魅了から覚めた王太子は婚約者に婚約破棄を突きつける

基本二度寝

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帝国からの協定破棄の通達があった。
国王は寝耳に水の事だった。

破棄の理由は、『魅了魔法』を秘匿の為とあった。

帝国は人材を守るために、精神魔法の禁術や秘術は事前に情報を寄越すようにと提示していた。
息子にかけている魅了魔法のこともあり、秘術も禁術もないと一切情報は渡さなかった。

帝国の人間に使用しなければ露見することもないと思っていた。

国王の隣では王妃が心配そうに夫を見つめている。

大丈夫だ。
王妃の肩を引き寄せて抱いた。

息子が成人してもなお夫婦仲は良い。
国王が惚れ抜いて選んだ妃。

彼女との余生の為にも、国内の安定は確実にしてから王を辞したいと思ったいたのだが。


「魅了を…解いた…」

王太子むすこと聖女だと言う男爵令嬢が連立ってやってきたと思えば、恐ろしいことを口にした。

「しかも…帝国皇女ミザリエラ様の前で、魅了を公表した…?」

「申し訳ありません、私が…っ」

「馬鹿者どもがっ」

どうすれば良い。
怒りで逆上せた頭では良い案は出ない。

これも事情も知らず魅了を解術した聖女という女のせいで。

厄災の女に目を向ければ、女は呆然と王妃を見つめていた。

「…どうして、王妃様まで魅了魔法にかかってらっしゃるの、」

「は…?母上がなんだって…?」

思わず手が出た。
王は聖女の頬を打った。

王妃は微笑むだけで答えはない。
王の言葉を復唱するだけの人形だと城内の人間は知っている。
気付いていないのは王太子むすこだけだ。

「ちっ、余計なことを…。この女は聖女などではない!捕らえて繋いでおけ」

「えっ、国王陛下!?私は、教会に認定を受けた聖女で」

「父上!?一体どうして!」

「国に災いを呼ぶ女をこの国では聖女と認めない」

「そんなっ、魅了なんて危険なものはなのにっ!」

魅了がなければ王太子はミザリエラに好意を持てなかった。
好意を持てないなら、帝国の支援は得られなかった。
協定は破棄され、この国は魔獣に食われていく未来しかない。

想像で国王は震え上がった。

「聖女などいない。あれは魔女だった。『魅了』などなかった。魔女は処刑する。…そう言い張るしかない」

「っ…そんな、」

叫ぶ男爵令嬢の声に王太子は血の気が引いていく。
己の判断の甘さでこの国の聖女を処す王命を下され、責任の重さに耐えきれず、王太子は吐いた。


しかし、聖女を屠った後も、帝国からの回答はなかった。
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