影、それは伝説と思われていた神話生物。
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