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*お仕置きより
しおりを挟む「ひっ……、ぁ……も、だめぇ……」
「それは良かった。しっかりお仕置きになっているようだね」
「や、やぁっ!」
仰向けの体勢で奥を強く突かれ、二度目の絶頂を迎える。
挿れられたのは、わりと早いうち。それからナカを延々と擦られては、オスカーの手で全身を弄られている。
ミルクの香りだったのは、これから美味しく食べる為だったのだろうか。暖人はぼんやりと思う。
ウィリアムとしてはそんな気がなくもなかったが、暖人らしく愛らしく純粋な香りだからと選んだものだった。
だが暖人の考えが伝わったように、こうして食べられる為に美味しい香りで下拵えされて……と思うと、暖人の中でウィリアム自身が質量を増す。
「んぁっ……、おっき、く……」
「ハルトがとても美味しそうな香りをさせているからね」
「それはウィルさんがっ」
「ああ、俺のせいで美味しくされて、食べられてしまったね?」
「ひゃぅっ! あっ、だめ、おくっ……」
奥の、更にその奥。その入口にぐりぐりと先端を押し付けられ、暖人は背を仰け反らせた。
そこまで挿れられる少しの恐怖と、……期待。
だがウィリアムは腰を引き、浅い場所を突き始めた。トントンと前立腺の近くばかりを叩かれ、気持ちが良いのに、達する為の刺激が足りない。
オスカーも胸の尖りを指先で転がしたり掠めたりと、じれったい刺激ばかりを与えてくる。
「は、ぅ……、んっ、ぁ……も、やだぁっ」
これなら激しくされた方がいい。もっと奥を突いて、痛いくらいに抓って、イかせて欲しい。
「ハルトは命懸けで世界を救ってくれた。本当はお仕置きではなく、ご褒美をあげたかったのだけど」
「っ……、くださいっ、ご褒美っ……」
「……欲しいかい?」
「ほし、っ……ご褒美、ほしいっ、ですっ……」
早くイかせて欲しい。焦らさないで。
ウィリアムへと腕を伸ばし、必死に訴える。
その腕を掴まれ強く引き寄せられると、奥まで一気に突き挿れられた。
「ひ、あぁッ……!」
あまりの衝撃に、目の前に星が散る。
だが止まる事なく、激しく奥を穿たれた。雁の部分を前立腺へと引っ掛けて、感じる場所を余すところなく擦り上げられる。
突き上げる動きに合わせ、オスカーの器用な指が胸を摘み、的確な快感を与える。
もう片手は暖人自身を掴んで、先端を緩く撫でた。
(そんなっ、ぜんぶされたらっ……)
がくがくと震え、腰が浮く。
気持ちいい、気持ちが、いい……。
もうそれしか考えられない。
「うあっ、あっ、いッ……ッ」
途方もない快楽。脳まで痺れるようなそれに、目の前が真っ白になった。
「ッ……!!」
たまらずに背を撓らせ、声もなく達する。きつく絞め上げる内壁に、ウィリアムも奥歯を噛み呻いた。
「ぁ……ぁ、……」
絶頂の余韻に、体が痙攣を続ける。ぐったりとした暖人の髪を、ウィリアムの手が優しく撫でた。
……が。
「っ……!」
まだ達していなかったウィリアムは、更に追い上げるように暖人の奥を穿つ。
「やぁっ……! もっ、イったからぁッ……!」
絶頂を迎えうねる内壁を更に擦られ、暖人は頭を振って訴えた。
感じすぎてだめ、おかしくなる。生理的な涙を流しても、快楽は止まない。
(だめっ、何かくるっ……これ、だめっ……)
射精感とは違うものが込み上げ、ぼろぼろと涙を零した。しっとりと濡れた頬へ、オスカーの手のひらが触れる。そのまま顎の下を撫でられ、がくりと全身から力が抜けた。
「ッ……――!!」
ナカでウィリアム自身がどくりと震え、暖人はまた声もなく絶頂を迎える。だが吐き出したのは、白濁したものではなくて。
プシャァ、と勢い良く吹き出した透明の体液が、腹を濡らす。サラサラとしたそれは、暖人の腹から零れシーツに大きなシミを作った。
薄い腹を指先で撫で、オスカーはそれをジッと見据える。
「……潮、か」
「ああ。ハルトは感じやすいからね」
「ぁ……、ぁ、……ひ、ぃッ……」
オスカーの親指が暖人自身の先端をぐりっと擦り、悲鳴を上げる。
だがそれ以上は何もされず、宥めるように髪を撫でられた。
あまりの快楽に、まだ達し続けているように体が痙攣する。目を閉じ、荒い呼吸と共に甘い声を零した。
(……全部は、だめ……気持ちよすぎて死にそう……)
失神しなかったのが奇跡だと思うほどに。
快楽が過ぎると気を失うのは、克服出来たのかもしれない。まだ何度も甘く達しながらぼんやりと思った。
目を閉じた暖人を、ウィリアムはただ静かに見つめる。
……本当は、お仕置きと言って暖人の恥ずかしがる顔を見てから、世界を救った事に感謝を述べて「君にはお仕置きよりご褒美だね」と言ってキスをするつもりだった。
それは勿論、お許しが出れば大喜びで飛び付いたが、暖人にその気がなければ、おとなしく添い寝をするつもりだったのだ。
だが、あんな期待した顔をされれば、叶えるしかないだろう。
お仕置きを期待する暖人。
ご褒美が欲しいと自ら口にする暖人。
そんな暖人を前にしては、理性などないも同然だった。
「……頑張り過ぎてしまったかな」
お仕置きと称してたっぷり甘やかす事も出来たというのに、情けなくも本気でお仕置きをしてしまった。
オスカーも何を思ったのか、止めるどころかウィリアムの動きに合わせて緩急を付けて暖人の胸ばかり弄っていた。
「オスカー。君は、ハルトの胸を弄るのが好きなのか?」
「いや、……ああ、そうだろうな。わりと顕著に反応を返すから楽しい」
「っ、楽しまないでくださいっ……」
わっ、と文句を言った暖人は、すぐに酸欠でぐったりとしてしまう。
「好きな相手が自分の手で分かりやすく感じてる姿を見ると、嬉しいもんだろ」
暖人の頭を撫でながら、お前もそうだろ、と言った。
「………………分からなくもないです」
確かに、自分の手や口で感じてくれる姿を見ると嬉しい。もっと感じさせたくて頑張ってしまう気持ちも分かる。
……分かってしまったから、おとなしく口を噤んでしまった。
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