クリスマスの奇跡~美しき珍獣

青の雀

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ルミナリエ

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 ルミナリエは、旧居留地のあたりからスタートする。

 最初に荘厳な鐘の音が鳴り響き、一斉に点灯する。光のアーチを潜り抜け市民広場までを目指す。

 しずくが行きたがっているのに、こう言っては何だが、思っていたよりもショボい。

 これが結婚前のデートであれば、アリなんだろうがあっという間に出口へたどり着いてしまう距離しかない。途中コンビニでおでんを買い食いしているカップルがいたが、間が持たないのであろう。

 モールヤで食事したから、腹持ちがいい。

 でも、しずくがうっとりとしているから何も言わず、しずくの腰を抱いて今日の宿へチェックインする。

 部屋に入るなり、サイゴンは風呂に湯を張る。しずくは、部屋のソファに腰かけたまま、まだ夢を見ているようにうっとりとしている。

 サイゴンは構わず、しずくを抱きしめて、唇にキスの嵐を落とす。

 これからがお楽しみタイムだから、肩口から毛皮のコートを足元に落とし、脱がせながらキスと愛撫をするが、イマイチ反応が悪い。

 しずくはサイゴンに身を任せているが、時折、かすかに「ふっ、……あっ。」という程度でほとんどマグロ状態。

 これならまだ嬌声を上げてくれる方がよほどマシで、気分が萎えてくる。

 「どうした?疲れているのか?」

 しずくの瞳を覗き込んで、聞く。

 しずくは、かぶりを振って甘えたように

 「ねぇ、もう一度ルミナリエを観に行かない?」

 えーっ!あんな張りぼてのどこがいいのか?あれならまだ青森県のねぷたのほうが、迫力あるし、面白いと思うのだが。

 しずくはまだ夢見心地で、うっとりしている。

 これからサイゴンがたっぷりと蕩けさせてやろうとしているのに、最愛の旦那様の愛撫よりルミナリエがいいとは……、しばし茫然とするも、今日は日ごろの子育ての慰安のために連れてきたルミナリエなのだから、仕方なく、同意する。

 でもせっかく風呂に湯を張っているのだから、せめて……往生際が悪いとは思っているのだが、

 「一緒にお風呂に入ってくれるのなら、もう一度でも二度でも三度でもルミナリエへ行こう。」

 「サイゴンちゃん大好き。」

 しずくの方からキスをされて、困惑する。

 こんな下心見え見えの提案に喜んでくれるのだから、よほどルミナリエへ行きたいらしい。

 風呂の中では、さんざんしずくのカラダを弄りまわして、後ろから何度も突き上げサイゴンは満足する。

 ぐったりとしたしずくをベッドに運び、少し休ませてから出かける用意をする。約束だからとは言うものの、ルミナリエ後、また続きができるのだから、意気揚々としたもの。

 ここのところ、サイゴンの仕事が忙しかったことと、しずくのカラダごと子供たちの世話で取られていたことから、すっかり夫婦の営みは、ご無沙汰だったのだ。

 だからルミナリエへ行ったぐらいでは、まだまだヤり足りない。今夜は朝まで離さないつもり。

 しずくは、けだるそうにカラダを起こし、着替えをしている。その様子から、少々ヤりすぎたと反省しているが、どうしてもしずくを前にすると抑えが効かない。愛おしくてたまらない独占欲の塊になってしまう。

 身支度を整え、再びしずくの腰を抱いて、ルミナリエへ行くと、さっきよりか幾分混雑している。人が多い分だけ、進行が遅い。スマホで写真を撮っているため、あちこちで立ち止まるから、余計歩けない。

 ようやく市民広場まで、来たときに最初は気づかなかった市庁舎の展望台が無料で開放されていることを知り、その行列の人となったのだ。

 前も後ろもカップルだらけで、並んでいるときからチュッチュしている。ルミナリエと言うのは、宗教的意味合いではなく、失われた命を再生?子供を殖やすための行事なのでは、と疑いを持ってしまうぐらい熱い。恋人たちのイベントのような雰囲気に圧されてしまう。

 しずくとサイゴンは、新婚であることにはかわりがないから、次第にその雰囲気に呑まれていく。

 さすがに、他のカップルたちのように、ルミナリエ後にラブホ直行とまではいかないが、だんだんしずくの目の色が変わってくる。もちろんサイゴンも言うまでもないこと。

 「今夜はヤるぞ!」

 サイゴンが宣言すると、しずくも嬉しそうにサイゴンにしなだれかかってくる。

 そのためにも、まずは腹ごしらえをしないと……、またモールヤへ寄ろうかとも思ったが、同じ店で食事するのも芸がない。昼間、肉を食べたのだから、夕飯は魚がいい。できれば寿司が……きょろきょろと見回すが、鮨屋がない!

 よく探せばあるのだろうが、なんせホテルへ早く帰って、一刻も早くしずくを抱きたいという気持ちが焦らせる。

 すると目の前に「焼肉」の看板が……。

 迷わず、その店に飛び込み、ロースやカルビを注文して、ビールを飲む。飲み過ぎないように注意しながら、これからもっと美味い肉(しずく)を味わうため、と自分に言い聞かせるサイゴンは、必死に噛みしめ夜は更けていく。
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