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死に戻り2
26.父マキャベリ公爵のつぶやき1
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アンジェリーヌの父、ジョージア・マキャベリ50歳は、マキャベリ家の三男坊として生まれる。嫡男は戦死、次男は事故死、本来なら無役の三男坊が後を継ぐ羽目になったのだ。結婚が遅く隣国の留学先から帰ってきたばかりのところに妻のエレモアに押し倒され、その責任を取る形で結婚した。
妻は処女ではなかった。ちょうど、兄が事故死したとの知らせを受けて、慌てて帰国したものだから、婚約者がいなかったので、責任を取る形にしたのだが、今でも、妻との結婚は失敗だったと後悔している。
ジョージアには、想い人がいた。それは、兄嫁のカトリーヌ。カトリーヌは、美しく聡明で、優しい女性。兄との間に子供はいなかった。そういえば、長兄夫婦には、子供は恵まれなかった。
マキャベリ家は、子供に恵まれない家系だったのだろうか。幼くして、ほぼ同じ時期に疱瘡にかかったことがあり、それが原因で、子供が生し難いカラダとなってしまったようだ。
だからエレモアに、まさか1回だけで子供ができたとの知らせに明らかに狼狽え責任を取ると言ってしまったのだ。
あの夜のことは、今でもはっきり覚えている。
早馬を乗り継いで、帰国した日の夜に、夜会があり、とりあえずマキャベリの体面を保つことが先決だと諭され、無理やり、夜会へ出席させられたからで、自分の意志ではなかったのだ。
夜通し、馬を乗り継いで来たので、前夜はほとんど徹夜であったため、眠気が容赦なくジョージアを襲う。
そのため、少量のアルコールでも回りが早い。
大事なところだけ、挨拶を先に済ませ、壁の花となっていた時、一人の令嬢に声を掛けられた。それがエルモアだったのであるが、
「久しぶりの夜会で、少々疲れましたわ。静かなところで休みませんか?」
この「休む」が曲者だったわけで、寝不足で疲れ切っていたジョージアには、「休む」が「休息」を意味しているとばかりに思い込んでしまったのが運の尽き。
部屋に連れ込まれたジョージアは、ズボンを脱がされても、休息のためだと思い込んでいた朴念仁。
何も進んでやる気が起こらないぐらい眠かったのだ。でも、それは格好の餌食にしようとしていたエルモアによって、言い訳にしかならないことは、後でイヤというほど思い知らされた。
「ええ。そういうことにしといたげるわ」
今でも、夫婦喧嘩とまで行かなくても、言い合いになった時、必ず、この時のことがやり玉に挙げられてしまう。
エルモアは、ジョージアの下半身に手をかけ、扱き口に含んだ。
慣れた手つきだったが、ジョージアは余裕なく昂ぶり、そのまま欲望に従ってしまう。
ジョージアは、童貞ではない。隣国に留学しているとき、それなりにモテた。公爵家の三男坊は、婿養子候補としての優良物件で、よく夕食会に招かれたものだ。だが、隣国の貴族令嬢は、決して、男を押し倒すような真似はしなかった。
隣国での留学生活が長かったせいで、すっかりその癖が抜けきらなくて、油断していたということもある。
これがもし、ジョージアが女だったとしたら、いくら疲れていても、貞操観念があり、他人の前で気を許すことなどあり得なかったというところだろう。
子供ができたといわれても、それはジョージアの子ではないという確信があったが、もし、本当にジョージアの子供だったら、マキャベリの家は安泰となる。
それがたとえ、他人の子種であったとしても、ジョージアはそういう打算でエレモアとの結婚を妥協した。
生まれてきたシャーロックの顔は、やはりというべきか、ジョージアとは似ても似つかない顔立ちで、髪の色も瞳の色もマキャベリの家の子とは、思えない。
こんなんだったら、周囲の反対を押し切ってでも兄嫁のカトリーヌと結婚した方が良かったとさえ思う。
子供がいなくても、養子をもらうなどして、夫婦二人で仲良く暮らしていけただろう。
ジョージアが生まれてから4年後、アンジェリーヌが生まれる。
アンジェリーヌも自分の子かどうかは、わからなかったが、母方の曽祖母に似た髪色と瞳の色がそっくりだったので、我が子だと認識した。
妻は処女ではなかった。ちょうど、兄が事故死したとの知らせを受けて、慌てて帰国したものだから、婚約者がいなかったので、責任を取る形にしたのだが、今でも、妻との結婚は失敗だったと後悔している。
ジョージアには、想い人がいた。それは、兄嫁のカトリーヌ。カトリーヌは、美しく聡明で、優しい女性。兄との間に子供はいなかった。そういえば、長兄夫婦には、子供は恵まれなかった。
マキャベリ家は、子供に恵まれない家系だったのだろうか。幼くして、ほぼ同じ時期に疱瘡にかかったことがあり、それが原因で、子供が生し難いカラダとなってしまったようだ。
だからエレモアに、まさか1回だけで子供ができたとの知らせに明らかに狼狽え責任を取ると言ってしまったのだ。
あの夜のことは、今でもはっきり覚えている。
早馬を乗り継いで、帰国した日の夜に、夜会があり、とりあえずマキャベリの体面を保つことが先決だと諭され、無理やり、夜会へ出席させられたからで、自分の意志ではなかったのだ。
夜通し、馬を乗り継いで来たので、前夜はほとんど徹夜であったため、眠気が容赦なくジョージアを襲う。
そのため、少量のアルコールでも回りが早い。
大事なところだけ、挨拶を先に済ませ、壁の花となっていた時、一人の令嬢に声を掛けられた。それがエルモアだったのであるが、
「久しぶりの夜会で、少々疲れましたわ。静かなところで休みませんか?」
この「休む」が曲者だったわけで、寝不足で疲れ切っていたジョージアには、「休む」が「休息」を意味しているとばかりに思い込んでしまったのが運の尽き。
部屋に連れ込まれたジョージアは、ズボンを脱がされても、休息のためだと思い込んでいた朴念仁。
何も進んでやる気が起こらないぐらい眠かったのだ。でも、それは格好の餌食にしようとしていたエルモアによって、言い訳にしかならないことは、後でイヤというほど思い知らされた。
「ええ。そういうことにしといたげるわ」
今でも、夫婦喧嘩とまで行かなくても、言い合いになった時、必ず、この時のことがやり玉に挙げられてしまう。
エルモアは、ジョージアの下半身に手をかけ、扱き口に含んだ。
慣れた手つきだったが、ジョージアは余裕なく昂ぶり、そのまま欲望に従ってしまう。
ジョージアは、童貞ではない。隣国に留学しているとき、それなりにモテた。公爵家の三男坊は、婿養子候補としての優良物件で、よく夕食会に招かれたものだ。だが、隣国の貴族令嬢は、決して、男を押し倒すような真似はしなかった。
隣国での留学生活が長かったせいで、すっかりその癖が抜けきらなくて、油断していたということもある。
これがもし、ジョージアが女だったとしたら、いくら疲れていても、貞操観念があり、他人の前で気を許すことなどあり得なかったというところだろう。
子供ができたといわれても、それはジョージアの子ではないという確信があったが、もし、本当にジョージアの子供だったら、マキャベリの家は安泰となる。
それがたとえ、他人の子種であったとしても、ジョージアはそういう打算でエレモアとの結婚を妥協した。
生まれてきたシャーロックの顔は、やはりというべきか、ジョージアとは似ても似つかない顔立ちで、髪の色も瞳の色もマキャベリの家の子とは、思えない。
こんなんだったら、周囲の反対を押し切ってでも兄嫁のカトリーヌと結婚した方が良かったとさえ思う。
子供がいなくても、養子をもらうなどして、夫婦二人で仲良く暮らしていけただろう。
ジョージアが生まれてから4年後、アンジェリーヌが生まれる。
アンジェリーヌも自分の子かどうかは、わからなかったが、母方の曽祖母に似た髪色と瞳の色がそっくりだったので、我が子だと認識した。
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