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都市の中心地には近寄らず、離れた場所に移動し、巻き込まれるような事は避けた。そして、実際はどんなものなのかと確認してみようと考えていた。
「強いと言われているドラゴンがどんなものか確認しておきたい」
「そうね、偵察よろしくね」
俺は準備をし、偵察に向かう事にした。この世界で旅をする上で噂で強いと聞いた情報がどの程度の強さを持つのか、実際に確かめてきた。様残な生物に襲われたりしてきたが、大抵倒せてしまうレベルの相手だったのもあり、本当の脅威になる相手と遭遇したことがなかった。
「じゃあ、行ってくる。この距離だと二マルマルくらいで確認して戻ってくる。何かあればいつものパターンで」
「わかったわ」
俺はナミに見送られ、街中を移動する。ナノマシンを周囲に展開し、光学迷彩をかけて視覚的に見えないようにした。戦闘に参加してないオーガは街中で見かけるが、どのオーガもドラゴンとの戦闘を見ていた。建物の窓から身を乗り出しながら見ているものや、建物の外から立って見ているものもいた。
程なくして、ドラゴンとオーガが戦っている場所に到着し、建物の上から戦況を見渡した。
膠着状態ではなく、オーガが一方的に戦闘不能にさせられては、退場していき、補充されたオーガがドラゴンに挑んでいくという戦いだった。囲むわけでもなく、正面から戦い続けているため、ドラゴンから放射されるブレスやしっぽによる薙ぎ払いでオーガたちは蹴散らされていった。
そして、見る限り死傷者は出ていなかった。
これは手加減しているのか?
解析、ドラゴンという個体から質量および放出されている魔力から不自然な点があり手加減していると推測されます。
オーガに対して本気を出すまでもない、戦意喪失を目的とした戦闘か?
俺は戦況を見ながら、オーガたちの戦いがどうにもお粗末に見えて仕方なかった。これじゃあ子どもの遊びに近い、ドラゴンもそれをわかって適当にあしらっているのではないかと思った。オーガ一体一体を見てみると門番の人も街の遠巻きで見ていた人もだが、どのオーガも個体としてかなり強いと感じた。
筋肉はより戦闘向きに鍛えられているのか、それともそういう種族なのか、しなやかさと力強さがバランスよい体格が多かった。前にあったゴブリンと違いオーガは素質がある体格をしていたので、ドラゴン相手にお粗末な戦い方をしているのがもったいないと感じた。
本当に作戦とかないのか? 正面からわざとやられていて後ろから油断したところに攻撃を仕掛けるのか?
注意深く俺は各種センサーを使い、オーガの作戦や行動などを読み取っていったが、なんともただの正面から攻撃するというだけだった。音声を拾っても突っ込め! やれ! という声が聞こえ、戦闘不能になっていないオーガはわざわざ正面に戻って戦いに挑んでいた。
これはオーガの特性なのか?
俺は疑問に思ってしまった。ゴブリンでさえ強襲したり、策を講じて袋叩きしたり、武器などを用いたりしていた。
俺は戦闘不能になって戦線離脱したオーガに接触して確認することにした。光学迷彩を解いて、横たわっているオーガたちがいるところにいき、意識があるがぐったりしてるオーガに話しかけた。
「辛いところすまない、ちょっと聞きたいのだが・・・俺はレンツといって旅をしている者だ。ドラゴンに無謀にも正面から立ち向かっているのは、そういったルールでもあるのか?」
俺は率直に聞くことにした。敵地とか潜入の場合は素性や光学迷彩で見た目を変更させたり声も変えたり、自白剤なども使ったりし、情報収集するが今回はそこまでする必要もなく、通りすがるだけなのでしなくていいと判断した。
「ルール・・・? いやそんなものはない。俺たちは力を示して、勝たないといけない。それだけだ」
「なるほど・・・ありがとう」
「あ、あんた・・・れ、レンツといったか・・・?」
別の満身創痍なオーガが俺の方を見てつぶやいた。
「そうだが、何か?」
「あの都市ベルゼブブのグルメ立役者であり、都市マモンのゴブリン最強伝説を作り、さらに都市レヴァイアサンのはじまりのスターの・・・あのレンツさまですか!?」
「ひ、人違いだ」
「俺は見た事ある。ベルゼブブで見た事あるぞ」
「俺は都市マモンで見た、ゴブリンに教えているところを見た、バカだと思ってた。でも違った・・・俺は情けない・・・」
身体を引きずりながらオーガたちは、俺の周りに群がってきた。
「た、頼む・・・」
「お願いします」
「強くなりたい」
俺は彼らが満身創痍ながらも戦う意思があり、強くなりたいという思いに応えたいと思ってしまった。
「強いと言われているドラゴンがどんなものか確認しておきたい」
「そうね、偵察よろしくね」
俺は準備をし、偵察に向かう事にした。この世界で旅をする上で噂で強いと聞いた情報がどの程度の強さを持つのか、実際に確かめてきた。様残な生物に襲われたりしてきたが、大抵倒せてしまうレベルの相手だったのもあり、本当の脅威になる相手と遭遇したことがなかった。
「じゃあ、行ってくる。この距離だと二マルマルくらいで確認して戻ってくる。何かあればいつものパターンで」
「わかったわ」
俺はナミに見送られ、街中を移動する。ナノマシンを周囲に展開し、光学迷彩をかけて視覚的に見えないようにした。戦闘に参加してないオーガは街中で見かけるが、どのオーガもドラゴンとの戦闘を見ていた。建物の窓から身を乗り出しながら見ているものや、建物の外から立って見ているものもいた。
程なくして、ドラゴンとオーガが戦っている場所に到着し、建物の上から戦況を見渡した。
膠着状態ではなく、オーガが一方的に戦闘不能にさせられては、退場していき、補充されたオーガがドラゴンに挑んでいくという戦いだった。囲むわけでもなく、正面から戦い続けているため、ドラゴンから放射されるブレスやしっぽによる薙ぎ払いでオーガたちは蹴散らされていった。
そして、見る限り死傷者は出ていなかった。
これは手加減しているのか?
解析、ドラゴンという個体から質量および放出されている魔力から不自然な点があり手加減していると推測されます。
オーガに対して本気を出すまでもない、戦意喪失を目的とした戦闘か?
俺は戦況を見ながら、オーガたちの戦いがどうにもお粗末に見えて仕方なかった。これじゃあ子どもの遊びに近い、ドラゴンもそれをわかって適当にあしらっているのではないかと思った。オーガ一体一体を見てみると門番の人も街の遠巻きで見ていた人もだが、どのオーガも個体としてかなり強いと感じた。
筋肉はより戦闘向きに鍛えられているのか、それともそういう種族なのか、しなやかさと力強さがバランスよい体格が多かった。前にあったゴブリンと違いオーガは素質がある体格をしていたので、ドラゴン相手にお粗末な戦い方をしているのがもったいないと感じた。
本当に作戦とかないのか? 正面からわざとやられていて後ろから油断したところに攻撃を仕掛けるのか?
注意深く俺は各種センサーを使い、オーガの作戦や行動などを読み取っていったが、なんともただの正面から攻撃するというだけだった。音声を拾っても突っ込め! やれ! という声が聞こえ、戦闘不能になっていないオーガはわざわざ正面に戻って戦いに挑んでいた。
これはオーガの特性なのか?
俺は疑問に思ってしまった。ゴブリンでさえ強襲したり、策を講じて袋叩きしたり、武器などを用いたりしていた。
俺は戦闘不能になって戦線離脱したオーガに接触して確認することにした。光学迷彩を解いて、横たわっているオーガたちがいるところにいき、意識があるがぐったりしてるオーガに話しかけた。
「辛いところすまない、ちょっと聞きたいのだが・・・俺はレンツといって旅をしている者だ。ドラゴンに無謀にも正面から立ち向かっているのは、そういったルールでもあるのか?」
俺は率直に聞くことにした。敵地とか潜入の場合は素性や光学迷彩で見た目を変更させたり声も変えたり、自白剤なども使ったりし、情報収集するが今回はそこまでする必要もなく、通りすがるだけなのでしなくていいと判断した。
「ルール・・・? いやそんなものはない。俺たちは力を示して、勝たないといけない。それだけだ」
「なるほど・・・ありがとう」
「あ、あんた・・・れ、レンツといったか・・・?」
別の満身創痍なオーガが俺の方を見てつぶやいた。
「そうだが、何か?」
「あの都市ベルゼブブのグルメ立役者であり、都市マモンのゴブリン最強伝説を作り、さらに都市レヴァイアサンのはじまりのスターの・・・あのレンツさまですか!?」
「ひ、人違いだ」
「俺は見た事ある。ベルゼブブで見た事あるぞ」
「俺は都市マモンで見た、ゴブリンに教えているところを見た、バカだと思ってた。でも違った・・・俺は情けない・・・」
身体を引きずりながらオーガたちは、俺の周りに群がってきた。
「た、頼む・・・」
「お願いします」
「強くなりたい」
俺は彼らが満身創痍ながらも戦う意思があり、強くなりたいという思いに応えたいと思ってしまった。
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