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*少しずつ慣れていこう
しおりを挟む丁寧に解そうとするウィリアムに「もう大丈夫です」と早々に告げ、暖人はそっとウィリアム自身に触れた。
先程の妄想通りにしてしまわなかったウィリアムの頑張りも知らず、さわさわと撫でる。
「…………そうだね、そろそろ良さそうだ」
「はい、っ……え、あのっ」
ぐるりと体を反転させられ、膝の上に座らされる。膝上まで下ろしただけの服のせいで上手く身動きが取れず、暖人は戸惑った。
「痛かったら言うんだよ?」
「えっ、はい、でもあのっ……、んっ、んんぅっ……」
労る言葉を掛けながらも、ウィリアムは早々に暖人の後孔に自身を押し挿れた。
暖人は慌てて、上がりそうになる声を両手で塞ぐ。
「ハルト、声を出しても構わないよ」
「……いえ、その、外でするの、やっぱり恥ずかしくて……」
声はさすがに、とモゴモゴと呟く。
あまりに開放的で、話す声もどこまでも響くような感覚。少し視線を上げれば高い空も見えてますます開放的だ。
それに、背後から抱き抱えられ、見える位置からはあらぬところが丸見えの体勢。服を着ているから何をしているか分からないかも、などと考えた自分が甘かった。
「そうだね。ハルトの可愛い声を聞いて、誰か見に来てしまうかもしれないね」
「っ、だから声、出したくないです」
「残念だが、仕方ないかな。ハルトの可愛い姿を見られるのは、俺としても……」
「……ウィルさん?」
「……ああ、もう見られているかな」
「えっ……」
反射的にぎゅうっとウィリアム自身を締め付けた。
「困ったな。敵意はないようだが、ハルトを見ているよ」
「やっ、やだっ……」
見られていると思うと、無意識にナカがきゅうきゅうと締まる。その甘い締め付けに、ウィリアムはそっと目を細めた。
暖人は誰かに見られると、感じてしまうらしい。純粋で羞恥心も人一倍強いというのに、そんな厭らしい一面もあるとは。
暖人を大勢の前で抱いてしまいたい衝動と、暖人の媚態を誰にも見せたくない独占欲。どちらも暖人に出逢うまで知らなかった衝動。
そんな相反する感情に苛まれる日が来るとは、数ヶ月前までは想像も出来なかった。
「やっ……、ウィルさんっ、やだぁっ……」
黙っていると本気で信じてしまったのか、腰に回るウィリアムの手を掴み小さく震える。それでもナカは甘い反応を見せ、その矛盾がたまらなく愛しかった。
「すまない、意地悪をしすぎたね」
「っ……、いじ、わる……?」
ぴくりと暖人の肩が震える。涙を浮かべた瞳が、ウィリアムをおそるおそる見上げた。
その磨き上げられた宝石のように艶やかな瞳に、ウィリアムは吸い込まれるようにキスを落とす。
「俺もあの二人の事を責められないな……」
「え?」
「ハルトの恥ずかしがる姿があまりに愛しくて、意地悪をしてしまったよ……すまない。ここには、俺たち以外誰もいないよ」
「っ……」
(それ、ホラー映画で言った瞬間やられるやつ!)
暖人は咄嗟に突っ込みを入れてしまった。
ホラーは苦手だが、ネットで見てしまった知識だ。慌てて周囲を見回した。
一瞬で元気になった暖人に、ウィリアムは愛しげに目を細める。
「だが、もしいるなら、たっぷりと見せつけてあげよう」
「ひゃぁん! っ……、ウィルさん、急には駄目ですっ」
前立腺を的確に先端で突かれ、おかしな声を上げてしまった。
「ハルトは本当に可愛い声で鳴くね」
「外だからって動物扱いしないでくださいっ」
「こんなに可愛い動物がいたら、連れ帰って閉じ込めてしまうな。決して逃げ出せない檻に、ね」
くすりと笑う声に、ウィルさんが言うと冗談に聞こえない、と真顔になる。ヤンデレルートフラグはさすがに遠慮したかった。
力が抜けているうちに、ウィリアム自身が奥へ奥へと押し込まれていく。そこで止まると思っていた場所を、更に押し開こうとする動き。
「待っ……」
意図に気付き声を上げる前に、ぐぷ、と体内で音がした。
「ッ、……ッ」
いつもより深い場所まで広げられ、喉を喘がせる。苦しくて息も出来なかった。
ウィリアムとの初めての時、涼佑もここまで入っていると勘違いして押し込まれた場所だ。
「ハルト、息を吐いて。ゆっくりでいいから、落ち着いて」
「ァ……、ッ……、っ……、……は、ぁ……」
「そう、上手だよ。ゆっくり、ゆっくり……少しずつ慣れていこうね」
暖人が浅い呼吸を始めると、そう言って、拗じ開けた奥へと軽く自身を押し付ける。
「ぅぁ、ッ……」
「慣れたらちゃんと気持ちが良いから、今日は少しだけ頑張ろうね」
髪を撫で、小さな子供をあやすように声を掛ける。ゆるゆると自身を扱かれ、身体からは力が抜けていった。
(苦しい、けど……痛くは、ない)
あるのは苦しさと、酷い圧迫感と……。
「ッ……!」
声も出せない程の、……快楽。
少し動かれるだけで、びりびりとした快感が体中を駆け巡る。
だが、その事にウィリアムは気付いていない。ただ苦しいだけだと思い違いをして、暫し奥を広げて慣らしてから、軽く自身を引き抜いた。
「頑張ったね。ありがとう、ハルト」
いい子、とばかりに頭や頬を撫でられ、髪にキスが落とされる。
暖人は答える代わりに、背後のウィリアムへと頬を擦り寄せた。
(……ごめんなさい、ウィルさん)
本当は、……もう、ここも気持ちが良かった事を、隠してしまった。
以前とは違う。頭の芯が痺れるような快感。
ここを何度も突かれたら、気持ちがよすぎて死んでしまうかもしれない。
体の相性という言葉を借りるなら、ウィリアムとの相性があまりに良いのか、技術があるからか、……彼の事が、好きだからか。
あっという間に開発されてしまい、この先この体はどうなってしまうのだろう、と暖人は小さく震えた。
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