不良が異世界に行ったら騎士達に溺愛され波乱万丈な日々を過ごしてます

茶子ちゃ

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11 アルベルトの想い

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夢を見た。過去の自分の夢だ。
いつも俺は泣いていた。



喧嘩しないでと泣き叫ぶ俺。
煩いと平手打ちをする母。
怒鳴る父。


愛とはなんだろう……好きとはなんだろう。
俺を好きだと言う女、何が好きなのかわからない、好きの意味もわからない。
身体だけの関係。つまらない。


生きてる意味ある?生きてて何か楽しい事ある?
死んだ方が楽になれるよ。
結局死ねないんでしょ?死ぬ勇気もない。
君は、愚かなんだよ。
早く死ねば?いらない子。
誰かに、何度もそう言われた気がした。


耳鳴りのように毎晩うなされ、自分が弱いから強くなろうと思った。
だが、身体は強くなっても心は満たされない。
結局俺は愛に飢えてるんだな……俺なんか愛される価値もないよな。



「も……も」



誰かに呼ばれた。




「モモ……終わったよ」



柔らかな優しい声。
俺に優しくしてくれた…唯一の……。



「あ……」



目を開けると心配そうに見つめるアルがいた。
いつの間にか眠ってしまっていたのか。


「そんなに眠る程よかったかい?」

「よかったってお前……」


イケメンめ、女ならその意地悪そうな笑顔でイチコロなんだろうよ。
いや、一瞬俺もやばかったぜ。


「おっ!!!おーっ!治ってるぅう!!!」


ベッドから飛び起き、手足や頭に触れると治っている事がわかる。



「フフッよかったね、そんなに喜んでもらえて私も嬉しいよ」


子供のように飛んだり跳ねたりしていた俺を見てふんわり微笑まれた。


「ちょっと力を使い過ぎて私も疲れたな……モモ今日は取り敢えずお風呂に入ってからメイドに食事を運んでもらうとしようか」


「メイドだと!?」


ここにはメイドさんもいらっしゃるのか。
どんだけ金持ってらっしゃるんですか!!!


「ん?あー。いや、本来は一般の聖騎士団が使っている食堂があるんだけどね」

「あ……うん。で?」


あれ?アルベルトがなんか困った顔になっているぞ。
一般の聖騎士団……?ここ以外に食堂がある?
でもここはメイドさんが食事を運ぶ?



「あーーーーー!?もしかしてアルってただの聖騎士じゃないってことか!!」


なんか分かってしまった。攻撃魔法、治癒魔法共々使える奴なんかなかなかいないはずだ。


「まぁ……あの私は実は聖騎士団の団長をしているんだ」


ぬぁああにぃいいーっ!?
あーーだからか!他の奴にはいい顔されなかったの!みんなのアイドル聖騎士団団長様が余所者と手を繋いで歩いている所を見られて、そりゃ嫌だわ!!!



「すまんアル……俺迷惑かけてるな、もう治ったしさ、教皇様と話したらココ出るわ」


これ以上迷惑はかけられないからな。
ここから出てどこへ行くかノープランだが。


「嫌だ……」

「え?なんだって?」

「嫌だと言っている……」


えっ?!怒ってる?さっきヤーコプの時みたいな表情になってる。
口調も落ち着いてる様で怒りも含まれてるような。


「モモと一緒にいたい、それだけの理由じゃダメなのか?」

「え……いや、だってさ他の奴らにいい顔されないぞ」


アルの為を思って言った言葉だったのに、なんでそんなに苦しそうな顔をするんだろうか。


「俺は、君に一目惚れしたんだ……」



そう言うと壁に押しやられ濃厚な口付けを交わされた。

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