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死に戻り2
25.悪夢
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クリストファーの夢
子供のころから何度も見た夢、というか、思えば他の夢を見たことがない。物心ついてから、ずっと同じ夢を見続けている。
1回で完結しない、続きがないことにも苦しんでいた。
クリストファーにとって、大切な横顔。母親のような温かい存在でもあり、眩しい憧れの存在でもあった女性だが、誰のことか、さっぱり思い出せない。
それでも、その女性のことを考えているときは、心が温かくなる。もっと、一緒にいたい。もっと、触れ合いたい。もっと、話したい。もっと、大事にしたい。もっと、守りたい。もっと、笑顔にさせたい。もっと、優しく接したい。もっと、……したい。もっと、……したい。
その女性と何がしたかったのかは、わからない。でも、クリストファーにとって、かけがえのない存在だったことは確かなこと。
場面は変わり、その女性にクリストファーが花束を差し出しているが、その女性は受け取ってくれない。そこに複数の男たちが現れ、どこかへ連れ去ろうとしている。その女性は泣きわめき、抵抗するが、男たちの腕力には敵わない。
クリストファーは、足がすくんで動けない自分と、自分に助けを求めてくれれば王子の権力で何とかできるかもしれないが、いつもツレナイ女性が困っている姿を見るのも悪くないと傍観している。
複数の男たちは、皆、同じような衣装を着ている。なんとなくだが、それはウチの近衛騎士団の制服に似ているような、似ていないような。
そのうち、その女性は集団で辱めを受ける羽目になっていく。それでも、その女性は自分に助けを求めてこない。まるでクリストファーの存在がわからないような?それとも、見せつけているのか?それはわからない。
大切なものを汚し、汚されていく。夢の中でも、「やめろぉ」と叫び出したいぐらいの嫌悪感と同時にもっと汚してやれと言う愉悦感を同時に感じる。
自分の中にある良心と悪魔の心が同時にせめぎ合いながら、傍観を決め込んでいる。
やがて、その女性は、クリストファーの眼前で、カラダを引きちぎられ、無残にも死んでいく。
バラバラになった遺体を、呆然と見下ろすクリストファー。
そして、いつも最後には、どう謝罪しても許されない罪悪感と悔悟の念だけが残り、逃げ出したくとも逃げ出せない。
言葉にならないような悲しみと悔しさで心がいっぱいになり、胸が張り裂けるほどに痛む。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
シャーロックの夢
俺は、見ず知らずの女を手籠めにし、酔いしれ満足している。その直後何かに追いかけられ、逃げ惑うも、行き場を塞がれる。首を斬られるも、その首を持って、さらに逃げ、ついには大事なムスコを切り落とされて目が覚める夢。
ここ、10年ぐらいは、この夢ばかりを見る。
物心ついた時は、別の夢で、いつもわぁーっと泣くと公爵邸の誰かが飛んできてくれて、慰めてくれたものだ。
俺には、4歳離れた妹がいる。俺の言うことはなんでも聞いてくれる可愛い妹で、何でもできる自慢の妹でもあった。
ある時、その妹が3歳ぐらいの時だろうか。俺が大事にしていたオモチャを自分のものだと言い張り、盗んだのだ。それが俺にはどうしても許せなくて、つい突き飛ばした拍子に妹は地面に倒れた。倒れた時に頭を強打したのか、そのまま死んでしまった。
妹の耳の穴から鮮血が流れ出るのを見て、この目に焼き付いて離れない。
家族からも使用人からも、冷たい目で見られ、「お兄ちゃんの癖に妹を突き飛ばすなんて」と非難される毎日に耐えがたくなった。
俺は、屋敷の地下にある牢屋に放り込まれ、来る日も来る日も折檻される。
もっと幼いときは、別の悪夢も見ていたような気がするが、全々覚えていない。、
先日、親父に問い詰められ、とうとう白状しちまったが、親父の奴、この夢のことを母親にも話したらしく、母親は息子を、汚物を見る目で見やがるようになって、許せない!
女を抱こうにも、閨教育でもダメだった。女も抱けないし、このままいくと廃嫡だろうな。
子供のころから何度も見た夢、というか、思えば他の夢を見たことがない。物心ついてから、ずっと同じ夢を見続けている。
1回で完結しない、続きがないことにも苦しんでいた。
クリストファーにとって、大切な横顔。母親のような温かい存在でもあり、眩しい憧れの存在でもあった女性だが、誰のことか、さっぱり思い出せない。
それでも、その女性のことを考えているときは、心が温かくなる。もっと、一緒にいたい。もっと、触れ合いたい。もっと、話したい。もっと、大事にしたい。もっと、守りたい。もっと、笑顔にさせたい。もっと、優しく接したい。もっと、……したい。もっと、……したい。
その女性と何がしたかったのかは、わからない。でも、クリストファーにとって、かけがえのない存在だったことは確かなこと。
場面は変わり、その女性にクリストファーが花束を差し出しているが、その女性は受け取ってくれない。そこに複数の男たちが現れ、どこかへ連れ去ろうとしている。その女性は泣きわめき、抵抗するが、男たちの腕力には敵わない。
クリストファーは、足がすくんで動けない自分と、自分に助けを求めてくれれば王子の権力で何とかできるかもしれないが、いつもツレナイ女性が困っている姿を見るのも悪くないと傍観している。
複数の男たちは、皆、同じような衣装を着ている。なんとなくだが、それはウチの近衛騎士団の制服に似ているような、似ていないような。
そのうち、その女性は集団で辱めを受ける羽目になっていく。それでも、その女性は自分に助けを求めてこない。まるでクリストファーの存在がわからないような?それとも、見せつけているのか?それはわからない。
大切なものを汚し、汚されていく。夢の中でも、「やめろぉ」と叫び出したいぐらいの嫌悪感と同時にもっと汚してやれと言う愉悦感を同時に感じる。
自分の中にある良心と悪魔の心が同時にせめぎ合いながら、傍観を決め込んでいる。
やがて、その女性は、クリストファーの眼前で、カラダを引きちぎられ、無残にも死んでいく。
バラバラになった遺体を、呆然と見下ろすクリストファー。
そして、いつも最後には、どう謝罪しても許されない罪悪感と悔悟の念だけが残り、逃げ出したくとも逃げ出せない。
言葉にならないような悲しみと悔しさで心がいっぱいになり、胸が張り裂けるほどに痛む。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
シャーロックの夢
俺は、見ず知らずの女を手籠めにし、酔いしれ満足している。その直後何かに追いかけられ、逃げ惑うも、行き場を塞がれる。首を斬られるも、その首を持って、さらに逃げ、ついには大事なムスコを切り落とされて目が覚める夢。
ここ、10年ぐらいは、この夢ばかりを見る。
物心ついた時は、別の夢で、いつもわぁーっと泣くと公爵邸の誰かが飛んできてくれて、慰めてくれたものだ。
俺には、4歳離れた妹がいる。俺の言うことはなんでも聞いてくれる可愛い妹で、何でもできる自慢の妹でもあった。
ある時、その妹が3歳ぐらいの時だろうか。俺が大事にしていたオモチャを自分のものだと言い張り、盗んだのだ。それが俺にはどうしても許せなくて、つい突き飛ばした拍子に妹は地面に倒れた。倒れた時に頭を強打したのか、そのまま死んでしまった。
妹の耳の穴から鮮血が流れ出るのを見て、この目に焼き付いて離れない。
家族からも使用人からも、冷たい目で見られ、「お兄ちゃんの癖に妹を突き飛ばすなんて」と非難される毎日に耐えがたくなった。
俺は、屋敷の地下にある牢屋に放り込まれ、来る日も来る日も折檻される。
もっと幼いときは、別の悪夢も見ていたような気がするが、全々覚えていない。、
先日、親父に問い詰められ、とうとう白状しちまったが、親父の奴、この夢のことを母親にも話したらしく、母親は息子を、汚物を見る目で見やがるようになって、許せない!
女を抱こうにも、閨教育でもダメだった。女も抱けないし、このままいくと廃嫡だろうな。
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