9ライブズナイフ

犬宰要

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 この後、各自でペットボトルが何本出せるのか試したり、他には何が出るのか? 様々なことを想像してみたがどれもうまくいかなかった。それでも水を得た事でそれぞれの乾きを潤すことができ、休憩そのものがちゃんとした休憩っぽくなったことで前向きになっていた。
 
「ツ、ツバサ・・・あの、その」
 ジュリがツバサに何か話しかけようとして、噛んでいた。
「ど、どし、どうしました」
 ツバサも仲が良い感じに噛んだ。
「あ、あのすみません」
 謝るジュリ。
「あ、いえ、あの・・・大丈夫です」
 二人はコミュニケーションが苦手なのだろうとわかった。
 
「このペットボトル、想像して欲しいと願ったら出てきた件で」
 ツバサはこくこくと頷き話を聞いた。
「私たちの脳波を感じ取り、それで該当する物が召喚されたと考えました。そこで最初から持っているこのアーミーナイフが脳波を受信し、召喚したのではないかと思っています」
 
 ぼそぼそとだが早口で聞き取りにくいが、ツバサはわかっているのか真剣な表情で頷いていた。こういった早口は聞きなれているのだろうなと思った。
 
「そこでこのアーミーナイフに何かしらこの状況を打破する為にそれぞれに持たさられているとしたら、これが見た目の機能ではなく、魔法少女が変身するためのアイテムのような役割があるのではないかと思ってます」
 
 ジュリはごそごそとポケットからアーミーナイフを取り出し、ツバサの前に出した。ツバサもアーミーナイフを取り出し、お互いの顔を見合わせる。
 
「何かほかに隠された機能がある、と?」
 
「その可能性はあると思ってます。でも見た目も普通のアーミーナイフだし、中に収納されているのも普通のナイフとかなんですよね。何か使い方があると思って、それがわからなくて」
 
 僕は二人の会話に耳をすませてる中で、会話に混ざりたいと思った。だが、いきなり話しかけるにもそこまで仲良くないし、どうしたものかと悩んだ。
 
「変身ッ」
「えっ」
「あ、ダメでした。ポーズとかつけないといけないのかな」
 
 突然、ジュリが変身ッ! と小声ではあるものの言った言葉を僕は聞き逃さなかった。
 
「ステータスッ」
「アイテムボックスッ」
 
 二人は思いつくままにいろいろと言葉に出していて、異世界転移と思ってるのは自分だけじゃないと思った。口に出したら恥ずかしいし、同じような趣味だから仲よくしようとか何か違うし、よしとりあえず話しかけてから考える事にした。
 
「おーい、ツバサとジュリーそろそろ休憩を終わりにして明かりの方に向かうぞ」
 
 いきなりムッツーに呼ばれた二人はビクッとし、顔を上げこくこくと頷き、立ち上がった。僕も聞き耳を立てていた事にビクッとし、心の中でもうちょっと休憩しておこうよと思いながら立ち上がった。
 
「はぁ・・・ナビとかあれば、明かりの方までどのくらいかわかるんですけれどね」
「教えてくれるナビ、AIとかあったら便利ですよね」
「ですねぇ・・・え?」
 
 ツバサが何か困惑したような声がしたので振り返ってみると特に何かあるわけでもなく、挙動不審になっているだけだった。
 
「ジュジュジュジュ」
「え、どうしました?」
「え、これ、ここここ」
 
 ツバサが何もないところに指をさして、何かあるかのようにジュリと話をしていた。だが、ジュリにも見えていないのか、首をかしげていた。
「も、もしかして!?」
 
 ジュリは何か閃いたのか、眉間に皺を寄せながら何か変な顔をしていた。
「は、はふあ、ここここ」
「な、な?な!な!」
 二人は手を取り合い、感動していた。僕は何を見せられてるのだろうと思った。
 
――そうかこれが百合か。
 
 僕は前を向き、歩き始めた。
 すでに先に歩いてるムッツーは僕の後ろにいる二人が立ち止まって何かしてる様子を首をかしげて見ていた。
 
「おーい、どうしたんだ?」
 
 二人はムッツーの声に気づかず、後ろで百合っていた。そっとしておこうぜ、百合の間に挟まるものは女であってもダメだって僕は思った。でも口にはしない。
 
 再度、ムッツーが大きな声で二人を呼び、僕は後ろを見ると中良さそうに歩き始めた。
 
 二人の会話から、このアーミーナイフが何らか秘密がと言っていたけれど、どう見てもアーミーナイフだった。カメラがついていたり、立体画像を出したり、そういった電子的なものがついてるものじゃなかった。マナチが発見した水が入ったペットボトルの召喚と関係があるのか?

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