異世界転移したけれど、今までの世界と比べて平和でした。

犬宰要

文字の大きさ
16 / 64

16

しおりを挟む
 色魔都市アスモデウス、色魔とはどういう意味なのか?
 
 二時間も待たされるので暇なのもあり、ナビに聞いてみる事にした。
 
 エッチですね。
 
 なるほど、エッチか・・・。
 
 感情の高ぶりを確認、精神安定剤を投与します。
 
 あまりにもふざけた返答に怒りの感情が沸くが、即座に投与されて落ち着きを取り戻す。このナビ、もしかして使用者の精神状態を不安定にさせる機能がついているのか?
 
 色魔とは女たらしと言う意味があります。この都市がその意味通りかどうかは不明です。
 
 なるほど、ナミは大丈夫なのだろうか、と一瞬頭によぎったが元の世界で様々な男性に絡まれて返り討ちにしていた事を思い出し、あれを口説こうものなら命がいくつあっても足りないという認識になっていたことを思い出した。
 
 鬼眼、適応率更新、魔力が感知可能になりました。
 
 やっと適応が進んだか、と思い魔力のスキャンを行うとあたりの魔力の流れが資格化され、魔力を吸収しているものと魔力を自発的に発しているものと大体はペアになっていることに気づいた。
 
 余剰魔力ではなく、相手が自発的に魔力を吸収し、魔石にする生業が存在する都市、ということか?
 
「ねぇ、そこの坊や・・・お姉さんといいことしない?」
 
 魔力の流れを見て考え事をしていたら、防御力が低そうな装備をした人が立っていた。
 
「いいこと、というのは?」
 
「あら、もしかして童貞かしら!?」
 
 童貞、異性もしくは同性での性的結合による未経験を指す。なお・・・
 
 ナビがポンコツかしたのでミュートにする。
 
「未経験だ、何か問題があるのか?」
 
 その発言をした瞬間、あたりの歩いていた異性たちの視線と動きが暗殺者特有の動きになり、一瞬で囲まれた。殺意や敵対行動に類似する動作がなかったため、ただ囲まれそれぞれが協力的な表情をし、言葉やしぐさで俺を誘ってきていた。
 
 これは相手をいかに満足させることかによって魔力を吸い出して、得るという生業がなりたっているわかだな。
 
「すまないが、今は待ち合わせ中なんだ」
 
 断りを入れるものの、以前の義体ではないためすごみに欠けているのか、周りから人が減らない。誰も身体に触れようとしないのが不思議だったが、この状況は完全に囲まれているため身動きができない。
 
「レンツ―?レンツーどこー?」
 
「ナミ、助けてくれ!」
 
 こういう時は、助けを求めた方が早いと思い。すぐにナミに助けを求めたが正直、そのあとの事を考えていなかった。
 強烈な殺意が自分中心にあたり一帯に重くのしかかる。自分にもなぜか向けられており、サイキックを使っているのではないかと錯覚するような窮屈さが身体に感じた。また、上から抑えつけられているような重みも感じ、この場に長く留まるべきではないと本能に訴えかけていた。
 
 するとすぐさま、周りを囲っていた人たちは、蜘蛛の子を散らすようにいなくなっていった。
 
「ずいぶんと楽しそうだったけれども」
 
「俺もそう思っていたら助けてなんてナミに頼まないさ」
 
「それもそうね」
 
 納得したのか、殺意もなくなり、普段通りのナミに戻った。表情こそ変わらないがあたりが歪んでいるような錯覚すら感じていたが、それが無くなり普段通りの雰囲気になった。
 
「それで、その・・・その恰好はどうしたんだ?」
 
 サイキッカー兵装ではなく、全体的にぴっちりとした布地の服装に変わっていた。防御力が乏しく、白を基調とした上品さがある服装だった。様々な悪路にも適応できた兵装と連結可能な靴とは違いヒールが高く、旅路には向いていない脚を美しく魅せる靴だった。胸の部分も強調されており、胸から腰にかけて今までタクティカルベストで覆われていたのがなくなっていた。
 
「大丈夫よ、防御面ならこの武具のおかげで自動バリアが形成されるわ。すごいのよこれ、道中絡んできたバカどもが触れようとするとバリア張ってくれるのよ」
 
 卵型の謎武具がふよふよと浮いていた。
 
「レンツの分も服を買ってきたから、着替えましょ」
 
「えっ」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

無属性魔法使いの下剋上~現代日本の知識を持つ魔導書と契約したら、俺だけが使える「科学魔法」で学園の英雄に成り上がりました~

黒崎隼人
ファンタジー
「お前は今日から、俺の主(マスター)だ」――魔力を持たない“無能”と蔑まれる落ちこぼれ貴族、ユキナリ。彼が手にした一冊の古びた魔導書。そこに宿っていたのは、異世界日本の知識を持つ生意気な魂、カイだった! 「俺の知識とお前の魔力があれば、最強だって夢じゃない」 主従契約から始まる、二人の秘密の特訓。科学的知識で魔法の常識を覆し、落ちこぼれが天才たちに成り上がる! 無自覚に甘い主従関係と、胸がすくような下剋上劇が今、幕を開ける!

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

『辺境伯一家の領地繁栄記』スキル育成記~最強双子、成長中~

鈴白理人
ファンタジー
ラザナキア王国の国民は【スキルツリー】という女神の加護を持つ。 そんな国の北に住むアクアオッジ辺境伯一家も例外ではなく、父は【掴みスキル】母は【育成スキル】の持ち主。 母のスキルのせいか、一家の子供たちは生まれたころから、派生スキルがポコポコ枝分かれし、スキルレベルもぐんぐん上がっていった。 双子で生まれた末っ子、兄のウィルフレッドの【精霊スキル】、妹のメリルの【魔法スキル】も例外なくレベルアップし、十五歳となった今、学園入学の秒読み段階を迎えていた── 前作→『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

処理中です...