クリスマスの奇跡~美しき珍獣

青の雀

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有馬温泉

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 社長の思惑通り、祖母、娘、孫モデルは大成功の裡に撮影終了となる。3人とも体系がほぼ同じなので、同じサイズの色違いを着てもらう。

 上から62歳、42歳、22歳なので早婚の家系なのだろうが、遠目から見ると、姉妹のようにも見える。

 今後、しずくが抜けてもAWは健在で、祖母と母がモデル業を繋いでくれるだろう。

 しかし、社長が熟女好きだとは思わなかった。でも社長の年齢を考えると、釣り合うのかもしれない。

 会社内には、様々な年齢層がいるから、そこにうまくマッチしているといえよう。



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 そして今は、CM出演後のための家族サービス

 兵庫県の有馬温泉に来ている。もちろん露天風呂付客室に滞在しているのだが、客室についている露天風呂では、温泉効果がないらしい。それは、有馬温泉に限らず、どこの温泉場でも同じなのだが、有馬温泉は金泉銀泉で有名だから。

 客室に引き込んでいるお湯が銀泉ではないということなのだ。

 有馬温泉は、太閤秀吉も愛したという日本三古泉の一つに数えられる近畿の奥座敷とも呼ばれているほど、親しまれているのである。

 古くは日本書紀や枕草子にも登場し、神話によれば、三和の傷ついたカラスが水浴をしていたところ、数日で傷が治ったことから、温泉の在りかを教えてくれた有馬の三羽烏として有馬に住むことを許されたという逸話が残っている。

 しずくの父方のグランマも交えてだから、女4人揃うとかしましいなんてものでは済まない。

 残りの男4人は、所在なさげに部屋の隅でちびちび飲みしていたのだが、

 「せっかく人数がそろっているので、麻雀でもしますか?」

 しずくグランパが言い出し、同意して始めることになったのだ。

 パイを混ぜるジャラジャラという音がうるさいからと、麻雀室を借りることになった。

 「しかし、婿殿。よくしずくを貰ってくれた。あんな世間知らずだが、よろしく頼む。」

 グランパも同調してくれて、

 「こんな古いだけが取り柄のような家の養子になってくれて、ありがとう。」

 「いえ、お孫さんの美しさに目がくらんでしまって。」

 「それは誰でも、仕方がないことです。あの美しき珍獣を見てしまったら、誰でも手に入れたいと思うのは当然のことです。」

 それから一通り、あの美人母娘の話で盛り上がり、グランパだけが取り残された形になってしまう。

 「儂も一度でいいから、あんないい女とヤりたかった。それを見合いであんなブスを押し付けられてしまい、不本意だった。だから、お前が嫁さんに一目ぼれしたと儂に泣きついてきたときは、嬉しかったぞ。これで嫁を抱けなくても、連れて歩くことはできる。舅としてな。」

 「そういえば、親父はことあるごとに妻を引っ張りまわしたのは、そういうことか……。会合だとか、商工会の集まりがあると言っては、妻と同伴したことがあった。」

 「いや、すまなかった。でもなウチのが、ブスで良かったと今では思っている。何があっても信じられるし、それに一番は、気が休まるということだ。美人の嫁といるときは、いつも緊張していたからな。」

 その言葉は、サイゴンにも通じるところがある。しずくは、高級料理でも、毎日となると胃が持たれる。たまには素うどんがいい時もある。

 実際の食事は、健康管理に気を配ってくれているので、高級料理ばかりではないのだが。それはしずくの病気のこともあってだと思う。

 かといって、しずく以外の女を抱きたいと思ったことはこれまで1度もない。

 「グランマは、決してブスなどではありませんよ。知性あふれる上品なご婦人ですよ。」

 サイゴンの一言が余程嬉しかったのか、グランパは涙を流している。

 「そうだよ、俺もおふくろのことをブスだなんて、一度も思ったことがない。ただキリっとしていて、凛とした教師姿が印象的で、いつも誇らしかったよ。」

 「そうか。お前も母さんを誇らしく思っていたんだな。それを聞いて安心したよ。」

 しずく一行は、有馬温泉を十分すぎるほど堪能した後は、六甲山、メリケンパーク、異人館めぐりとそれぞれ行きたいところが違うようなので、有馬温泉でいったん解散して、各自で京都へ戻ってもらうことにしたのだが、どういうわけかサイゴンに付いてくる。

 それも女性陣が!しずく祖母、母はわかるがなぜかグランマまでもが、サイゴンに付いてくる。

 え……?

 「だってカッコいいんですもの。わたくし、一度でいいからこんな素敵な殿方と歩いてみたかったのよ。」

 いつもなら、しずくがふくれっ面するところなのだが、どういうわけかしない。それどころかニヤニヤしている。

 昨日、淑女協定をしたらしい。

 普段、独占しているしずく以外の女性が、サイゴンにエスコートしてもらう権利を順番に分かち合うということらしい。

 なんというはしたない協定だ。

 これならしずくと出会う前に戻ったようなものだ。

 高校から大学、社会人になるまでサイゴンは美形だというだけで、女からいつも付きまとわれていた。それが今、まさに再現される悪夢となるとは、思っていなかったこと。

 でもまぁ、むげには断れない。みんな親戚だから。

 六甲山は、グランマと。メリケンパークはしずく祖母、異人館めぐりはしずく母とめぐることになったのだ。
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