オフ会から始まるワンダフルライフ 人生を彩るのはオンラインゲーム!?

佐藤哲太

文字の大きさ
155 / 166
第6章

だいの_冒険

しおりを挟む
 賑やかな夕食を終えた俺たちは、全員が大和に1000円ずつ渡して、いったん男女それぞれの部屋に戻った。
 そして大和とジャックは買い出しに出発。
 このコンビは、なかなかレアだけど、ギルド立ち上げの二人だからな。まぁ思い出話とか、ネタは色々あるだろう。

 そして部屋に戻った俺とあーすは、しばし二人でテレビを見ていた。
 部屋に戻る前、ぴょんから手はずが整ったらトランプやろうって呼びに行くって言われたから、その合図待ちなのだ。
 トランプは大和のだけど、まぁ勝手に遊んで怒る奴じゃないからな。いいだろう。

「ゼロやんなっちゃんとラブラブだね~」
「え、まぁ、それほどでも?」
「なっちゃんいい顔してたな~」

 のんびりとテレビを眺めつつ、テーブルに両腕を置いて、その上に顎を乗せたあーすが、若干見上げるような体勢で俺にそんなことを言ってくる。
 何というか表情は楽しそうで、昼頃に俺に宣戦布告のようなものを言ってきた様子とは、ちょっと違うような、そんな気がするんだけど。
 あーすは今日一日で、何を思ったんだろう。
 ちょっと気になった。

「今日一日なっちゃんを見てたけど、あんな風にも笑うんだね~」
「んー、まぁさっきみたいなのは、珍しい気はするけど」
「あ、そうなの?」
「うん。だいが自分から笑い取りにいくのとか、初めてな気がする」
「それを引き出したのが、ゼロやんってことじゃーん」
「その顔ムカつくわー」
「いいいい」

 ニヤニヤしたイケメンは、イラっとすることこの上なかった。
 ついついそのにやけ顔をつねる俺。

 今後のギルドでの活動で、会う前より雑に扱っちゃいそう。
 今まで通りに続けば、だけど。
 
 あーすの顔をつねりつつ、少しだけ、今後の展開を想像して緊張してしまったが、あーすにはバレてなさそうで安心。

 そして俺が手を離すと。

「なっちゃんともうシたの~?」

 って、おい!
 学生か!

「そんなこと聞くなよっ」
「えー、別に普通聞くでしょ、男同士なんだし」
「高校生かお前……」
「あー、じゃあ生徒の影響受けてるのかも~」
「大人が影響受けてんじゃねぇ!」
「まーでも、一緒にお風呂入るってことは、そういうことだよね~」
「やめい!」
「なっちゃん、すごい胸おっきくなったんだね~」
「いや、それ彼氏相手に言うか普通?」
「びっくりしたな~」
「いや、人の話聞いてんのかよ!」

 なんだこいつ。何なんだこいつ。
 ダメだ、何考えてるのか全然わからん!
 とりあえず、話題変えよう!

「そういや、あーすの学校も、そんな頭いいとこじゃないのか?」
「んー? そうだねー、けっこう勉強苦手で、ヤンチャというか、手を焼く子たち多いねー。って、も、ってことは、ゼロやんのとこも?」
「あー、まぁな。基本素直な奴多いけど、勉強の方はあんまり、って感じだな」
「いやぁ、お互い大変だねぇ」
「そうだなぁ」

 話題を変えたら、すんなりと変なところであーすと意気投合した俺は、そのあともしばしあーすと仕事トークを続けた。
 ここに大和がいれば、きっとさらに火がついてただろうな。

 そのまま5分くらい話していると。

「ゼロさん、あーすさん、トランプやりませんか?」

 お、来たか。

「リベンジマッチです」
「いや、ジャックいないじゃーん。いいけどねっ」
「っしゃ。俺もその勝負乗った」

 リベンジマッチと告げたゆきむらは、どこまで話を知っているんだろうか?
 どう見ても本気でトランプをやりたそうにしか見えなかったけど。

 まぁ、あーすも見事に釣れたみたいだしな。
 よし。じゃあ、行きますか。



「おじゃましまーす」
「しまーす。おー、さすが5人部屋、広いな」
「おいおい、女の園をじろじろ見てんじゃねーぞ?」
「いや、呼んだのお前らだろうが」

 女性陣の部屋は、俺らの部屋よりも広かった。しかも、ちょっとこっちの方がいい匂いがした気がする。いや、気のせいかもしれないけど。
 ちなみに俺らが入った時、だいとぴょんとゆめは俺とあーすのようにテレビを見てたみたい。俺らが入ったことで、全員が振り向いたけど。

「ゆっきーの望む通り、大富豪勝負でいいのかなっ?」

 しかしまぁ、あーすはそんな女性部屋を気にする様子もなく、いつも通りの感じ。
 すごいなしかし。

 そんなあーすの前に、スマホを片手に持った一人の女性が立って近づく。

「大地くん、今日はごめんね。今日全然話せなかったからさ、お酒入る前に、ゆっくりお話ししない?」
「え?」

 いきなりかい!
 何の前振りもなく、いきなりいくんかい!

 さすがにだいの動きの早さにぴょんもゆめもびっくりしたのか、一瞬驚いたような顔をしていた。
 もちろん俺もだけど、一番驚いたのはあーすだったな。

「え、いいの?」
「うん、よかったら」

 あーすが俺の方を見て来たから、俺は「行けよ」とばかりに頷いてやった。
 それにあーすも、何故かわからんがちょっと困り顔になりつつも、頷き返してくる。

 まぁ、びっくりの展開だもんな。
 うん、でもしっかりと話してきてくれよ。
 だいが、過去と向き合えるように。

「じゃあ、話そっか」
「うん。ちょっと抜けるから、みんなでトランプやっててね」
「はいよー」
「いってら~」
「大富豪勝負です」

 ぴょんとゆめの方へ一回振り返ったあと、だいは俺に頷き、あーすと部屋を出て行った。
 ゆきむらの「勝負です」は、やっぱりちょっと本気度を感じたけど。
 これが演技というか、流れを知っててのことだとしたら大したもんだよな。

 さぁ。あとは二人を信じて待つのみ、か。

 って。

「ゆめ、何してんの?」
「しーっ。今、ぴょんのスマホと通話中だから~」
「へ?」

 口元に指をあて、静かにするように指示してくるゆめ。
 操作を終えたのか、テーブルの上のゆめのスマホは、スピーカーモードで、その画面はたしかに言葉通りぴょんと通話中になっていた。
 ぴょんはここにいて、スマホを持ってないんだけど。

「ちょっとここからは静かにしてね~」
「お静かにですよ」

 ひそひそ声のゆめに続けて、ゆきむらもゆめを真似るようにそう告げてくる。

 こ、こいつらまさか、盗聴するのか!

 結果だけを待とうと思っていた俺だったけど、まさかこんな用意をしているとは……。
 たしかにだいに何かあったら、これですぐ助けに行けるかもしれないけど。

 うーん。しかし二人のプライバシーが……って、だいが持って行ったってことは、だいは同意済みってこと、なのか?
 しかし、リアルタイムで聞くのは……ちょっと緊張するな。

『いやー、いきなり来てびっくりさせちゃってごめんね。まさかなっちゃんがいるなんて夢にも思わなかったよ。でも、みんなと会えて、僕今日は楽しかったなー』

 ポケットにでも入れているのだろうか。少し音が小さいが、たしかにあーすの声が聞こえてきた。
 全員が静かにテーブルの上のゆめのスマホに向けて耳を澄ます不思議な状況。
 会話の途中で戻ってきたらびっくりするだろうから、一応大和に、宿についたら連絡してって送っとくか。

北条倫>田村大和『戻ってきたら宿入る前連絡よろ』19:58

『うん、私も今日はごめんね。その、大地くんのこと避けちゃって』

 おお、だいの声も返ってきた。って、当たり前か。
 声の感じ……やっぱ緊張してるみたいだな。
 まぁ、トラウマの相手なんだし、それもしょうがない、か。

『あっ、ううん! でも話そうって言ってくれて安心したよー。僕、嫌われたのかと思ってた!』

 だいの言葉に改めて安心した様子のあーす。その表情は想像するに難くない。
 あのイケメンスマイルが、炸裂しているのだろう。

 ドキッとか、してるのかな、だいのやつ。

『ううん、ちょっと、どうすればいいか、迷ってただけ』
『どうすればいいかって、何を?』
『え、だって大地くん、私のこと、嫌いだったんでしょ?』
『えっ!?』

 おお、踏み込んだ!

 思わず俺も緊張のせいか、ぎゅっとズボンの生地を掴んでいた。

「緊張されてるんですか?」
「え、ああ、まぁ、うん」
「何かあったら、慰めてあげますね」
「へ、あ、ああ、ありがとう?」

 そんな俺の様子に気づいたか、ゆきむらはひそひそと小さな声でそう告げてくる。
 その表情は俺がフラれればいいとか、そんなことは全く思ってなさそうな、もしそうなったら可哀想というような、同情に満ちていた。
 ありがとう。でも俺まだフラれてないからね! 心の中でツッコむ俺。

 そんな俺とゆきむらの様子をちらっと伺ったぴょんは、苦笑いを浮かべていた。

『な、なにそれ!? 何情報!?』
『えっ? だって大地くんあの日、中2の最後の日、男子だけで集まってる時、私のこと嫌いって言ってたよね……?』
『えっ?』

 そして二人の会話はさらに核心へと切り込まれていく。
 この返事に、あーすはなんと返すのだろうか。

 室内には冷房の控えめなゴーッという音が響くほどの静寂。
 誰も彼もが、静かに、ただ静かにあーすの言葉を待つ。

 もし、あーすが俺らに言った「だいのことが好きだった」が嘘なら、本当に嫌いなんだったら、今すぐこの会話を止めに行こう。

 ざわざわと落ち着かない胸の内と戦いながら、俺はひたすら、スピーカー越しのあーすの言葉を待つのだった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編7が完結しました!(2026.1.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』

まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。 朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。 「ご主人様の笑顔が見たいんです」 その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。 全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!? 甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

処理中です...