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 レストランメニューが揃ってので、全員で試食会をすることになる。

 ややこしいので名前で書くことにします。
 公爵邸の家出に参加した執事:ジャック・ニコルソン
 公爵邸の料理長:ユベール・アーンストーン

 領地の執事:セバスチャン・エマール
 領地の料理長:フランシス・バダンテール

 ユベールとフランシスの料理対決の模様になってきたわ。どちらのお料理もおいしそう。って同じメニューなのに、盛り付けが違うのね。それはそれで、面白い。

 今日は朝から、何も口にせず、この時を待った。2人前食べなきゃならないからお腹を減らしておく必要があるのね。使用人も、おやつを食べずグッと我慢の子を決めているが、厨房からいい匂いがしてきただけで、お腹がグ~っとなりっぱなし。

 まずは前菜オードブル、トマトと貝柱のカルパッチョ

 次はスープ コンソメかポタージュかさんざん揉めて、ユベールさんは、ベーコンと玉ねぎのコンソメスープ、溶き卵を少し散らしている。フランシスさんはジャガイモのポタージュ仕立てにされた。クルトンが美味しい。

 魚料理ポワソン 鱈のポワレ

 口直しソルベ 桃のソルベ

 肉料理アントレ 牛フィレステーキ、ソースがそれぞれ工夫の一品みたい。

 デザートデセール パンナコッタ

 あー美味しかった。お腹いっぱいになりましたわ。もう、お行儀が悪くたって、お腹をさすりたいぐらいです。実際、騎士の人はさすっている。

 レストランのほうは、これで問題は場所を買う?それともここでやってもいいけど、誰かの土地かもしれないから、一応、明日商業ギルドに行って、場所探しをしましょう。

 翌日、早速、商業ギルドへ全員で行く。なぜか、セバスチャンにフランシスまでついてきた。別にいいけど。ハートフルス公爵家の使用人は団結しているのである。団体行動が得意な日本人並みである。いや、それ以上か?とにかくアンジェリーナお嬢様を守るという使命がそうさせているのである。

 商業ギルドに着くと執事のジャック・ニコルソンが取り仕切って、繁華街付近の売り土地が出ていないか聞いている。借地でもいいけど、ここで永住するとは限らないから。この世界の固定資産税って聞いたことがないなぁ。どうなってるのか?土地は基本的にすべて、その国の国王のものらしいので、借地になったわ。仕方ないわね。借りるにしても一回こっきりの権利金を支払うだけで、余程のことがないと追い出されることはなく、その土地で自由に商いをしてもいいし、住んでも良いというとことらしいわ。

 そうなると、少し広いめの土地があればいいわね。公爵邸とレストランが置けるような土地があればいい。もしかして、家付きの土地しかないのなら、それでもいい。上物の家を異空間収納で消して、領地に移築してもいいのだから、とにかく土地の広さだけで選ぶことにする。

 元は、貴族の別荘だったところの屋敷が広大な敷地があるので、それを借りることにした。これもみんなでぞろぞろ見に行って決めたよ。何軒か上物付きで、あったけど王都の中心部の家は、レストランも置けないぐらい狭い土地、だからパス。そこから近くの商店街の中にある土地。上物付きで、レストランは入るかもしれないけど、公爵邸はとても入らない。ので、断念、結局どこかの貴族の別荘地だけが、まぁ何とかというところか。商店街から歩いて10分足らずの立地と言うから、まあいいんじゃないの?貴族街の住宅地に小洒落たレストランがあるというのも悪くはない。

 でも元からあった貴族のお屋敷が贅を尽くした作りになっていて、もったいないような?それで、敷地の奥へ移動させて、空いたスペースにレストランを入り口の道路沿いに、少し離れたところに公爵邸を出す。

 レストランの周りには、庭園を配置すれば。お天気のいい時はオープンテラスで、そこでも食事ができるようにする。また、貴族が好むようにデザート部門に力を入れ、お茶会なども行えるように準備していく。

 なぜか、アンジェリーナの特殊スキルの中に異世界通販というのがあって、面白そうなので、一回注文したら、皆、美味しいって言ってくれたので、そこからそれからちょくちょくお買い物するようになったのである。二人の料理長も珍しい食材をそこから買ってくれと言われるままに買い、すべて渡すようにしている。お茶もお菓子もこの世界にはない珍しいものがいっぱい溢れている。

 レストランを開店してみたが、お客がさっぱり来ない。割引券付きのチラシを商店街に配ったのに。どうして?と思っていたら、なんとレストランの敷地で昔、何やらいわくつきの場所だったらしく、お客さんは、怖がって来てくれないらしい。

 そうなれば、聖女様の力で、「え?どうするの?」アンジェリーナは、きょとんとしている。

 とりあえず、アンジェリーナは、この場所をお祓い?することにしてみた。やりかたはわからないが、最後に「お願い!」と念じるだけで、たいていのことが解決できる力があるからである。

 アンジェリーナが念じると、一瞬、金色に光り輝いて終わる。「え?済んだ?」誰も視えないので、よくわからないけど、なんとなく空気が清浄になったような気がする。

 でもレストラン方向が金色に輝いていたのを、王都のお客さんたちは見逃していなかった。

 「何あれ?新しくできたレストランの方角から光ったよ。一度、行ってみようか?」という殊勝なお客様がみえて、それから口コミで美味しい。という噂が広まり、今日も盛況である。

 食事だけでなく、カフェのお客様も増えてきた。異世界のお菓子はどれも美味しく見た目もきれいだから、テイクアウトをしたいとのお客様も増えて、ケーキ屋も始めました。

 アンジェリーナの異世界通販の画面は、アンジェリーナにしか見えないので、印刷!と念じたら、画面がプリントアウトされたものが出てきたので、それを加工して、メニュー表に張り付けることにした。金額は高めに設定しても、飛ぶように売れたわ。

 同業者が偵察によく来られるようになったものの仕入れ先がわからなく、断念していく。異世界の野菜や魚、肉、果物、調味料は珍しい。ここで手に入らないのだから仕方がない。

 レストラン経営が軌道に乗ったのち、護衛や騎士がいよいよ冒険に出かけることになったのである。最初は、護衛や騎士が必要になるかもしれない、とショバ代とか要求されるかもしれないと、ビクついていて、居てもらっていたけど、商業ギルドのあっせんで商売しているから誰も文句は言ってこなくて良かった。それで暇になったので、冒険に行くことになったのであるが、最初からダンジョンを目指すらしい。薬草採取がいいのでは?と思っていたけどウズウズして暴れたいらしく、最初からダンジョンへ行くことになったのだ。それで、ダンジョンには、必ずセーフティスペースがあるので、そこに異空間通路を作れば、いつでも戻ってこられるからと、アンジェリーナがそのセーフティスペースまで同行することになったのである。

 ジャック・ニコルソンは当然、反対するも「それなら、執事も一緒についてくれば?」といわれ、執事もついてくることになったのである。

 「え?じゃあ、その間のレストランの支配人は誰がやるの?」という話になり、結局、レストランを休業して、全員でダンジョンに潜ることにしたのだ。どういうこと?お嬢様大事もわかるけど、ここまでくるとは……、ま、いいでしょう。



誤字チェックまだです。あとで帰ってからやりますです。
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