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1.前世の記憶
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「公爵令嬢アマリア!貴様との婚約は今日をもって、なかったものにさせてもらう。俺は、男爵令嬢リリカと婚約する。」
今日は、学園の卒業パーティ、卒業生の貴族子女、父兄の貴族、学園関係者らが参加している晴れの場である。18歳だった。
「なぜでございますか?」
「よくもそんな白々しいことが言えたな。貴様は、このリリカ嬢に対し、様々な嫌がらせや悪意に満ちた虐めを繰り返していたではないか?」
王太子エドモンドは、傍におびえて立っているリリカ嬢の肩を抱いている。
「虐めなど、一度もしておりませぬ。」
「ひどい!ひどいですわっ!アマリア様は、私の教科書を破いたり、バケツの水をかぶせたり、階段から突き落としたりをなさったではありませんか。」
「私は、そんなことしていません。何か、証拠がありますか?」
「証拠などなくてよい!リリカ嬢がそう申しておるから十分だ。未来の王妃を殺害しようとした罪は重大だ。命を持って、償ってもらおう。」
婚約者だった、この国の王太子は、私がリリカさまを虐めていたと冤罪をでっちあげ、婚約破棄の上、処刑されることになった。
王宮の広場で公開処刑される日、稀代の悪女の処刑だからと大勢の国民から石を投げられた。
私は、首をはねられるのが恐ろしくて、目をつぶっていた。ドラの音が響き、ギロチンの刃物が落ちた。
気が付いたら、自分の部屋で寝ていた。
お嬢様、お目覚めになられましたか、侍女のエレノアが泣いて喜んでいる。
「?」
「今は、いつですか?」
「いやですわ。お嬢様、昨日、15歳のお誕生日が過ぎたばかりでございますよ。」
「3日前に高熱をお出しになられ、ずっとお目覚めにならなかったのですよ。お目覚めになられて、本当に良かったです。昨日するはずだった、お誕生日会の用意をしなければ、旦那様と奥様をお呼びしますね。」とバタバタと部屋から出て行った。
あれは、夢?
昨日が15歳の誕生日?
アマリアは、熱でうなされていたせいで、前世の記憶を取り戻したのだ。来年の春、学園に入学して、2年生の時にリリカ嬢が転校してくる。
卒業パーティで断罪され、婚約破棄になって、処刑。いろいろ考えていたら廊下のほうが騒がしくなった。
パパとママが部屋に入ってきた。
「良かった。本当に心配していたのよ。さっきも王太子エドモンド様からお見舞いがあったのだけど、すぐ連絡するわね。」
王太子エドモンド様と聞いて、夢のことを思い出し、気分が悪くなった。
「お父様、お願いがございます。」
「いつもは、パパと呼んでくれるのにどうしたんだい?」
「お父様、王太子エドモンド様との婚約を解消したいのです。」
両親は。驚いて顔を見合わせた。
「できれば、来年の春から王都の学園に行かず、隣国の学園へ留学したいのですが。」
とにかく身の安全のため、王太子から、学園から、逃げることが重要だと思った。
「実は、夢のお告げがありまして、16歳から17歳までの間、隣国へ行かなければ死ぬと。」
「わかった。国王陛下への許可は代わりに言ってやるが、王太子のことはなぜ?」
「あの方のことを好いておりませぬ。3年間、留守するのですから、その間に妃候補がいないと不都合があるのではございませんか?」ともっともらしい理由をつけた。
結局、留学は認められたが、わがまま王太子の妃になる娘が見つからないという理由で、婚約は継続した。
どうせ、あの卒業パーティの時に、婚約破棄されるのだから、いいか、と思った。
それに学園に通わず、留学していたのなら、冤罪を着せられる心配もないだろうから、お好きにしてください、と思った。
その頃、王宮では、王太子エドモンドがいらついていた。
「なぜだ。なぜだ。見舞いに行ってやっているのに、会おうとせず、婚約を解消したいだと?」
部屋の中は、割れた花瓶などでグチャグチャだ。エドモンドは、いつも気に入らないことがあるとモノを投げ壊す。
「アマリア…、どうして俺の心がわからない。」
この国では、5歳になると、王子は王宮に将来の妃候補として同い年の令嬢が集められ、そこでエドモンドはアマリアの可憐な美しさに一目ぼれして、どうしてもアマリア以外は嫌だ。と駄々をこね、アマリアと婚約したのだ。
以来、アマリア一筋に思いを寄せてきたのに、当のアマリアを目の前にすると緊張して、そっけない態度をとってしまう。自分でもどうしていいかわからないが、アマリアへの愛は本物だった。
この時、王太子エドモンドは、アマリアの留学話を、まだ知らずにいた。
今日は、学園の卒業パーティ、卒業生の貴族子女、父兄の貴族、学園関係者らが参加している晴れの場である。18歳だった。
「なぜでございますか?」
「よくもそんな白々しいことが言えたな。貴様は、このリリカ嬢に対し、様々な嫌がらせや悪意に満ちた虐めを繰り返していたではないか?」
王太子エドモンドは、傍におびえて立っているリリカ嬢の肩を抱いている。
「虐めなど、一度もしておりませぬ。」
「ひどい!ひどいですわっ!アマリア様は、私の教科書を破いたり、バケツの水をかぶせたり、階段から突き落としたりをなさったではありませんか。」
「私は、そんなことしていません。何か、証拠がありますか?」
「証拠などなくてよい!リリカ嬢がそう申しておるから十分だ。未来の王妃を殺害しようとした罪は重大だ。命を持って、償ってもらおう。」
婚約者だった、この国の王太子は、私がリリカさまを虐めていたと冤罪をでっちあげ、婚約破棄の上、処刑されることになった。
王宮の広場で公開処刑される日、稀代の悪女の処刑だからと大勢の国民から石を投げられた。
私は、首をはねられるのが恐ろしくて、目をつぶっていた。ドラの音が響き、ギロチンの刃物が落ちた。
気が付いたら、自分の部屋で寝ていた。
お嬢様、お目覚めになられましたか、侍女のエレノアが泣いて喜んでいる。
「?」
「今は、いつですか?」
「いやですわ。お嬢様、昨日、15歳のお誕生日が過ぎたばかりでございますよ。」
「3日前に高熱をお出しになられ、ずっとお目覚めにならなかったのですよ。お目覚めになられて、本当に良かったです。昨日するはずだった、お誕生日会の用意をしなければ、旦那様と奥様をお呼びしますね。」とバタバタと部屋から出て行った。
あれは、夢?
昨日が15歳の誕生日?
アマリアは、熱でうなされていたせいで、前世の記憶を取り戻したのだ。来年の春、学園に入学して、2年生の時にリリカ嬢が転校してくる。
卒業パーティで断罪され、婚約破棄になって、処刑。いろいろ考えていたら廊下のほうが騒がしくなった。
パパとママが部屋に入ってきた。
「良かった。本当に心配していたのよ。さっきも王太子エドモンド様からお見舞いがあったのだけど、すぐ連絡するわね。」
王太子エドモンド様と聞いて、夢のことを思い出し、気分が悪くなった。
「お父様、お願いがございます。」
「いつもは、パパと呼んでくれるのにどうしたんだい?」
「お父様、王太子エドモンド様との婚約を解消したいのです。」
両親は。驚いて顔を見合わせた。
「できれば、来年の春から王都の学園に行かず、隣国の学園へ留学したいのですが。」
とにかく身の安全のため、王太子から、学園から、逃げることが重要だと思った。
「実は、夢のお告げがありまして、16歳から17歳までの間、隣国へ行かなければ死ぬと。」
「わかった。国王陛下への許可は代わりに言ってやるが、王太子のことはなぜ?」
「あの方のことを好いておりませぬ。3年間、留守するのですから、その間に妃候補がいないと不都合があるのではございませんか?」ともっともらしい理由をつけた。
結局、留学は認められたが、わがまま王太子の妃になる娘が見つからないという理由で、婚約は継続した。
どうせ、あの卒業パーティの時に、婚約破棄されるのだから、いいか、と思った。
それに学園に通わず、留学していたのなら、冤罪を着せられる心配もないだろうから、お好きにしてください、と思った。
その頃、王宮では、王太子エドモンドがいらついていた。
「なぜだ。なぜだ。見舞いに行ってやっているのに、会おうとせず、婚約を解消したいだと?」
部屋の中は、割れた花瓶などでグチャグチャだ。エドモンドは、いつも気に入らないことがあるとモノを投げ壊す。
「アマリア…、どうして俺の心がわからない。」
この国では、5歳になると、王子は王宮に将来の妃候補として同い年の令嬢が集められ、そこでエドモンドはアマリアの可憐な美しさに一目ぼれして、どうしてもアマリア以外は嫌だ。と駄々をこね、アマリアと婚約したのだ。
以来、アマリア一筋に思いを寄せてきたのに、当のアマリアを目の前にすると緊張して、そっけない態度をとってしまう。自分でもどうしていいかわからないが、アマリアへの愛は本物だった。
この時、王太子エドモンドは、アマリアの留学話を、まだ知らずにいた。
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