59 / 82
59
しおりを挟む
「さて、俺は報告を終えたから報告書を作成してくるからまたな」
そういってシュシャはこの場から去っていった。出来る大人っていうのか余裕があってかっこいいなと思った。
「そういえば聞きたい事があるのだけど、あの光りについて何か知っていますか?」
僕はアーネルトとアンネイに遠くに見える光りについて聞いてみた。
「気にはなっているが、ゾンビの件があって調査できていないんだよね、あと専門外なところもあってさ」
「同じく~」
二人とも知らないと答えた、そうなってくるとあの顔の半分が骸骨のクライドはこの街の人じゃないのか?
「あの、顔の半分がこう骸骨になっているクライドっていう人知ってますか?」
アーネルトとアンネイは怪訝な顔をし、冗談を言っているのかという表情のしていた。
「いや、そんな人は知らないな? ゾンビ……じゃないんだよね?」
「え、ええ。ゾンビじゃなかったですね」
「うーん、そうなるとこの世界の住人、かもしれないのかなぁ……少なくても私たちの中にそういう人はいないね」
「そうですか、ありがとうございます」
僕はクライドの事が気になった。なぜゾンビの事を知っていたのか、それを確かめに行こうと思った。
「それでこの後どうする? 荷物とかとってきてここに住むかい?」
アーネルトが聞いてくると、僕たちはいったん相談させてくださいとその場を離れて話す事にした。
「私は今後の事であの二人と話しておきたいと思ってる。それに荷物も何も今持ってるバッグに全て入ってるし、ここに残るでいいかなと思っている」
「私も同じく、かな」
ムッツーとタッツーの言う通り、僕たちが持ち歩いてるバッグに全て入ってる。この世界に来た時の服一式、そしてアーミーナイフ。
「僕はクライドの所に行って、ビヴロストとゾンビについて聞いてくる。なんでゾンビについて知っていたのか聞けたら聞いておきたい」
「ヨーちゃんが行くなら私も行く」
マナチも着いてきてくれることになった。
「私たちも行きます」
ツバサとジュリも着いてくることになった。するとハルミンも僕の近くにきて、小さく手を挙げていた。
「なんか身体を動かしておきたいし」
「四人で行けば、もしゾンビが出てきても大丈夫だね。ハルミンもいるし」
「そうだな、大丈夫だろう」
タッツーとムッツーのお墨付きのハルミンだった。僕もハルミンの火力があれば大抵の化物相手にどうにかなりそうと思った。
クライドの元へ行く事を決めると僕の生存確率が80%に代わり、この選択で正しかったのかと感じた。
話が決まり、アーネルトとアンネイがいると事に戻り、僕たち四人は確かめたいことがあるので一度外に行って戻ってくる事を伝えた。ムッツーとタッツーは話足りないのか、その場で話を続ける事にしていた。
「それじゃ、気を付けてな」
「ああ、ちょっと行ってくる」
ムッツーに言われ、僕は返事をし、その場を後にした。
病院を後にする間、ムッツーとタッツーが二人にいろいろ質問をしている声が聞こえた。この世界に来たタイミングについて、元の世界ではどんな世界だったのか、等矢継ぎ早に聞いていた。僕は戻ってきた時にどんな質問をしたのか聞いてみようと思った。
+
クライドがいる屋上に到着するとうんざりした顔をしていた。僕たちが来るのを待っていたかのように、ドアを開けると顎で座れと言われた気がした。僕たちはクライドが座っている反対側のソファに座ると大きくため息をつかれた。
「あのビヴロストとゾンビについて詳しく聞きたくてきました」
「ふん、ビヴロストは前に言った通りだ。なんで知ってるかっていうのは調べてたから知っている。ゾンビはなんで詳しく聞きたいんだ?」
「襲ってきたゾンビを倒しました。数は三百いました」
「だろうな」
「あの帰れる方法を知ってませんか?」
僕がそれを聞くと骸骨の方の目がかすかに動いたように見えた。瞼もない眼球だけの目が少しだけ震えたように見えたのだ。
「なぜ、私にそれを聞く? いや直感か? まあ、いい話し相手になってやる」
だらりと座っていたクライドは身を乗り出した。
「帰れる方法を知っているか、だな。知っている。だが期待させるようで悪いが、知ってはいるけれどオレには出来ないという答えになる。帰れるかわからないが異世界に通じる門があって、その門をくぐると別の異世界に行ける」
僕は心臓の鼓動が早まっていた。口の中がカラカラになるような、一番近い手がかりを掴んでいるような気がした。
「この世界のどこかに門があるからそれに飛び込めば、もしかしたら帰れるかもしれない。ん? そういえば二人足りなくないか?」
「ふ、二人は別の所にいます」
「ふぅん、まあいい。それじゃ、オレはどこかに旅に出る。用事を思い出したのもあるしな」
「え、いやもうちょっと話を――」
クライドは立ち上がるとあたりの物ごと消えた。
当然、座っていた僕たちは尻もちをついた。その消え方はアーミーナイフから召喚されたものを消した時と同じような消え方をした。僕は何が起きたのかわからなかった。
そういってシュシャはこの場から去っていった。出来る大人っていうのか余裕があってかっこいいなと思った。
「そういえば聞きたい事があるのだけど、あの光りについて何か知っていますか?」
僕はアーネルトとアンネイに遠くに見える光りについて聞いてみた。
「気にはなっているが、ゾンビの件があって調査できていないんだよね、あと専門外なところもあってさ」
「同じく~」
二人とも知らないと答えた、そうなってくるとあの顔の半分が骸骨のクライドはこの街の人じゃないのか?
「あの、顔の半分がこう骸骨になっているクライドっていう人知ってますか?」
アーネルトとアンネイは怪訝な顔をし、冗談を言っているのかという表情のしていた。
「いや、そんな人は知らないな? ゾンビ……じゃないんだよね?」
「え、ええ。ゾンビじゃなかったですね」
「うーん、そうなるとこの世界の住人、かもしれないのかなぁ……少なくても私たちの中にそういう人はいないね」
「そうですか、ありがとうございます」
僕はクライドの事が気になった。なぜゾンビの事を知っていたのか、それを確かめに行こうと思った。
「それでこの後どうする? 荷物とかとってきてここに住むかい?」
アーネルトが聞いてくると、僕たちはいったん相談させてくださいとその場を離れて話す事にした。
「私は今後の事であの二人と話しておきたいと思ってる。それに荷物も何も今持ってるバッグに全て入ってるし、ここに残るでいいかなと思っている」
「私も同じく、かな」
ムッツーとタッツーの言う通り、僕たちが持ち歩いてるバッグに全て入ってる。この世界に来た時の服一式、そしてアーミーナイフ。
「僕はクライドの所に行って、ビヴロストとゾンビについて聞いてくる。なんでゾンビについて知っていたのか聞けたら聞いておきたい」
「ヨーちゃんが行くなら私も行く」
マナチも着いてきてくれることになった。
「私たちも行きます」
ツバサとジュリも着いてくることになった。するとハルミンも僕の近くにきて、小さく手を挙げていた。
「なんか身体を動かしておきたいし」
「四人で行けば、もしゾンビが出てきても大丈夫だね。ハルミンもいるし」
「そうだな、大丈夫だろう」
タッツーとムッツーのお墨付きのハルミンだった。僕もハルミンの火力があれば大抵の化物相手にどうにかなりそうと思った。
クライドの元へ行く事を決めると僕の生存確率が80%に代わり、この選択で正しかったのかと感じた。
話が決まり、アーネルトとアンネイがいると事に戻り、僕たち四人は確かめたいことがあるので一度外に行って戻ってくる事を伝えた。ムッツーとタッツーは話足りないのか、その場で話を続ける事にしていた。
「それじゃ、気を付けてな」
「ああ、ちょっと行ってくる」
ムッツーに言われ、僕は返事をし、その場を後にした。
病院を後にする間、ムッツーとタッツーが二人にいろいろ質問をしている声が聞こえた。この世界に来たタイミングについて、元の世界ではどんな世界だったのか、等矢継ぎ早に聞いていた。僕は戻ってきた時にどんな質問をしたのか聞いてみようと思った。
+
クライドがいる屋上に到着するとうんざりした顔をしていた。僕たちが来るのを待っていたかのように、ドアを開けると顎で座れと言われた気がした。僕たちはクライドが座っている反対側のソファに座ると大きくため息をつかれた。
「あのビヴロストとゾンビについて詳しく聞きたくてきました」
「ふん、ビヴロストは前に言った通りだ。なんで知ってるかっていうのは調べてたから知っている。ゾンビはなんで詳しく聞きたいんだ?」
「襲ってきたゾンビを倒しました。数は三百いました」
「だろうな」
「あの帰れる方法を知ってませんか?」
僕がそれを聞くと骸骨の方の目がかすかに動いたように見えた。瞼もない眼球だけの目が少しだけ震えたように見えたのだ。
「なぜ、私にそれを聞く? いや直感か? まあ、いい話し相手になってやる」
だらりと座っていたクライドは身を乗り出した。
「帰れる方法を知っているか、だな。知っている。だが期待させるようで悪いが、知ってはいるけれどオレには出来ないという答えになる。帰れるかわからないが異世界に通じる門があって、その門をくぐると別の異世界に行ける」
僕は心臓の鼓動が早まっていた。口の中がカラカラになるような、一番近い手がかりを掴んでいるような気がした。
「この世界のどこかに門があるからそれに飛び込めば、もしかしたら帰れるかもしれない。ん? そういえば二人足りなくないか?」
「ふ、二人は別の所にいます」
「ふぅん、まあいい。それじゃ、オレはどこかに旅に出る。用事を思い出したのもあるしな」
「え、いやもうちょっと話を――」
クライドは立ち上がるとあたりの物ごと消えた。
当然、座っていた僕たちは尻もちをついた。その消え方はアーミーナイフから召喚されたものを消した時と同じような消え方をした。僕は何が起きたのかわからなかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる