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恋人って、何だろう
しおりを挟む独りになり、優斗は自室へと戻りベッドに倒れ込んだ。
二人に触れられた箇所が熱を持ったように熱い。慣れない触れ方をされて、どうして良いかも分からなかった。
ただ分かったのは、どんな触れ方をされても嫌悪感など全くないという事。
それなら、その先も……?
――……恋人、って、なんだろう……。
お互いに好きな気持ちがあって、ドキドキして、ソワソワして、いつでも会いたくて、でも会うと上手く話せなくて。
他の人と仲良くしている姿を見たら、モヤモヤしたり、不安になったり。
デートをして、手を繋いで、それから……。
――そこまでなら、何とか……。
優斗は枕に顔を埋め、深く息を吐いた。
手を繋いだり、抱き締められたり。そこまでは許容範囲で、優斗としても心地よいと感じる。
先程のように触れられても、……かなり心臓に負荷が掛かったが、まあ大丈夫。
問題は、その後。
やはり本格的に体の関係を持てるかどうかが重要だと優斗は思っていた。
「……いっそ、して貰えば分かるのかも」
枕から顔を上げるが、またポフリと埋める。
いやいや、それは駄目だろう。そこまでは試しにやってみる事ではないし、二人にも失礼だ。
それに、すんなり受け入れられてしまっても困る。そもそも二人の事は人として好きで、きっと何をされても気持ち悪いと思う事はない。
だから、余計に判断が難しいのだ。
好きだが、いつでもドキドキするわけではない。
いつでも会えれば嬉しいが、上手く話せない事もない。
他の人と仲良くしていても、……少しモヤッとするのは恋心から来るものだとは限らない。
だが、離れて行くのではと不安になる事はあった。一生離れたくないとも思う。
つまりこれは……。
「どういうことなの……」
恋心だといえばそうだし、ただの執着だといえばそうだ。
いや、その前に、相手が二人いるという事が問題ではないだろうか。
――……って、これはもう解決した問題だった。
しかも二度解決している。また悩んでしまっては、さすがに二人共呆れてしまうだろう。
直柾は、兄であり、今大人気の若手俳優で、更には大企業の御曹司というオプション付きのとんでもない人物。
顔は国宝級とも称されるほど。いつでも笑顔で優しくて、優斗の事をとても大切にしてくれる。
隆晴は先輩であり、授業ではオール最高評価、サッカーの全国大会で優勝常連、更にはプロチームにも大企業にも引っ張りだこというこちらもとんでもない人物で、尊敬する先輩だ。
時々意地悪はされるが、守られているな、といつも感じる。
……改めて考えると、そんな人たちが何故自分を、と思わずにいられない。
例えるなら、王子様と騎士……。いや、どちらも王子だろうか。その二人が、一般庶民を溺愛して恋人になって欲しいと言うようなもの。
釣り合わないと言われれば、そうだよなと自分でも思う。
……それに、どう考えても平凡な人生を歩めそうにない。そこはもう諦めた方が良いのだろうか。
「……ちょっと待って」
ある事に気付き、ハッとして体を起こした。
自分の事ばかり考えていたが、二人はどうだろう。
今日突然帰ってしまったのも、改めて優斗が男だと分かり引いてしまったのかもしれない。女の子のように華奢で柔らかな腕ではないのだ。
どうしよう……。
……どうしよう、とは、何に対して……。
モヤモヤチクチクする胸を押さえ、また良く分からない感情が増えてしまった、と頭を抱えた。
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