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第1章 守護神石の導き
第6話 繁華街の甘い罠(5)
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「はあ、やっぱギャンブルなんてするもんじゃないや。おじさんは勝てたの?」
起き上がりざまにティムは背後にいたおじさんの方へ向き直った。
しかし、そこにはおじさんはいなく、遠くに大慌てで逃げていくおじさんの背中があった。同時に、ベルトにかけていた袋からサファイアが消えていることに気づく。背筋が一気に凍りついた。
「ちょっとすみません!すみませんッ!」
人を押しのけ押しのけ、ティムはおじさんを追いかけた。気づくのが遅かったのでかなり距離が離れてしまい、危うく見失いそうだった。
出口へ向かっていくところを確認したティムは、部屋から出て来る時に下りた階段を駆け上る。
外に出て、ティムが素早く左右を確認すると、左の通りに必死になって逃げているおじさんの姿が見えた。
今思えば、随分長いこと地下のカジノにいたものだった。まだ辺りは暗いものの、空は少しずつ明るみを増してきている。この時間帯は、通りも空いていて、見失うことはないだろう。
「おいッ!それを返せ!」
追いかけながら、ティムは大声で怒鳴った。
「そう言われて返すんだったら、最初からこんなに逃げやしねえよ!」
おじさんは、もう汗ぐっしょりだ。
「でも、これでもう逃がさないぞ」
すぐ後ろまで追いついたティムは高く跳び上がり、腰の剣を、鞘のついたままおじさんの頭に打ちつけた。
「うりゃ!」
「ごふっ!」
鈍い音と共に、おじさんはその場に倒れた。
ティムはふうと一息吐くと、おじさんの手からサファイアをもぎ取り、袋にしまった。
危なかった。ただでさえ今一文無しだというのに、サファイアまでなくなってしまったら、洒落にならない。いや、もはや既に洒落にならない状況である。まだ旅も始まったばかりだというのに、俺は一体何をしているんだ。
ティムは完全に伸びきったおじさんの横に沈むように座り込んだ。空を仰ぐと、きれいな紫色だった。街の夜が明けようとしている。でも今日から一文無しだということを考えると、ティムはとてもやりきれない気持ちになった。
起き上がりざまにティムは背後にいたおじさんの方へ向き直った。
しかし、そこにはおじさんはいなく、遠くに大慌てで逃げていくおじさんの背中があった。同時に、ベルトにかけていた袋からサファイアが消えていることに気づく。背筋が一気に凍りついた。
「ちょっとすみません!すみませんッ!」
人を押しのけ押しのけ、ティムはおじさんを追いかけた。気づくのが遅かったのでかなり距離が離れてしまい、危うく見失いそうだった。
出口へ向かっていくところを確認したティムは、部屋から出て来る時に下りた階段を駆け上る。
外に出て、ティムが素早く左右を確認すると、左の通りに必死になって逃げているおじさんの姿が見えた。
今思えば、随分長いこと地下のカジノにいたものだった。まだ辺りは暗いものの、空は少しずつ明るみを増してきている。この時間帯は、通りも空いていて、見失うことはないだろう。
「おいッ!それを返せ!」
追いかけながら、ティムは大声で怒鳴った。
「そう言われて返すんだったら、最初からこんなに逃げやしねえよ!」
おじさんは、もう汗ぐっしょりだ。
「でも、これでもう逃がさないぞ」
すぐ後ろまで追いついたティムは高く跳び上がり、腰の剣を、鞘のついたままおじさんの頭に打ちつけた。
「うりゃ!」
「ごふっ!」
鈍い音と共に、おじさんはその場に倒れた。
ティムはふうと一息吐くと、おじさんの手からサファイアをもぎ取り、袋にしまった。
危なかった。ただでさえ今一文無しだというのに、サファイアまでなくなってしまったら、洒落にならない。いや、もはや既に洒落にならない状況である。まだ旅も始まったばかりだというのに、俺は一体何をしているんだ。
ティムは完全に伸びきったおじさんの横に沈むように座り込んだ。空を仰ぐと、きれいな紫色だった。街の夜が明けようとしている。でも今日から一文無しだということを考えると、ティムはとてもやりきれない気持ちになった。
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