魔女と呼ばれ処刑された聖女は、死に戻り悪女となる

青の雀

文字の大きさ
23 / 35
死に戻り2

23.聖女様

しおりを挟む
アンジェリーヌが17歳となり、王妃としての仕事も順調満帆そのもの。アンジェリーヌの子供たちも上から4歳、3歳、2歳とやんちゃ盛りで、王宮の中を縦横無尽に走り回っている。

子供たちが父王のことをパパ呼びするので、自然とアンジェリーヌは二人きりの時は、名前のマクシミリアンから付けた愛称のマックス呼びをしている。

今日も今日とて、寝室でイチャイチャ。

「ああん。マックス、そこ……だめ」

「もうじき聖女判定があるからって、言われてももう止められない。俺をこんなカラダにしたのはアンジェだからな。責任取ってもらう」

「いつだって、そんなカラダではないですか!」

「違うぞ!少なくとも、5年前はノーマルの淡白だった。それをこんな絶倫に変えたのは、まぎれもなくアンジェのせいだ!」

「やめって!せっかくの処女膜再生が、ダメになっちゃう!」

「な、何っ!?聖女様と言うのは、そんなこともできるのかっ!それなら今更、教会で託宣を受けなくてもよいのでは?」

「民衆を導くため、聖女様の名前が大切なのです!」

グチュグチュ。ジュプンジュプン。淫猥な水音は鳴りやまない。

「なるほど。それで淫乱聖女様が一日限りの純潔を取り戻そうとするため、俺に我慢を強いているというわけか」

「ああっ。わかっているなら、もうお許しを。ああん。イクぅぅぅ」

「ハハハ。妻が俺の指だけで善がる姿はこの上なく、可愛いものよ」

トロトロに蕩けさせられ、メロメロになっているアンジェリーヌは、涎が垂れていても拭いもせず

「やめないで……マックス様をマックスにさせて、抱いて、貫いて、激しく、もっと激しく」

「おい、おい。にわか生娘が台無しだぞ!」



-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-



教会での公務、その日は王妃だけが出席のはずが、なぜかマクシミリアン王まで、同行されていることに、教会関係者は首を捻る。

名誉なことは違いないが、王妃だけではなく国王までのご臨席は、緊張が走る。警備の近衛騎士団も同じなようで、姿勢を正している。

マクシミリアンとアンジェリーヌが並び立つだけで、格式と威厳に満ちている。

ご成婚当時は、年寄りと少女にしか見えなかったお二人も、国王が以前にも増して、より若々しくなられ、クリストファー殿下の兄と言ってもおかしくないぐらいに肌艶が良い。

王妃となられたアンジェリーヌも堂に入っていて、貫禄があり、お似合いのご夫婦となられたのだ。

公務は滞りなく終わり、退室されるかと思えば、陛下がやおら水晶玉を持ってくるように命じる。

そこに手をかざしたのは、アンジェリーヌ様で、ハナからこの瞬間に立ち会うため国王が臨席したのだ。水晶玉は、王妃陛下を聖女様と認めた瞬間だった。

「え!?聖女様とは、既婚者でもなれるの?」訝し気な司祭様をはじめとする教会関係者。

「王妃は、生まれながらにして、聖女様だったのだ。儂がこのように若々しく甦ったのは、聖女様の聖力を毎日、いただいておるからだ」

アンジェリーヌは、前世に聞いた話を蒸し返されたようで、サァッと顔色を悪くする。

側近が慌てたように王妃陛下の元へ近寄り、介抱する。間もなく、アンジェリーヌは、馬車に乗せられ、王宮へと戻った。

王都では、聖女様誕生の一報に民衆は沸き立つ。

王宮のバルコニーに立って、民衆の期待に応えなければならないのだけど……。

聖女様となれば、教会に口出しする権利が生まれる。これまで見過ごしてきた孤児院への支援金や医療施設への補助金、修道院の運営の在り方について、苦情を言うことも可能になる。

そのために、マクシミリアンと結婚し権力を手中に収めた。まあ、あれは追い出されたいという一心で、シたことなのだけど……。カラダの相性もよかったことだし、結果オーライでも、なんでもいい。

教会が慌てて用意した聖女様用のローブを羽織り、民衆が待つバルコニーに陛下と共に立つ。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

ついで姫の本気

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
国の間で二組の婚約が結ばれた。 一方は王太子と王女の婚約。 もう一方は王太子の親友の高位貴族と王女と仲の良い下位貴族の娘のもので……。 綺麗な話を書いていた反動でできたお話なので救いなし。 ハッピーな終わり方ではありません(多分)。 ※4/7 完結しました。 ざまぁのみの暗い話の予定でしたが、読者様に励まされ闇精神が復活。 救いのあるラストになっております。 短いです。全三話くらいの予定です。 ↑3/31 見通しが甘くてすみません。ちょっとだけのびます。 4/6 9話目 わかりにくいと思われる部分に少し文を加えました。

婚約破棄で見限られたもの

志位斗 茂家波
恋愛
‥‥‥ミアス・フォン・レーラ侯爵令嬢は、パスタリアン王国の王子から婚約破棄を言い渡され、ありもしない冤罪を言われ、彼女は国外へ追放されてしまう。 すでにその国を見限っていた彼女は、これ幸いとばかりに別の国でやりたかったことを始めるのだが‥‥‥ よくある婚約破棄ざまぁもの?思い付きと勢いだけでなぜか出来上がってしまった。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

親切なミザリー

みるみる
恋愛
第一王子アポロの婚約者ミザリーは、「親切なミザリー」としてまわりから慕われていました。 ところが、子爵家令嬢のアリスと偶然出会ってしまったアポロはアリスを好きになってしまい、ミザリーを蔑ろにするようになりました。アポロだけでなく、アポロのまわりの友人達もアリスを慕うようになりました。 ミザリーはアリスに嫉妬し、様々な嫌がらせをアリスにする様になりました。 こうしてミザリーは、いつしか親切なミザリーから悪女ミザリーへと変貌したのでした。 ‥ですが、ミザリーの突然の死後、何故か再びミザリーの評価は上がり、「親切なミザリー」として人々に慕われるようになり、ミザリーが死後海に投げ落とされたという崖の上には沢山の花が、毎日絶やされる事なく人々により捧げられ続けるのでした。 ※不定期更新です。

義母と義妹に虐げられていましたが、陰からじっくり復讐させていただきます〜おしとやか令嬢の裏の顔〜

有賀冬馬
ファンタジー
貴族の令嬢リディアは、父の再婚によりやってきた継母と義妹から、日々いじめと侮蔑を受けていた。 「あら、またそのみすぼらしいドレス? まるで使用人ね」 本当の母は早くに亡くなり、父も病死。残されたのは、冷たい屋敷と陰湿な支配。 けれど、リディアは泣き寝入りする女じゃなかった――。 おしとやかで無力な令嬢を演じながら、彼女はじわじわと仕返しを始める。 貴族社会の裏の裏。人の噂。人間関係。 「ふふ、気づいた時には遅いのよ」 優しげな仮面の下に、冷たい微笑みを宿すリディアの復讐劇が今、始まる。 ざまぁ×恋愛×ファンタジーの三拍子で贈る、スカッと復讐劇! 勧善懲悪が好きな方、読後感すっきりしたい方にオススメです!

処理中です...