異世界転移したけれど、今までの世界と比べて平和でした。

犬宰要

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 俺はオーガたちの思いに頷き、なんとかしてみようと考えた。今の戦況を変えるには指揮官との連携が必要だ。
 
「オーガの中で統率している者を教えてくれないか?」
 
「それなら、私だ」
 
 なんと、一番重傷になって横たわっている人だった。そして、戦線から少し離れた場所で何してるんだ? いや今指揮をしているオーガは?
 
「今、指揮をしているのは誰になるんだ・・・?」
 
 この場の時が止まったかのような錯覚を覚えたが、ドラゴンのブレスの音やオーガの声が聞こえたので気のせいだった。
 
「つまり、今は・・・誰も指揮をしていないという事になるのか?」
 
「・・・ああ」
 
 ああ、じゃない! と叫びそうになったが、ぐっと堪えた。
 
 そして、戦闘において組織形態そのものが出来ていない事を悟った。これは一時撤退をし、体制を立て直さないとダメだった。しかし、都市から外に逃げるにしても上空からブレスの攻撃がある。俺が倒してしまったとしても問題はないがそれは別の問題が起きると思った。
 
「一時撤退して、体制を立て直し、作戦を考えるしかない。だが、逃げれる場所はあるかどうかだが・・・」
 
 俺は指揮官のオーガの方を見た。
 
「レアモンデステーシと交渉してくる」
 
 重傷ではあるものの、よくみると自己回復しているのかゆっくりではあるが皮膚などは再生していた。指揮官のオーガは立ち上がり、ドラゴンのレアモンデステーシの方へと向かっていった。俺は提案した責任があると感じ、指揮官のオーガに付き添うことにした。
 
 指揮官のオーガと俺に付き従うように周りの動けるオーガたちはついてきた。
 
 戦闘が継続している場所の近くまで来るとドラゴンはこちらに気づき、オーガたちとの戦闘を辞めてこちらの方にやってきた。攻撃の意思はなく、指揮官のオーガもわかっているのか堂々としていた。交渉をするといっていたが、戦闘状態を停止するドラゴンを見ると知能が思った以上に高いのだと思った。
 巨大生物と同じように見ていた自分は認識を改めないといけないと思った。オーガ相手に手加減をしてるのも知能がある証拠なのだが、どうにも言葉が通じるのかという疑念もあって疑ってしまっていた。
 
「レアモンデステーシ殿よ! 我々は今は負けている! だがここで再度戦う時、我々が勝つ! 我々の力だけで勝つ!」
 
「ハーッハッハッハッハッハ! ほざけ! 今のこの現状を見てまだわからんのか?」
 
 か、会話している。そして、オーガが挑発してきて、ドラゴンが呆れている。これが交渉なのか?
 
「俺たちは強くなる。だが、今じゃない・・・レンツ殿がいるからな!」
 
「ほぅ・・・あの噂のか! 面白い!」
 
 えっ、ちょっと待って交渉っていうかただの負け惜しみからの啖呵切ってるだけじゃないのか? あれ、なんかドラゴンがこちらをにらんでいるんだけど・・・。
 
「汝の力でオーガを変えて、我に勝てるのか見ものだ」
 
 俺に言い放った後に、ドラゴンは空を飛んで都市内にある大きな建物へと飛んでいった。
 
「城に戻っていったか・・・交渉は成功だ」
 
 交渉? 今の交渉だったの?
 
 俺は困惑し、状況を整理するにもオーガとドラゴンという種族というのがよくわからなくなってきた。
 
「ありがとう、助かった」
 
「「「レンツ! レンツ! レンツ!」」」
 
 いつの間にか俺の名前がコールされていて、今後のことを踏まえてナミに説明しないといけないなと思った。指揮官のオーガに連れがいることと、今後について話し合う場を設けてくれと伝え、待ち合わせ場所と日時を決め、その場はいったん解散となった。
 
 日常的なのか、定期的にドラゴンに挑んでいるのか、壊れた建物や負傷者などの手当などは手慣れた感じで進められていた。
 
 俺は来る都市を間違えたかもしれないと一瞬思ったが、あの恵まれた筋肉と体格、そしてオーガが持っているのか自然治癒能力の高さから教えればかなり強い兵士にさせたいと思った。作戦を立てて、行動し、組織として動けば充分に勝てるのに、もったいないと思った。
 
 さぁて、ナミにどう説明しよう・・・?

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