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あれからトレーニングジムに通うようになっていた。ナミはひたすら身体を一日中動かしていたので、俺も見習って身体を動かしていた。泣きじゃくりながら土下座したゴブリンはここのオーナー兼ジムリーダーであった為、トレーニングジムの利用を快く承諾してくれた。
その後、泣きじゃくっていたゴブリンが落ち着いた後に、筋肉について語り、どういう筋肉が必要なのか説いた。すると、さらに泣きじゃくりながら師匠と呼ばれた。話を聞いてみたところ、身体を鍛えることで体内の魔力量を高め、増やし、高みを目指すというものだった。
ゴブリンという種族は魔力量が多くなく、他の鬼人などに比べるとどうしても劣等種として見られてしまうのだという。そのため、この都市のゴブリンたちは身体を鍛えていき、舐められないように日々鍛えているのだという。
「ただ鍛えるだけじゃだめだ、技も磨き、心も鍛えろ! 心技体だ!」
俺はいつの間にか叫んでいた。感動したのかジムリーダーのゴブリンは導いてくださいと土下座してきた。次の日から俺はここで身体を動かしながら、心技体について教える事になった。
「師匠が教えるこの技はどこから学んだものなんですか?」
そういえば、軍隊式の技だったことを思い出したが特に名称はなかったな・・・。
「リオ式格闘術でいいんじゃない? レンツのフルネームの頭文字だけとってさ」
汗をぬぐいながらナミが答えた。
「いいのか?」
「いいんじゃない? 私の方も最近護身用に教えてと言われて、天現式格闘術として教えてるわ」
そういえば、ナミの実家って武家だったな・・・護身用? 戦闘不能に持っていく格闘術だったような・・・?
「じゃあ、リオ式格闘術ということで」
トレーニングジムに通うものは、俺から学ぶかナミから学ぶかで層がわかれたのだった。どちらも心技体を鍛える事に変わりないが、見せかけの筋肉ではなく心技体が備わった筋肉をつけたいゴブリンは俺からになった。ナミの天現式格闘術は、主に女性が学んでいた、心技体でも俺とナミは方向性が違うのもあり、男性か女性かで方向性が違った。
ジムリーダーのゴブリンは後で知ったのだがゴブチョムキンと名前があり、名に恥じぬ筋肉をつけるために俺が力を入れて師事していた。
そんな日常の中で、道場破りというのがあり、このトレーニングジムにも俺とナミが不在の中で起きた。
結果として、道場破りは阻止でき、事なきを得たのだが街でこのトレーニングジムに通う者が袋叩きされる事件が起きた。それでもここに通うゴブリンたちは通うのを辞めずにいたが、日に日に傷が増えていくゴブリンたちを見て、あまり心が穏やかではなかった。
ストレス感知、精神安定剤を投与します。
「ねぇ、レンツ・・・彼らは自身の鍛錬不足って言ってるけれど、後ろから奇襲して袋叩きに、しかも相手は刃物ではないにしろ鈍器を使ったり、砲丸を投げてきたりするらしいわ。どう思う?」
「姐さん、それは我々のマッスルが感知できない鍛錬不足でして――」
「ゴブチョムキン、ちょっと黙ってて」
「はい、すみませんでした」
「そうだな、そんなものを使わないで鍛えた先に何があるのか、わからせないと筋肉の成長に邪魔だな」
「筋肉の成長云々は置いといて、私が思うにね――やり方が卑怯過ぎてイラついてくるわ」
「それは俺も思っていたところだ」
「いったん、締めましょう。ストリートファイトが何たるか教えましょう。せっかく同じ悩みを持つトレーニング仲間を持ったのに、あざ作ってきちゃってデートが行けなくなったとかさ、一対一ならともかくリンチはダメね」
「ああ」
俺とナミのキレるポイントは違っていたが、このままでは心技体を備えた筋肉を得るには無駄な障害がある。それを排除するのが教える身としての勤めだと思った。
「レンツ師匠!」「ナミ師匠!」
「ゴブチョムキン、明日から俺たちはちょっと留守になる。少しの間、大変だと思うが教えたことを鍛錬していてくれ」
「ゴブーシャ、ゴブスタシア、ゴブサ、ちょっと待っててね。あざが治る頃には、ちゃんと相手にあざを正々堂々作れるようにしてくるからね」
ナミとよく一緒にトレーニングしてる三人のゴブリンは涙していた。ゴブチョムキンは涙をこらえながら震えていた。きっと不甲斐なさと悔しさがあるのだろう、だが、今回は別だ・・・心技体が備わってない奴には叩き込まないといけない流儀がある。
その後、泣きじゃくっていたゴブリンが落ち着いた後に、筋肉について語り、どういう筋肉が必要なのか説いた。すると、さらに泣きじゃくりながら師匠と呼ばれた。話を聞いてみたところ、身体を鍛えることで体内の魔力量を高め、増やし、高みを目指すというものだった。
ゴブリンという種族は魔力量が多くなく、他の鬼人などに比べるとどうしても劣等種として見られてしまうのだという。そのため、この都市のゴブリンたちは身体を鍛えていき、舐められないように日々鍛えているのだという。
「ただ鍛えるだけじゃだめだ、技も磨き、心も鍛えろ! 心技体だ!」
俺はいつの間にか叫んでいた。感動したのかジムリーダーのゴブリンは導いてくださいと土下座してきた。次の日から俺はここで身体を動かしながら、心技体について教える事になった。
「師匠が教えるこの技はどこから学んだものなんですか?」
そういえば、軍隊式の技だったことを思い出したが特に名称はなかったな・・・。
「リオ式格闘術でいいんじゃない? レンツのフルネームの頭文字だけとってさ」
汗をぬぐいながらナミが答えた。
「いいのか?」
「いいんじゃない? 私の方も最近護身用に教えてと言われて、天現式格闘術として教えてるわ」
そういえば、ナミの実家って武家だったな・・・護身用? 戦闘不能に持っていく格闘術だったような・・・?
「じゃあ、リオ式格闘術ということで」
トレーニングジムに通うものは、俺から学ぶかナミから学ぶかで層がわかれたのだった。どちらも心技体を鍛える事に変わりないが、見せかけの筋肉ではなく心技体が備わった筋肉をつけたいゴブリンは俺からになった。ナミの天現式格闘術は、主に女性が学んでいた、心技体でも俺とナミは方向性が違うのもあり、男性か女性かで方向性が違った。
ジムリーダーのゴブリンは後で知ったのだがゴブチョムキンと名前があり、名に恥じぬ筋肉をつけるために俺が力を入れて師事していた。
そんな日常の中で、道場破りというのがあり、このトレーニングジムにも俺とナミが不在の中で起きた。
結果として、道場破りは阻止でき、事なきを得たのだが街でこのトレーニングジムに通う者が袋叩きされる事件が起きた。それでもここに通うゴブリンたちは通うのを辞めずにいたが、日に日に傷が増えていくゴブリンたちを見て、あまり心が穏やかではなかった。
ストレス感知、精神安定剤を投与します。
「ねぇ、レンツ・・・彼らは自身の鍛錬不足って言ってるけれど、後ろから奇襲して袋叩きに、しかも相手は刃物ではないにしろ鈍器を使ったり、砲丸を投げてきたりするらしいわ。どう思う?」
「姐さん、それは我々のマッスルが感知できない鍛錬不足でして――」
「ゴブチョムキン、ちょっと黙ってて」
「はい、すみませんでした」
「そうだな、そんなものを使わないで鍛えた先に何があるのか、わからせないと筋肉の成長に邪魔だな」
「筋肉の成長云々は置いといて、私が思うにね――やり方が卑怯過ぎてイラついてくるわ」
「それは俺も思っていたところだ」
「いったん、締めましょう。ストリートファイトが何たるか教えましょう。せっかく同じ悩みを持つトレーニング仲間を持ったのに、あざ作ってきちゃってデートが行けなくなったとかさ、一対一ならともかくリンチはダメね」
「ああ」
俺とナミのキレるポイントは違っていたが、このままでは心技体を備えた筋肉を得るには無駄な障害がある。それを排除するのが教える身としての勤めだと思った。
「レンツ師匠!」「ナミ師匠!」
「ゴブチョムキン、明日から俺たちはちょっと留守になる。少しの間、大変だと思うが教えたことを鍛錬していてくれ」
「ゴブーシャ、ゴブスタシア、ゴブサ、ちょっと待っててね。あざが治る頃には、ちゃんと相手にあざを正々堂々作れるようにしてくるからね」
ナミとよく一緒にトレーニングしてる三人のゴブリンは涙していた。ゴブチョムキンは涙をこらえながら震えていた。きっと不甲斐なさと悔しさがあるのだろう、だが、今回は別だ・・・心技体が備わってない奴には叩き込まないといけない流儀がある。
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