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第2章
第100話 巨大生物との戦い
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アイナがレヴィアタンの体内に突入した後も、清志達は猛攻を凌ぎ続けていた。
船体に叩きつけられた太い触腕により、アドベンチャー号の一部がボロボロになっていた。
最上階にあったプールが破損して、中の水が全て流れ落ちている。ヘリポートは完全に使い物にならず、真水を循環させているタンクは吹き飛んで海中に消えた。
50メートルもの巨体から繰り出される一撃は重く、油断していたら大怪我では済まない。
純粋な質量による攻撃になるので、幾らSランクと言えど清志とてまともに受け止めたくはない。
不可能ではないとしても、労力が半端ではない。避け切れない時の最終手段としては有りでも、出来るだけ回避に徹した方が吉だ。
当然清志ですらこうなのだから、他のメンバーも同様である。清志から少し離れた位置、第7デッキに退避していたシャーロットと愛花に向けて触腕が振るわれる。
「またですの!? 勘弁して下さらない!?」
「良いから早く逃げるよ!」
またしても船体を襲う衝撃と、舞い上がる土煙。
清志は2人の実力を知っているので、まさか被弾するとは考えていない。それでも安否の確認だけはしておかねばならない。
「大丈夫か二人共!」
突入したアイナが事を済ませるまで、レヴィアタンに対する攻撃は下手に出来ない。外に残ったメンバーで、上手く躱し続けるしかない。
触腕の軌道を逸らす為の一撃程度なら行うにしても、斬り落とすレベルの攻撃は控えている。
どうにも興奮状態にある様に見受けられ、今の段階でそこまでの攻撃をする訳にもいかない。
方法は分からないが、どうにか落ち着かせる必要がある。その為には一番理解している真嶋の存在が必要だった。
長引く戦いに、戦闘よりも諜報派の亮二と茉莉から苦情が出る。
「早くしてよアイナー!!」
「俺達は肉体労働タイプじゃねぇって!」
「多分もう少しで戻ってくるから、我慢してくれ!」
2人はちゃんと戦闘能力を有してはいる。ただこんな派手にドンパチをするには準備不足だ。
流石にこの規模の戦闘までを考慮に入れていなかったので、十分な装備を持って来ていない。
フル装備になるにはホテルまで戻らないといけなかった。今の手持ちでこんな怪獣大戦争もかくやと言う戦いは厳しい。
清志達はアイナがすぐ戻って来ると考えているが、彼らはレヴィアタンの体内がどうなっているかを知らない。
異界化したレヴィアタンの胃袋の中で、アイナは今も戦闘を続けている。それ故に思っていたより時間が掛かっている様に清志達は感じてしまう。
「あの小娘、消化されたのかしら?」
「縁起でもない事を言うな!」
「でもまだ出て来ないわよ?」
飄々とした態度で黄泉津大神が指摘する。死神様は軽々とレヴィアタンの攻撃を躱しながら、クスクスと笑っている。
一応は清志のパートナーとして認めはしたものの、相変わらず姑ムーブは怠らない。
更なる破壊が進む中で、黄泉津大神だけは余裕の表情だ。この中で黄泉津大神だけは人間ではなく、そもそも本体がここにはない。
神子を介して現世に出現しているだけの端末に過ぎない。仮に直撃を喰らったとしても大した不都合はないのだ。
何よりレヴィアタンは西洋の神々が生み出した神話生物で、日本の死神に過ぎない黄泉津大神には何ら関係がない。
無許可で殺す様な真似はしないが、彼女としてはどうでも良い。黄泉の国に影響が出なければそれで良いのだから。
「これは、中で何かあったのか?」
「さあ? あの鯨については良く知らないわ」
「お前だって神だろ!?」
清志は思わず抗議をするが、本当に知らないのだから仕方がない。正確に言えば興味が無かったから覚えていないのだ。
元夫への恨みと、人間への怨嗟を吐き出す女神に期待する事ではない。ちゃんとした神であれば、レヴィアタンの事を知っているし、その存在目的も知っている。
有事の際に生物を滅びから守る箱舟としての役割。そんな使命を託された存在は幾つかこの世界に存在している。
本来それは神々の間で共有されている情報である。だが黄泉津大神の様に、癖の強い神には覚えていない者も少なくない。
そもそもいい加減な神自体が結構多いのは、良い点と見るべきか欠点として見るべきか。ある程度ザルであるからこそ生き易い面もあるにはある。
「クソっ! 俺も行った方が良いか?」
「アナタまで行ったら私達の負担が増えてしまいますわ!?」
「そうだよ! もうちょっと待ってみようよ!」
自分もアイナの応援に行くべきかと清志は考えたが、近くまで来ていたシャーロット達に反対されてしまった。
この場における最高戦力は清志と黄泉津大神であり、2人が行ってしまえば彼女達の言う通り残るメンバーの負担が増える。
流石にAランク魔術師が4人揃っているとは言っても、討伐を禁じられたまま清志が抜けるのは厳しい。
倒してしまっても良いならまだ何とかなるが、そうで無いのだからどうにもならない。
そもそも神話生物をAランク魔術師に殺せるのかと言う問題もあるのだが。
そんなどうにもならない現状を嚙み締めつつ、清志達はアイナの帰還を待ちつつ対処を続けた。
船体に叩きつけられた太い触腕により、アドベンチャー号の一部がボロボロになっていた。
最上階にあったプールが破損して、中の水が全て流れ落ちている。ヘリポートは完全に使い物にならず、真水を循環させているタンクは吹き飛んで海中に消えた。
50メートルもの巨体から繰り出される一撃は重く、油断していたら大怪我では済まない。
純粋な質量による攻撃になるので、幾らSランクと言えど清志とてまともに受け止めたくはない。
不可能ではないとしても、労力が半端ではない。避け切れない時の最終手段としては有りでも、出来るだけ回避に徹した方が吉だ。
当然清志ですらこうなのだから、他のメンバーも同様である。清志から少し離れた位置、第7デッキに退避していたシャーロットと愛花に向けて触腕が振るわれる。
「またですの!? 勘弁して下さらない!?」
「良いから早く逃げるよ!」
またしても船体を襲う衝撃と、舞い上がる土煙。
清志は2人の実力を知っているので、まさか被弾するとは考えていない。それでも安否の確認だけはしておかねばならない。
「大丈夫か二人共!」
突入したアイナが事を済ませるまで、レヴィアタンに対する攻撃は下手に出来ない。外に残ったメンバーで、上手く躱し続けるしかない。
触腕の軌道を逸らす為の一撃程度なら行うにしても、斬り落とすレベルの攻撃は控えている。
どうにも興奮状態にある様に見受けられ、今の段階でそこまでの攻撃をする訳にもいかない。
方法は分からないが、どうにか落ち着かせる必要がある。その為には一番理解している真嶋の存在が必要だった。
長引く戦いに、戦闘よりも諜報派の亮二と茉莉から苦情が出る。
「早くしてよアイナー!!」
「俺達は肉体労働タイプじゃねぇって!」
「多分もう少しで戻ってくるから、我慢してくれ!」
2人はちゃんと戦闘能力を有してはいる。ただこんな派手にドンパチをするには準備不足だ。
流石にこの規模の戦闘までを考慮に入れていなかったので、十分な装備を持って来ていない。
フル装備になるにはホテルまで戻らないといけなかった。今の手持ちでこんな怪獣大戦争もかくやと言う戦いは厳しい。
清志達はアイナがすぐ戻って来ると考えているが、彼らはレヴィアタンの体内がどうなっているかを知らない。
異界化したレヴィアタンの胃袋の中で、アイナは今も戦闘を続けている。それ故に思っていたより時間が掛かっている様に清志達は感じてしまう。
「あの小娘、消化されたのかしら?」
「縁起でもない事を言うな!」
「でもまだ出て来ないわよ?」
飄々とした態度で黄泉津大神が指摘する。死神様は軽々とレヴィアタンの攻撃を躱しながら、クスクスと笑っている。
一応は清志のパートナーとして認めはしたものの、相変わらず姑ムーブは怠らない。
更なる破壊が進む中で、黄泉津大神だけは余裕の表情だ。この中で黄泉津大神だけは人間ではなく、そもそも本体がここにはない。
神子を介して現世に出現しているだけの端末に過ぎない。仮に直撃を喰らったとしても大した不都合はないのだ。
何よりレヴィアタンは西洋の神々が生み出した神話生物で、日本の死神に過ぎない黄泉津大神には何ら関係がない。
無許可で殺す様な真似はしないが、彼女としてはどうでも良い。黄泉の国に影響が出なければそれで良いのだから。
「これは、中で何かあったのか?」
「さあ? あの鯨については良く知らないわ」
「お前だって神だろ!?」
清志は思わず抗議をするが、本当に知らないのだから仕方がない。正確に言えば興味が無かったから覚えていないのだ。
元夫への恨みと、人間への怨嗟を吐き出す女神に期待する事ではない。ちゃんとした神であれば、レヴィアタンの事を知っているし、その存在目的も知っている。
有事の際に生物を滅びから守る箱舟としての役割。そんな使命を託された存在は幾つかこの世界に存在している。
本来それは神々の間で共有されている情報である。だが黄泉津大神の様に、癖の強い神には覚えていない者も少なくない。
そもそもいい加減な神自体が結構多いのは、良い点と見るべきか欠点として見るべきか。ある程度ザルであるからこそ生き易い面もあるにはある。
「クソっ! 俺も行った方が良いか?」
「アナタまで行ったら私達の負担が増えてしまいますわ!?」
「そうだよ! もうちょっと待ってみようよ!」
自分もアイナの応援に行くべきかと清志は考えたが、近くまで来ていたシャーロット達に反対されてしまった。
この場における最高戦力は清志と黄泉津大神であり、2人が行ってしまえば彼女達の言う通り残るメンバーの負担が増える。
流石にAランク魔術師が4人揃っているとは言っても、討伐を禁じられたまま清志が抜けるのは厳しい。
倒してしまっても良いならまだ何とかなるが、そうで無いのだからどうにもならない。
そもそも神話生物をAランク魔術師に殺せるのかと言う問題もあるのだが。
そんなどうにもならない現状を嚙み締めつつ、清志達はアイナの帰還を待ちつつ対処を続けた。
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