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僕たち七人は次の日、光りがある方へと歩いていった。
今までと変わって歩きやすい靴に転んでも肘や膝などガードされ、手袋などもし、かわいさはないものの安心感がある装備をしていた。装備の見た目はそれぞれデザインが異なり、身体のサイズにピッタリのものだった。
先頭を歩くのはムッツーとタッツー、そしてハルミン。
その後ろでお尻を見ながら歩いている僕。
ムッツーとタッツーはぴったりした服装でとても目にいい。いや毒だ。
「ね、ねぇ……ヨーちゃん」
しまった、僕がお尻を見て歩いている事がバレたか!?
「なんか見えてきたけれど、なんだろうあれ?」
僕はズームアップして見ていたお尻から遠くの方に見えた瓦礫の山に気づいた。どうやら僕だけ気づいてなかったらしいが、ここは気づいていた振りをして、空気を読んでおこう。
「瓦礫の山、だな」
「砂利の砂漠の次は瓦礫の山かぁ……」
「とりあえず行ってみるしかないだろ?」
どうやらマナチにはあれが瓦礫の山じゃなくて別の何かに見えたらしい。ゴミ廃棄場所とか見えなくもないが、もっと近寄ってみないとなんとも言えないなと思った。
歩き続けていくと砂利の砂漠を抜け、地面がアスファルトに変わった。舗装された地面であり、他に人がどこかに存在すると感じ、一同は喜んだ。だが、あたりは閑散とした瓦礫とところどころ更地だったりし、建物がそこにあったと思われるような跡があり、明かりが見える方向は瓦礫の山で見えないでいた。
「ま、まさか……未来に来ちゃったとか?」
マナチは呆然としながら口走る。
「いや、そんなわけない……かもしれない。とりあえずあたりを探索してみよう、何かわかるかもしれない」
「そうね、そうだよね。未来かどうか証拠がない限りわからないしね」
「瓦礫は迂回し、歩きながら何かないか探そう。もしかしたら私たち以外の人がいるかもしれない」
ムッツーは砂利の砂漠を抜けて、そのままこの瓦礫が大量にある場所を探索しようと言い出した。
「私、疲れちゃった」
ハルミンが、ぼやいた。僕も賛成だ。
「ねぇ、ムッツーもう結構歩いてきたし、今日はこのあたりでテントを設営して休まない? 食料と水もあるし、急ぐ必要はないわ」
タッツーがムッツーに提案する。いいぞ、言ってやれ。
「む、そうか……そうだな、私は焦り過ぎているようだ。そうだな、休もうか」
「やったー!」
僕たちはそれぞれテントを設営したり、テーブルや椅子など準備し、各々休憩をし始めた。砂利の砂漠と違い、地面が平坦であるため、テントの設営は楽だった。地面に固定する杭など砂利の砂漠でもそうだったが、意味はないのでそのまま設置した。
テントの中の床の部分にクッションのような、マットを何枚か敷いて、快適な状態にした。テントの大きさは二人くらいは余裕で寝れるスペースがあり、もしもこれらを一式持って移動するのを考えると重そうだなと思った。
僕はこのアーミーナイフを元の世界に持って帰れば、動画で見たようなゆるふわっとしたキャンプも可能なのではないかと思った。手ぶらでキャンプ場に行って、いきなりキャンプ道具を召喚しだしたら、目立つからダメだと気づいた。
「ヨーちゃん、入ってもいい?」
外からマナチの声が聞こえ、野獣の住処に入りたいという申し出があった。
「ど、どうぞ。何もないけど……」
「やったー! お邪魔します」
いただきます。
「ねぇ、ヨーちゃん……」
中に入ってくると、さっきまでの勢いとは違い真剣な表情をしていた。
「どうした? 大丈夫か?」僕の理性は大丈夫じゃないけど……
「か、帰れるかな……」
そうだ、彼女も僕も元の世界の生活がある。妄想がいっきに吹き飛び、現実的な不安が湧き上がってきた。でも目の前にかわいい女の子が同じテントの中なので僕の心臓はドキドキしてきた。
「きっと帰れるさ」
僕は紳士的に返事した。
「ヨーちゃんはいつも落ち着いててすごいね」
顔に出してないだけだよ。
「私なんて、不安で泣きそうになってさ……ほら、ね」
彼女の目から涙が零れ落ちていた。
「大丈夫、たぶん、きっと大丈夫さ」
「ひっく……ありがとう」
僕はそっと肩に手でポンポンとした。脳内で抱き寄せて、背中をポンポンとして、耳元で大丈夫だよと囁いて、そのまま倒れ込んでうんたらかんたらした。大丈夫、落ち着いてる僕は偉い。
「とりあえずさ、今日はもう寝て明日に備えよう」
「一緒に寝てもいい?」
僕は妄想しすぎて耳がおかしくなった気がした。
「――えっと」
「不安だから、ここで寝る」
「わ、わかった」
僕はドキドキしながら、テントの片方を彼女に譲り、互いに寝袋を出して寝る事になった。なお、寝袋であるため、身体がすっぽり入り、特に寝返りでおっぱいポロリとか夜のプロレス技が寝ぼけて炸裂されるといった事態にはならなかった。
もちろん、寝る前にご飯とか食べて軽装に着替えて寝袋に入ったのだけど、僕が妄想してるような事態にはならなかった。わかってる、私はそんなつもりじゃなかった案件だってわかっている。
その日、心の中で血の涙を流した。
今までと変わって歩きやすい靴に転んでも肘や膝などガードされ、手袋などもし、かわいさはないものの安心感がある装備をしていた。装備の見た目はそれぞれデザインが異なり、身体のサイズにピッタリのものだった。
先頭を歩くのはムッツーとタッツー、そしてハルミン。
その後ろでお尻を見ながら歩いている僕。
ムッツーとタッツーはぴったりした服装でとても目にいい。いや毒だ。
「ね、ねぇ……ヨーちゃん」
しまった、僕がお尻を見て歩いている事がバレたか!?
「なんか見えてきたけれど、なんだろうあれ?」
僕はズームアップして見ていたお尻から遠くの方に見えた瓦礫の山に気づいた。どうやら僕だけ気づいてなかったらしいが、ここは気づいていた振りをして、空気を読んでおこう。
「瓦礫の山、だな」
「砂利の砂漠の次は瓦礫の山かぁ……」
「とりあえず行ってみるしかないだろ?」
どうやらマナチにはあれが瓦礫の山じゃなくて別の何かに見えたらしい。ゴミ廃棄場所とか見えなくもないが、もっと近寄ってみないとなんとも言えないなと思った。
歩き続けていくと砂利の砂漠を抜け、地面がアスファルトに変わった。舗装された地面であり、他に人がどこかに存在すると感じ、一同は喜んだ。だが、あたりは閑散とした瓦礫とところどころ更地だったりし、建物がそこにあったと思われるような跡があり、明かりが見える方向は瓦礫の山で見えないでいた。
「ま、まさか……未来に来ちゃったとか?」
マナチは呆然としながら口走る。
「いや、そんなわけない……かもしれない。とりあえずあたりを探索してみよう、何かわかるかもしれない」
「そうね、そうだよね。未来かどうか証拠がない限りわからないしね」
「瓦礫は迂回し、歩きながら何かないか探そう。もしかしたら私たち以外の人がいるかもしれない」
ムッツーは砂利の砂漠を抜けて、そのままこの瓦礫が大量にある場所を探索しようと言い出した。
「私、疲れちゃった」
ハルミンが、ぼやいた。僕も賛成だ。
「ねぇ、ムッツーもう結構歩いてきたし、今日はこのあたりでテントを設営して休まない? 食料と水もあるし、急ぐ必要はないわ」
タッツーがムッツーに提案する。いいぞ、言ってやれ。
「む、そうか……そうだな、私は焦り過ぎているようだ。そうだな、休もうか」
「やったー!」
僕たちはそれぞれテントを設営したり、テーブルや椅子など準備し、各々休憩をし始めた。砂利の砂漠と違い、地面が平坦であるため、テントの設営は楽だった。地面に固定する杭など砂利の砂漠でもそうだったが、意味はないのでそのまま設置した。
テントの中の床の部分にクッションのような、マットを何枚か敷いて、快適な状態にした。テントの大きさは二人くらいは余裕で寝れるスペースがあり、もしもこれらを一式持って移動するのを考えると重そうだなと思った。
僕はこのアーミーナイフを元の世界に持って帰れば、動画で見たようなゆるふわっとしたキャンプも可能なのではないかと思った。手ぶらでキャンプ場に行って、いきなりキャンプ道具を召喚しだしたら、目立つからダメだと気づいた。
「ヨーちゃん、入ってもいい?」
外からマナチの声が聞こえ、野獣の住処に入りたいという申し出があった。
「ど、どうぞ。何もないけど……」
「やったー! お邪魔します」
いただきます。
「ねぇ、ヨーちゃん……」
中に入ってくると、さっきまでの勢いとは違い真剣な表情をしていた。
「どうした? 大丈夫か?」僕の理性は大丈夫じゃないけど……
「か、帰れるかな……」
そうだ、彼女も僕も元の世界の生活がある。妄想がいっきに吹き飛び、現実的な不安が湧き上がってきた。でも目の前にかわいい女の子が同じテントの中なので僕の心臓はドキドキしてきた。
「きっと帰れるさ」
僕は紳士的に返事した。
「ヨーちゃんはいつも落ち着いててすごいね」
顔に出してないだけだよ。
「私なんて、不安で泣きそうになってさ……ほら、ね」
彼女の目から涙が零れ落ちていた。
「大丈夫、たぶん、きっと大丈夫さ」
「ひっく……ありがとう」
僕はそっと肩に手でポンポンとした。脳内で抱き寄せて、背中をポンポンとして、耳元で大丈夫だよと囁いて、そのまま倒れ込んでうんたらかんたらした。大丈夫、落ち着いてる僕は偉い。
「とりあえずさ、今日はもう寝て明日に備えよう」
「一緒に寝てもいい?」
僕は妄想しすぎて耳がおかしくなった気がした。
「――えっと」
「不安だから、ここで寝る」
「わ、わかった」
僕はドキドキしながら、テントの片方を彼女に譲り、互いに寝袋を出して寝る事になった。なお、寝袋であるため、身体がすっぽり入り、特に寝返りでおっぱいポロリとか夜のプロレス技が寝ぼけて炸裂されるといった事態にはならなかった。
もちろん、寝る前にご飯とか食べて軽装に着替えて寝袋に入ったのだけど、僕が妄想してるような事態にはならなかった。わかってる、私はそんなつもりじゃなかった案件だってわかっている。
その日、心の中で血の涙を流した。
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