24 / 35
死に戻り2
24.マクシミリアン視点
しおりを挟む
マクシミリアンは、苦悩の表情を浮かべている。
実は、今から約25年前ほどのこと、まだ先王が健在だったときの話で、現王がまだ少年時代を過ごしていたころの話にさかのぼる。
先王からの話によると、ベネズエラ伯爵家の嫡男が、悪夢を伴う勃起不能となり、妻を娶っても夜の営みができず、新妻と離縁を余儀なくされたという話なのだが、ベネズエラ家では、その不肖の息子を廃嫡し、親戚筋の遠国から、新たに養子を迎え、その者に後を継がせたという内容だったと思う。
なぜ今になって、その話を思い出したかというと、今、この国の若い世代の貴族男子は、同じような症状を訴え出ている者が多く、クリストファーもその例外に漏れなかった。
その筋の専門家に言わせると、原因不明で家としてではなく個人的な呪いにかかっているとのこと。
こんなに大勢もの人間を一度にかける呪いとは……?周辺国からのもの?我が国を貶めらんとする謀略か!?とも疑ったが、決定的な証拠は掴めずうやむやになってしまった。
いつ、かけられた呪いかもわからず、対処のしようがない。
それで25年前のベネズエラの嫡男を調べていくうちに意外なことが判明する。その嫡男は、当時の妻と離縁する前、婚約破棄をしていたことがわかった。相手は、現王妃アンジェリーヌの実母が伯爵令嬢だった頃に。当時、学園で親しくなった侯爵家の娘と結婚したいがため、あっさりとアンジェリーヌの実母を捨て、乗り換えたのだ。
よくある話と言えば、よくある話なのだが、その後、アンジェリーヌの実母はマキャベリ公爵と知り合い、1男1女を設けている。
その1男も……、厳密にいえば、アンジェリーヌの兄にあたるシャーロックも、同じ症状で苦しんでいると聞く。
それでいい年をしているというのに、未だに婚約者が決まらず、最近では引きこもりになっていると聞いた。
ベネズエラの嫡男と、シャーロックを結ぶ線上には、マキャベリ公爵夫人がいる。そのことだみれば、マキャベリ公爵夫人に事情を聴くのが一番手っ取り早いのだが、問題は、アンジェリーヌの実母だということにある。
マクシミリアンの目から見ても、アンジェリーヌとマキャベリ家の溝は深い。それも一方的にアンジェリーヌがマキャベリを忌避しているように見える。
いくら5歳の時に、親元から引き離され、王宮暮らしを余儀なくされたとはいえ、あまりにも不自然だ。
考えられる理由としては、あのマキャベリ夫人が変態者か変質者の類ということ。
ベネズエラの嫡男は、マキャベリ夫人の何らかの調教によって、トラウマになり、不能となったと見る線が自然ではないのか!?
表向きの理由は侯爵令嬢ということになってはいるが、それは世間体を気にしたベネズエラ家の言い分だったのかもしれない。
そう考えると今、流行りの呪いとは別物である可能性も否定できなくはない。
今から思えばの話になるが、5年前、あの幼気な少女が俺に迫った時、アンジェリーヌはマキャベリ家から逃れるために俺に抱かれたとの気持ちもある。
結果としては、愛するアンジェリーヌが手に入ったのだし、俺にとっては何よりうれしいことだったのだ。
マキャベリ夫人に隠された何かがあることは、確実なのだが、本人から聞き出せない以上、これ以上の進展は見込めない。
アンジェリーヌに知られないように、こっそり尋問をすることも可能だと思うが、もし、アンジェリーヌに知られたら大切な妃を失ってしまうことが何よりも怖い。
昼間は楚々として貞淑な妻が、夜の帳が下りるころ、俺の前だけ別人となって淫らな表情をさらけ出す妻が愛おしくて堪らない。
もし、アンジェリーヌの逆鱗に触れ、離縁でもすることになって、他の男にその姿を見せることになれば、俺は正気ではいられなくなるだろう。
アンジェリーヌを独占したい。つなぎ留めたい。その一念だけでも俺の息子は固く太く、そそり立つ。
実は、今から約25年前ほどのこと、まだ先王が健在だったときの話で、現王がまだ少年時代を過ごしていたころの話にさかのぼる。
先王からの話によると、ベネズエラ伯爵家の嫡男が、悪夢を伴う勃起不能となり、妻を娶っても夜の営みができず、新妻と離縁を余儀なくされたという話なのだが、ベネズエラ家では、その不肖の息子を廃嫡し、親戚筋の遠国から、新たに養子を迎え、その者に後を継がせたという内容だったと思う。
なぜ今になって、その話を思い出したかというと、今、この国の若い世代の貴族男子は、同じような症状を訴え出ている者が多く、クリストファーもその例外に漏れなかった。
その筋の専門家に言わせると、原因不明で家としてではなく個人的な呪いにかかっているとのこと。
こんなに大勢もの人間を一度にかける呪いとは……?周辺国からのもの?我が国を貶めらんとする謀略か!?とも疑ったが、決定的な証拠は掴めずうやむやになってしまった。
いつ、かけられた呪いかもわからず、対処のしようがない。
それで25年前のベネズエラの嫡男を調べていくうちに意外なことが判明する。その嫡男は、当時の妻と離縁する前、婚約破棄をしていたことがわかった。相手は、現王妃アンジェリーヌの実母が伯爵令嬢だった頃に。当時、学園で親しくなった侯爵家の娘と結婚したいがため、あっさりとアンジェリーヌの実母を捨て、乗り換えたのだ。
よくある話と言えば、よくある話なのだが、その後、アンジェリーヌの実母はマキャベリ公爵と知り合い、1男1女を設けている。
その1男も……、厳密にいえば、アンジェリーヌの兄にあたるシャーロックも、同じ症状で苦しんでいると聞く。
それでいい年をしているというのに、未だに婚約者が決まらず、最近では引きこもりになっていると聞いた。
ベネズエラの嫡男と、シャーロックを結ぶ線上には、マキャベリ公爵夫人がいる。そのことだみれば、マキャベリ公爵夫人に事情を聴くのが一番手っ取り早いのだが、問題は、アンジェリーヌの実母だということにある。
マクシミリアンの目から見ても、アンジェリーヌとマキャベリ家の溝は深い。それも一方的にアンジェリーヌがマキャベリを忌避しているように見える。
いくら5歳の時に、親元から引き離され、王宮暮らしを余儀なくされたとはいえ、あまりにも不自然だ。
考えられる理由としては、あのマキャベリ夫人が変態者か変質者の類ということ。
ベネズエラの嫡男は、マキャベリ夫人の何らかの調教によって、トラウマになり、不能となったと見る線が自然ではないのか!?
表向きの理由は侯爵令嬢ということになってはいるが、それは世間体を気にしたベネズエラ家の言い分だったのかもしれない。
そう考えると今、流行りの呪いとは別物である可能性も否定できなくはない。
今から思えばの話になるが、5年前、あの幼気な少女が俺に迫った時、アンジェリーヌはマキャベリ家から逃れるために俺に抱かれたとの気持ちもある。
結果としては、愛するアンジェリーヌが手に入ったのだし、俺にとっては何よりうれしいことだったのだ。
マキャベリ夫人に隠された何かがあることは、確実なのだが、本人から聞き出せない以上、これ以上の進展は見込めない。
アンジェリーヌに知られないように、こっそり尋問をすることも可能だと思うが、もし、アンジェリーヌに知られたら大切な妃を失ってしまうことが何よりも怖い。
昼間は楚々として貞淑な妻が、夜の帳が下りるころ、俺の前だけ別人となって淫らな表情をさらけ出す妻が愛おしくて堪らない。
もし、アンジェリーヌの逆鱗に触れ、離縁でもすることになって、他の男にその姿を見せることになれば、俺は正気ではいられなくなるだろう。
アンジェリーヌを独占したい。つなぎ留めたい。その一念だけでも俺の息子は固く太く、そそり立つ。
131
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
精霊姫の追放
あんど もあ
ファンタジー
栄華を極める国の国王が亡くなり、国王が溺愛していた幼い少女の姿の精霊姫を離宮から追放する事に。だが、その精霊姫の正体は……。
「優しい世界」と「ざまあ」の2バージョン。
【完結】悪役令嬢ですが、元官僚スキルで断罪も陰謀も処理します。
かおり
ファンタジー
異世界で悪役令嬢に転生した元官僚。婚約破棄? 断罪? 全部ルールと書類で処理します。
謝罪してないのに謝ったことになる“限定謝罪”で、婚約者も貴族も黙らせる――バリキャリ令嬢の逆転劇!
※読んでいただき、ありがとうございます。ささやかな物語ですが、どこか少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
「お前を愛することはない」と言われたお飾りの妻ですが、何か?
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することはない!」「そんな事を言うために女性の寝室に押し入ったのですか? もう寝るつもりで化粧を落として髪をほどいて寝着に着替えてるのに! 最っ低!」
仕事大好き女が「お飾りの妻最高!」と恋愛感情無しで結婚したらこうなるよね、というお話。
結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。
ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。
王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。
そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。
「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、
冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまう
リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、
悪役令嬢として断罪された少女が、
「誰かの物語の脇役」ではなく、
自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、
彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。
潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる