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1回目の人生
ハッピーエンド
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帰宅した美和子は、人事部長に連絡を入れ、権藤不動産の第1営業部長として下村大輔営業本部長を中心とする新たな組織づくりを指示する。
適当な役職は新しく作ればいい。普通の部長は年俸1000万円だけど、本部長になると+500万円、執行役員だと+1500万円の大幅に給料アップが見込める。
とりあえず、本部長にして、後は、本人に執行役員になるかどうかの打診をしてみることにする。
執行役員は、基本的に従業員と同じ立場で、経営に参画するというもので、労働基準法の適用を受ける。それに対して、取締役というものは、会社側との委任契約で成り立っている。株主総会で、その議決が承認されなければならない。
まあ、とにかく本人の判断に任せるしかないわよね。経営職に参加することになれば、いろいろと責任を追及されるから、執行役員程度なら、美和子だけの判断でどうにかなるようなものだけど。
美和子は仕事終わりの時間を狙って、下村に連絡を取り、プールで待ち合わせることにした。
仕事の話だけど、最近、服部のことで、やけ食いして、ますます緩やかな体型になってきているので、ここはひとつダイエットとシェイプアップを兼ねて、プールエクササイズを始めることにしたのだ。
会社が会員となり、権藤グループの人間であれば、誰でも無料で利用できるというもの。今まで一度も利用してこなかったけど、もうそんなこと言ってられないから、思い切って、来てみたのだ。
水着だけ指定のものがあるから、それを購入して、エクササイズの時間を確かめる。プールの中をただ、歩くだけでも、やせると言うが、エクササイズなら、より効果的な気がする。
エクササイズの時間が来るまでの間、ただ歩くことにする。水圧で、けっこうキツイ。今日は、もうこれぐらいにしようかと思っていたら、美和子のいる真逆の場所で、下村さんがクロールでカッコよく泳いでいるのが見える。
仕事ができる男の人って、何をやってもサマになっていて、かっこよく見える。
正幸は顔だけだったけど。
美和子はとにかく、くびれを取り戻すまでは、下村さんとプールで会っても、なるべく目を合わせないようにしようと思う。
プールあがり、サウナに入り、さらに汗を流して、シャワーを浴びる。
設置のドライヤーで髪を乾かし、めんどくさいけど、化粧をして、外に出ると、もう下村さんが待っていてくれた。
下村さんは、ラウンジで美和子のためのドリンクを用意してくれていた。
「はい。どうぞ。それにしても社長が、あのプールにいらしていたとは、今まで気づきませんでした。」
「いえ。今日が初めてで。琉金みたいな体型を何とかしたくてね。」
「俺は、ぽっちゃりしている方がタイプですよ。琉金って、可愛いじゃないですか?」
「あはは。実はね。今日来てもらったのは、下村さん、経営に興味あるかなあなんて、聞いてみたかったのよ。」
「へ?経営ですか?俺、MBA持っていないですよ。」
「別にそれは、必要ないのだけど、早い話が執行役員として指名しようかと思っているんだけど、なってもいいと思っている?」
「執行役員ですか?従業員の資格のまま、経営に参加するが、何かあっても、責任は取締役程重くのしかからないって奴ですね。いいですよ。なっても。」
「本当!?ありがとう。じゃ、明日人事に言っとくわ。お給料も跳ね上がるから、楽しみにしててね。」
「それより社長。」
「ん?なーに?」
「あのバーベキューの日から、ずいぶんイイ女がいると思っていましたけど、社長って、本当にイイ女ですね。俺、妻に死なれて、3年間一度も……。」
「え?それって、口説いているの?」
「そうです。口説いています。イヤなら、断ってくれても全然OKです。でも少しでも気になるなら、俺とイケナイ関係になりませんか?」
なぜか、その時、美和子の下半身が久しぶりに疼き始めた。
あの筋肉に抱かれたい。そういえば、正幸とも、ずいぶんヤっていない。最後にヤったのは、もう2年も前のこと。
うひゃぁっ。これでは老け込むはずだわ。
でも、ここではマズイ。会社の人に見られるかもしれないから。
「場所を替えましょ。」
でも、場所のアテがない。立ち上がってしまったから、座りなおすのも変だ。
「今日は、車じゃないんで、とりあえず俺ん家でも来ますか?」
「ええ。」
下村さんのお宅は、会社から5分のところにあるワンルームマンションの1室だった。
玄関ドアを開けるなり、玄関でキスをされ、そのまま靴も脱がずに上半身があらわになる。
「やっぱりだ。想像していた以上に柔らかい。」
「やん。恥ずかしいわ。」
「いいね。その顔、そそられるよ。」
玄関で、やっとパンプスを抜出たと思ったら、そのままスカートを下着ごと脱がされる。かなりなれた手つきに今まで、何人の女を連れ込んでいたの?と怒りたくなるような感情が湧き出てくる。
まぎれもなく、そのうちの一人だという自覚はあるのに、どういうわけか見たこともない女性に嫉妬している美和子は気づく。
全裸になった美和子を無造作にベッドに放り投げられ、その上に下村さんは、覆いかぶさってくる。
いつの間にか、「大輔、大輔」と叫び、下村さんも「美和子、美和子」と呼びながら腰を振り続ける。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
それから半年後のこと、大輔と美和子は、晴れて結婚し、大輔は権藤家に婿入りし、権藤不動産の新しい社長に就任しました。
そして美和子は、目下3人目の子供を妊娠中で、しばらくは、子育てに専念するため、権藤ホールディングスの社長の座も権藤大輔が就任することになり、わずか1年足らずの間に、課長から奇跡の大出世を果たした男として、業界紙に取りざたされる。
そのことがマスコミ紙面で取りざたされた時、服部正幸は、地方の工事現場で働きながら
「下村課長に、美和子を奪われた。」と悔し涙を流していたとか。
適当な役職は新しく作ればいい。普通の部長は年俸1000万円だけど、本部長になると+500万円、執行役員だと+1500万円の大幅に給料アップが見込める。
とりあえず、本部長にして、後は、本人に執行役員になるかどうかの打診をしてみることにする。
執行役員は、基本的に従業員と同じ立場で、経営に参画するというもので、労働基準法の適用を受ける。それに対して、取締役というものは、会社側との委任契約で成り立っている。株主総会で、その議決が承認されなければならない。
まあ、とにかく本人の判断に任せるしかないわよね。経営職に参加することになれば、いろいろと責任を追及されるから、執行役員程度なら、美和子だけの判断でどうにかなるようなものだけど。
美和子は仕事終わりの時間を狙って、下村に連絡を取り、プールで待ち合わせることにした。
仕事の話だけど、最近、服部のことで、やけ食いして、ますます緩やかな体型になってきているので、ここはひとつダイエットとシェイプアップを兼ねて、プールエクササイズを始めることにしたのだ。
会社が会員となり、権藤グループの人間であれば、誰でも無料で利用できるというもの。今まで一度も利用してこなかったけど、もうそんなこと言ってられないから、思い切って、来てみたのだ。
水着だけ指定のものがあるから、それを購入して、エクササイズの時間を確かめる。プールの中をただ、歩くだけでも、やせると言うが、エクササイズなら、より効果的な気がする。
エクササイズの時間が来るまでの間、ただ歩くことにする。水圧で、けっこうキツイ。今日は、もうこれぐらいにしようかと思っていたら、美和子のいる真逆の場所で、下村さんがクロールでカッコよく泳いでいるのが見える。
仕事ができる男の人って、何をやってもサマになっていて、かっこよく見える。
正幸は顔だけだったけど。
美和子はとにかく、くびれを取り戻すまでは、下村さんとプールで会っても、なるべく目を合わせないようにしようと思う。
プールあがり、サウナに入り、さらに汗を流して、シャワーを浴びる。
設置のドライヤーで髪を乾かし、めんどくさいけど、化粧をして、外に出ると、もう下村さんが待っていてくれた。
下村さんは、ラウンジで美和子のためのドリンクを用意してくれていた。
「はい。どうぞ。それにしても社長が、あのプールにいらしていたとは、今まで気づきませんでした。」
「いえ。今日が初めてで。琉金みたいな体型を何とかしたくてね。」
「俺は、ぽっちゃりしている方がタイプですよ。琉金って、可愛いじゃないですか?」
「あはは。実はね。今日来てもらったのは、下村さん、経営に興味あるかなあなんて、聞いてみたかったのよ。」
「へ?経営ですか?俺、MBA持っていないですよ。」
「別にそれは、必要ないのだけど、早い話が執行役員として指名しようかと思っているんだけど、なってもいいと思っている?」
「執行役員ですか?従業員の資格のまま、経営に参加するが、何かあっても、責任は取締役程重くのしかからないって奴ですね。いいですよ。なっても。」
「本当!?ありがとう。じゃ、明日人事に言っとくわ。お給料も跳ね上がるから、楽しみにしててね。」
「それより社長。」
「ん?なーに?」
「あのバーベキューの日から、ずいぶんイイ女がいると思っていましたけど、社長って、本当にイイ女ですね。俺、妻に死なれて、3年間一度も……。」
「え?それって、口説いているの?」
「そうです。口説いています。イヤなら、断ってくれても全然OKです。でも少しでも気になるなら、俺とイケナイ関係になりませんか?」
なぜか、その時、美和子の下半身が久しぶりに疼き始めた。
あの筋肉に抱かれたい。そういえば、正幸とも、ずいぶんヤっていない。最後にヤったのは、もう2年も前のこと。
うひゃぁっ。これでは老け込むはずだわ。
でも、ここではマズイ。会社の人に見られるかもしれないから。
「場所を替えましょ。」
でも、場所のアテがない。立ち上がってしまったから、座りなおすのも変だ。
「今日は、車じゃないんで、とりあえず俺ん家でも来ますか?」
「ええ。」
下村さんのお宅は、会社から5分のところにあるワンルームマンションの1室だった。
玄関ドアを開けるなり、玄関でキスをされ、そのまま靴も脱がずに上半身があらわになる。
「やっぱりだ。想像していた以上に柔らかい。」
「やん。恥ずかしいわ。」
「いいね。その顔、そそられるよ。」
玄関で、やっとパンプスを抜出たと思ったら、そのままスカートを下着ごと脱がされる。かなりなれた手つきに今まで、何人の女を連れ込んでいたの?と怒りたくなるような感情が湧き出てくる。
まぎれもなく、そのうちの一人だという自覚はあるのに、どういうわけか見たこともない女性に嫉妬している美和子は気づく。
全裸になった美和子を無造作にベッドに放り投げられ、その上に下村さんは、覆いかぶさってくる。
いつの間にか、「大輔、大輔」と叫び、下村さんも「美和子、美和子」と呼びながら腰を振り続ける。
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それから半年後のこと、大輔と美和子は、晴れて結婚し、大輔は権藤家に婿入りし、権藤不動産の新しい社長に就任しました。
そして美和子は、目下3人目の子供を妊娠中で、しばらくは、子育てに専念するため、権藤ホールディングスの社長の座も権藤大輔が就任することになり、わずか1年足らずの間に、課長から奇跡の大出世を果たした男として、業界紙に取りざたされる。
そのことがマスコミ紙面で取りざたされた時、服部正幸は、地方の工事現場で働きながら
「下村課長に、美和子を奪われた。」と悔し涙を流していたとか。
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