魅了から覚めた王太子は婚約者に婚約破棄を突きつける

聖女の力を体現させた男爵令嬢は、国への報告のため、教会の神官と共に王太子殿下と面会した。

「王太子殿下。お初にお目にかかります」

聖女の肩書を得た男爵令嬢には、対面した王太子が魅了魔法にかかっていることを瞬時に見抜いた。

「魅了だって?王族が…?ありえないよ」

男爵令嬢の言葉に取り合わない王太子の目を覚まさせようと、聖魔法で魅了魔法の解術を試みた。

聖女の魔法は正しく行使され、王太子の顔はみるみる怒りの様相に変わっていく。

王太子は婚約者の公爵令嬢を愛していた。
その愛情が、波々注いだカップをひっくり返したように急に空っぽになった。

いや、愛情が消えたというよりも、憎悪が生まれた。

「あの女…っ王族に魅了魔法を!」
「魅了は解けましたか?」
「ああ。感謝する」

王太子はすぐに行動にうつした。

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