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入学~一年目 さぁ恋、なぐり愛
21_悪役令嬢のエリーレイドはチーターを許さない←ブーメラン
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「我が主、この攻略本によれば、ヒロインはフリーザンネック王国の王太子と永遠の愛を近い、不毛な戦争を止めた。その行為は世界に教訓となり、平和が末永く続いた。しかし、実際にはかのヒロインは愛の伝道師となり、二人の真実の愛に気づかせたのだった」
「マーベちゃん! お黙り!!」
「我が主、失敗してしまいましたね」
エリーレイドはどこか嬉しそうな使い魔のマーベラスにいつもとは違って激情気味に声を荒げていた。
彼女はフリーザンネック王国の王太子とめっちゃいい雰囲気だったのに、くっつかないなんてマジ意味がわからなかったのだった。
(マジ意味わからない!)
それもそのはず、ユウヴィーはオレ様に心の底からトキめいてなかったからだ。
「あれは天然か? 計算か? まだあと攻略対象者が何名かいるし、チャンスはまだあるわ」
彼女は影の魔法を使って告白の現場を監視していた。予測不可能な展開に思わず、叫ぶ程だった。幸いにもユウヴィーたちから離れていた為、その声は届く事はなかった。ただユウヴィーは何か声がしたような気がしただけだったのだ。
その時のエリーレイドの叫び声は――
「うっそでしょ!! おいそこはてめぇどう考えても付き合ってキスする流れだろうがっ!! チートか!? シャイニングマジカルチーターか!?」
公爵令嬢のエリーレイドを知る者が聞いたら、失神するレベルの発言だった。
「根回しは完璧で、お膳立てもしていたのに、悔やむところね」
彼女は反省をし、より原作に忠実なやり方で行くか悩んでいた。
「ユウヴィーを焚きつけたりしたけれど、次にある舞踏会への参加義務の事も伝えたけれど、案の定、彼女はど忘れしていることを確信したわ。この前のサロンで話をしていてわかったけれど、転生前は私より年下っぽいような印象を受けるわ、それとも記憶がちゃんと戻っていないから精神年齢も加算されてないのかしら? だったらチャンスだわ! 王太子フラグを回収できる見込みだし、勝つわよ。これは絶対勝つ!」
言葉にしながらエリーレイドは考えをまとめつつ、自分に勝つと言い聞かせ鼓舞していた。
「我が主、舞踏会ではこのどのような策を講じる予定でしょうか? この攻略本によると階段から転ぶ、転げる、といった曖昧ではあるものの、なぜ転んだのか、がわかりません」
フッ、とエリーレイドは優雅に笑った。
「マーベちゃん、簡単な事よ。私がユウヴィーを階段で突き落とすのよ」
いつも半眼なマーベラスは、主であるエリーレイドのまさかの発言に目を思いっきり開け、凝視するのだった。つまり、かなり驚いていた。
「いい、マーベちゃん。私は悪役令嬢なの、わかる? 私が彼女を突き落とす事で、私と王太子との好感度が下がるフラグが立つのよ。誰にやられたのか、周りの記憶に残る。そうすると悪役令嬢としてのフラグも立ち、ユウヴィーへの庇護フラグが立つというわけなの」
「我が主、この攻略本には記載されていませんが、その乙女ゲームなる物にもそういった行動が描かれているのでしょうか?」
「いいえ」
あっけらかんと言うエリーレイドにまたもやマーベラスは驚いていた。
「いいこと? 私があえて行動することによって周りに知らしめるのが重要なのよ。悪い事実が一つや二つくらいないと今の私がこれまでしてきた功績によって無かった事にされるのよ。わかる? パテンターなんていう称号が王よりつけられてしまってるのよ。原作にはパテンターなんてものは名前についてないの、私はやり過ぎてしまったのよ」
どこか誇らしげにほくそ笑みながら彼女は語ったのだった。
「マーベちゃん、私って幼少の頃に前世の記憶を思い出したでしょ。それで公爵令嬢という立場でもあるわ、つまり地位と前世の世界の知識を使って、この世界で無かった文明開化を行ったのよ。知識チートと呼ばれる所業になるわ。わかるかしら、前世では様々な企業……つまりこの世界で言うと派閥だったり、爵位の高い家をね、そういう相手に商売や交渉をしてきたのよ」
遠い過去を思い出しながら、彼女の舌は絶好調に回っていった。
「娯楽商品の開発と普及、移動手段となってる馬車の改良と開発現場の改善、衣食住における細かな改善や商品開発、各領地の連絡手段の改善と魔道具による簡易連絡方法の発明、などから王様より直々に功績を認められ、パテンターという称号を得たのよ。おーっほっほっほっほ!」
キレのいい笑い方をし、鼻高々になるエリーレイドだった。
単純に彼女は普段の生活で痒い所に手が届かない歯がゆさからやれる改善提案を権力を使って、取り進めたのだ。前世では営業職だったこともあり、人心掌握に長けていた事も後押しし、成功をおさめていったのだ。
「影の魔法でチートが出来ると思って鍛えてたけれど、瘴気に対して何の役にも立たないし、残念だったわ」
彼女は気づいていなかった。彼女の使う影の魔法は、国を揺るがすような盗聴、盗撮行為であり、影に物を収納するという行為も暗殺器具の持ち込みも自由自在であるという危険な魔法だった。今までの歴史から、影の魔法は自身の影からトゲを出し、自衛する程度のものだった。
しかも瘴気に汚染されている魔物にも弱くて、使えない魔法と言われている存在だったのだ。
だが、彼女の前世の知識から鍛えた影の魔法は異質なものへと進化し、ちゃんとしたチートになっていたのだったが、本人は知る由もなかった。
「マーベちゃん! お黙り!!」
「我が主、失敗してしまいましたね」
エリーレイドはどこか嬉しそうな使い魔のマーベラスにいつもとは違って激情気味に声を荒げていた。
彼女はフリーザンネック王国の王太子とめっちゃいい雰囲気だったのに、くっつかないなんてマジ意味がわからなかったのだった。
(マジ意味わからない!)
それもそのはず、ユウヴィーはオレ様に心の底からトキめいてなかったからだ。
「あれは天然か? 計算か? まだあと攻略対象者が何名かいるし、チャンスはまだあるわ」
彼女は影の魔法を使って告白の現場を監視していた。予測不可能な展開に思わず、叫ぶ程だった。幸いにもユウヴィーたちから離れていた為、その声は届く事はなかった。ただユウヴィーは何か声がしたような気がしただけだったのだ。
その時のエリーレイドの叫び声は――
「うっそでしょ!! おいそこはてめぇどう考えても付き合ってキスする流れだろうがっ!! チートか!? シャイニングマジカルチーターか!?」
公爵令嬢のエリーレイドを知る者が聞いたら、失神するレベルの発言だった。
「根回しは完璧で、お膳立てもしていたのに、悔やむところね」
彼女は反省をし、より原作に忠実なやり方で行くか悩んでいた。
「ユウヴィーを焚きつけたりしたけれど、次にある舞踏会への参加義務の事も伝えたけれど、案の定、彼女はど忘れしていることを確信したわ。この前のサロンで話をしていてわかったけれど、転生前は私より年下っぽいような印象を受けるわ、それとも記憶がちゃんと戻っていないから精神年齢も加算されてないのかしら? だったらチャンスだわ! 王太子フラグを回収できる見込みだし、勝つわよ。これは絶対勝つ!」
言葉にしながらエリーレイドは考えをまとめつつ、自分に勝つと言い聞かせ鼓舞していた。
「我が主、舞踏会ではこのどのような策を講じる予定でしょうか? この攻略本によると階段から転ぶ、転げる、といった曖昧ではあるものの、なぜ転んだのか、がわかりません」
フッ、とエリーレイドは優雅に笑った。
「マーベちゃん、簡単な事よ。私がユウヴィーを階段で突き落とすのよ」
いつも半眼なマーベラスは、主であるエリーレイドのまさかの発言に目を思いっきり開け、凝視するのだった。つまり、かなり驚いていた。
「いい、マーベちゃん。私は悪役令嬢なの、わかる? 私が彼女を突き落とす事で、私と王太子との好感度が下がるフラグが立つのよ。誰にやられたのか、周りの記憶に残る。そうすると悪役令嬢としてのフラグも立ち、ユウヴィーへの庇護フラグが立つというわけなの」
「我が主、この攻略本には記載されていませんが、その乙女ゲームなる物にもそういった行動が描かれているのでしょうか?」
「いいえ」
あっけらかんと言うエリーレイドにまたもやマーベラスは驚いていた。
「いいこと? 私があえて行動することによって周りに知らしめるのが重要なのよ。悪い事実が一つや二つくらいないと今の私がこれまでしてきた功績によって無かった事にされるのよ。わかる? パテンターなんていう称号が王よりつけられてしまってるのよ。原作にはパテンターなんてものは名前についてないの、私はやり過ぎてしまったのよ」
どこか誇らしげにほくそ笑みながら彼女は語ったのだった。
「マーベちゃん、私って幼少の頃に前世の記憶を思い出したでしょ。それで公爵令嬢という立場でもあるわ、つまり地位と前世の世界の知識を使って、この世界で無かった文明開化を行ったのよ。知識チートと呼ばれる所業になるわ。わかるかしら、前世では様々な企業……つまりこの世界で言うと派閥だったり、爵位の高い家をね、そういう相手に商売や交渉をしてきたのよ」
遠い過去を思い出しながら、彼女の舌は絶好調に回っていった。
「娯楽商品の開発と普及、移動手段となってる馬車の改良と開発現場の改善、衣食住における細かな改善や商品開発、各領地の連絡手段の改善と魔道具による簡易連絡方法の発明、などから王様より直々に功績を認められ、パテンターという称号を得たのよ。おーっほっほっほっほ!」
キレのいい笑い方をし、鼻高々になるエリーレイドだった。
単純に彼女は普段の生活で痒い所に手が届かない歯がゆさからやれる改善提案を権力を使って、取り進めたのだ。前世では営業職だったこともあり、人心掌握に長けていた事も後押しし、成功をおさめていったのだ。
「影の魔法でチートが出来ると思って鍛えてたけれど、瘴気に対して何の役にも立たないし、残念だったわ」
彼女は気づいていなかった。彼女の使う影の魔法は、国を揺るがすような盗聴、盗撮行為であり、影に物を収納するという行為も暗殺器具の持ち込みも自由自在であるという危険な魔法だった。今までの歴史から、影の魔法は自身の影からトゲを出し、自衛する程度のものだった。
しかも瘴気に汚染されている魔物にも弱くて、使えない魔法と言われている存在だったのだ。
だが、彼女の前世の知識から鍛えた影の魔法は異質なものへと進化し、ちゃんとしたチートになっていたのだったが、本人は知る由もなかった。
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