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 高層ビルの屋上に近い階層で俺たちは晩飯を食べていた。フロア全体を貸切られているのか、誰もおらず、窓からは都市を一望でき、感動的だった。空は電磁的な電流が渦巻いて膜が張ってあるため、一定の明るさがあったものの、廃墟になっていない高層ビル群を見れるのは初めてだった。
 ふと、前の世界のことを思い出しながら、こうやって落ち着いて生活できるのも運が良かったなと改めて感じた。
 
「ところでどうしてこの眼について知りたいんだ?」
 
 俺はジル・ロベルトに知りたいという理由を聞いた。その理由については彼から語られずにいきなり襲ってきたのもある。
 
「会った時に魂が感じたっていうか、この都市に入ってきて時に会わなきゃいけないと思ったんだ。そして、試さずにいられなくなったんだよ。なんていうか、わからないし知らないからこそ、何か得られると思ったんだよ」
 
 彼が言ってる事は全く理解できなかった。
 
「粗野ね」
 
 ナミはため息をつきながら、食事を止めた。
 
「教えて上げれるけれど、あなたが求めている答えには答えられないと思うわ」
 
「なんでだ? その眼はそいつのだろう?」
 
「この眼はそもそも貰ったものだ。本来は俺のではない」
 
「レンツくん、どういうことだ?」
 
「自称神から貰ったものだ」
 
 俺が自称神と言った瞬間にジル・ロベルトは席から立ち上がり、後ずさりした。
 
「か、神だとぉ?」
 
「どうした?」
 
 俺たちはジル・ロベルトのうろたえ気味の様子に、思っていた反応と違う事に警戒した。この世界の神という
 
「あ~、なら納得だ・・・そりゃあ・・・いや待てよ、オレの力をどこまで吸収できるか試してもいいか? 無理そうだったら止めるからさぁ」
 
「ジル、お前は何を言ってるんだ?」
 
 ジル・ロベルトは、手を俺の方に掲げた。俺はゆっくりと席から立ち上がり、テーブルから離れた。ナミも追従し、俺の背中に回り込み、浮遊してる卵型の武具が頭上後ろの方に待機した。
 
「吸収できなくなったら教えてくれ、すぐに止める」
 
「最初からやらないというのはないのか、お前は」
 
「悪いな」
 
 ジル・ロベルトは自分勝手な奴だというのがよくわかった。自分の力を試したいというのがある故の行動なのだろうと思った。
 
 ナビ、吸収はどこまで可能なんだ?
 
 俺は少し不安になった、前回の戦いで吸収出来た量はどれだけのものか、体感は大したことはなかったが実際にジル・ロベルトから放出されたエネルギーというのは手加減はしているものの戦車のレーザービーム砲並だと感じたからだ。
 
 確認完了。ジル・ロベルトの個体から放出されるエネルギーに関して無制限に吸収可能。
 
 む、無制限?
 
「おらぁ! いくぜぇぇぇ!」
 
 ジル・ロベルトから青白い光が収束し、一本の高圧縮されたものが俺に向かって発射された。キィィィンという音が聞こえ、その光線は俺の鬼眼に吸収されていった。
 
「もっとっ、もっとだぁぁぁ!!」
 
 ねぇ、レンツ何か感じる?
 
 いや、特に・・・。
 
 高圧縮された光線は段々と太くなっていくものの、俺にあたる前に糸のような細さになって吸収されていった。今いる場所の天井はそうそうに吹き飛んでおり、立っている場所も割とひびが入っているのもあり、ビルそのものは大丈夫なのかという思いが出てきた。
 
 ジル・ロベルトからの攻撃というかエネルギー放射は数十分続いたが、何も進展しなかった。俺自身、何も苦しいとか、ナビからも容量圧迫とかそういうのも出ないままいたずらに時間だけが過ぎていった。
 
 なあ、これいつまで続くんだ?
 
 さぁ? 聞いてみたら?
 
「なぁ! ジル! これいつまで続けるんだ!」
 
「くっそがぁぁあ!!」
 
 ジル・ロベルトは最後の力を振り絞ってなのか、広がっていた青白い光が一瞬だけ今までよりも光ったと思ったら、光線は止まった。
 
「ぐっ・・・はぁはぁはぁ・・・ごほっ、ごほっ・・・」
 
 ジル・ロベルトは肩で息をしていたが、それを取り繕おうとして逆にむせていた。
 
「満足したか?」
 
「はぁはぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
 
 力を使い果たし、立っているのがやっとのような、疲れっぷりが出ていた。そして、その場で倒れてしまったのだった。俺は、ジル・ロベルトの近くに駆け寄ると、死んではいないようで意識が朦朧しているのか、目に焦点が合ってなかった。
 
「お前、大丈夫か?」
 
 なんとか辛うじて、頭が動き、上下に少しだけ揺れた事から問題ないと判断することにした。俺はあたりを見渡し、半壊した状態で晩飯の続きも何か違うなと思ったりした。
 
「ねぇ、レンツ・・・」
 
 ナミが暗号通信ではなく、俺に声をかけてきた。戦術データリンクが切れており、何事かとナミの方を見ると浮遊していた卵型の武具が見た事もない形になっていた。
 
「な、何が起きた?」

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