魔女と呼ばれ処刑された聖女は、死に戻り悪女となる

青の雀

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死に戻り2

27.父のつぶやき2

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アンジェリーヌが生まれた頃から、悪夢しか見なくなった。

毎晩見る夢は、おぞましいものだった。

愛娘に向かって、「どこの馬の骨かわからない」と暴言を吐いているのだ。ようやく授かった。たった一人の愛娘に対し、暴言どころか、鞭まで取り出して引っ叩いている夢。

眼の中に入れても痛くないはずの娘を化け物でも見るかのような目で見て、罵言罵倒し、突き放し、悲しげな眼で見てくるアンジェリーヌの姿に胸がかきむしられる思いがする。

これがシャーロックだったら、潜在意識が夢に出て、罵っているとしても、致し方がないことと諦めもつくが、相手が相手だけに、ただの悪夢だと笑って済まされない。

念のため、屋敷の者にも、それとなく聞いてみたら、皆、同じように毎晩、悪夢を見ているという。それも可愛らしいお嬢様を苛めている夢、折檻している夢、暴行を加えている夢など、様々であった。

そこで、ハっと気づき、これは、ひょっとすれば前世のことを夢に見ているのではないかと考えるようになった。それでなければ、近未来に起こりうる予知夢のどちらかとも考えられるが、これだけ大勢の人間が予知夢を見ること自体が稀有で、前者であると考えざるを得ないと結論付けた。

それからは、ジョージアはできるだけ悪夢を見て、その夢の中から何かヒントを掴むことに夢中になった。

なぜ、アンジェリーヌが冤罪を着せられたのか?など、調べれば調べるほど不可解なことばかり。

ジョージアもまた、前世の記憶持ちというか?前世の記憶を必死に求め、思い出すことに成功した。きっかけは、悪夢だったとしても、アンジェリーヌは今も可愛い娘、自慢の娘に違いない。王宮へ行った切りで久しいが、記憶の中のアンジェリーヌは聖女様になったことで、偽聖女の魔女の妬みを買ってしまい、とことん迫害され、死に至ったということを思い出したのだ。

その片棒担ぎをされたのが、前世のマキャベリ家で、アンジェリーヌがもし、前世の記憶持ちだとしたら、大変な恨みをマキャベリ家に持っているに違いない。

それで12歳の時に、国王陛下の愛妾となり、3人の子供を生し、成人と同時に結婚したのだとしたら、その責任の大半は、マキャベリにあると言っても過言ではない。

なぜなら、アンジェリーヌは赤ちゃんの頃から、すでに聖魔法を使っていたことがわかっている。

初めて見た時は、驚愕し、「さすが!俺の娘」というようなことを言った気もするが、母方の曾祖母が聖女様だったことで、聖女様の魔法は、他の家門より詳しい。

ジョージアはそれでピンときた。

赤ちゃんの頃から聖魔法に慣れ親しんでおけば、18歳の時に、魔女が来ても充分対峙できる。

そして、アンジェリーヌ17歳の時、「聖女宣言」をされ、見事に民衆の心をお掴みになられた。

まだ、親がかりの年齢だと言われる中、ずいぶんと苦労を掛けてしまい、申し訳なかった。

これでもう、いつ偽聖女が現れても憂うことなく……だといいが。

我々にあのような夢を見させた神は、おそらく二度とこのようなことが繰り返されないために、警告を発せられているのだろう。

それはそうと、シャーロックの夢はどうにも理解しがたい夢で……、シャーロックも都合が悪い部分は言っていないような気がするが、なんとなくだが、前世はインポテンツではなかったように思える。

このまま、孫の顔が拝めないようであれば、外孫のアンジェリーヌの息子・王子のうち、一人をマキャベリにもらい受けるつもりでいる。

悪夢の分析を途中まででもしたことに、評価できる部分もあるが、アンジェリーヌの本当の悲しみや苦しみは、到底、誰にも分らない。

アンジェリーヌは、3人の子供たちのため、治世に苦慮している。
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