4 / 21
4.
しおりを挟む
指先をジっと見つめ、魔力を集中させていく。魔力とは血液のようなもの?リンパ腺のようなものかもしれない。
カラダ中に張り巡らせた血管やリンパ管を伝い、全身にくまなく供給すると魔力操作は完成する。
司祭様の説明を聞きながら、リケジョのまりあは全身コントロールをイメージしてみたら、これまたすぐに達成してしまい、「さすがは聖女様!」とまた褒められたけど、ちっとも嬉しくない。
帰りも王宮の馬車を使わせていただき、自宅へ送り届けられたけど、こんな練習で本当に魔法が使えるようになるとはとても信じられるものではない。
それでも晩御飯の支度に、今朝出汁を取ったばかりのスープを少量加え、肉のソースに加えてみたら格段に美味しくなったわけで……。
美味しいものは正義だ!
昨夜とは、段違いのおいしさに舌鼓を打ちつつ、お風呂に入って早めに寝ることにした。
翌日曜日。
早朝からレストランの厨房に立つことにして、食糧庫の中をチェックしていくと、驚いたことにコメがあった。
それに味噌や醤油まで……!
なにゆえ?
起き出してきた使用人から事情を聴くと、海を隔てた隣国の使節団が以前置いていったものだそうで、でも使用方法がわからないので、王宮の食糧庫から昨日、こちらへ運び込まれたものだそうで、いやあ助かる!
王宮からすれば、厄介払いをしたつもりであろうが、まりあからすれば「御の字」というところ。さっそくコメを研いで、ご飯を炊く。
まりあはご飯に味噌汁があれば、何日でも生きていけるというもの。これで一安心と言いたいところだが、何か足りない。いや足りないものだらけで、困ってしまう。
バカ王子に言っても、取り寄せてもらえるかどうかもわからないし……。
とにかく炊き上がったご飯に塩をまぶしておにぎりを作っていく。おにぎりなら冷めても美味しく食べられる。
焼きのりも梅干しもおかかもないけど、これぞまりあのソウルフードの完成で異世界へ来てから、まだ2日しか経っていないというのに。おにぎりを食べながら涙がポロポロと溢れてくる。
使用人は、このおにぎりもレストランメニューに出すべきだと言うが、実のところ迷っている。美味しいし、冷めても携帯食になり腹持ちがいい。
だけど次の仕入れがままならないうちにメニューに出してしまってもいいのだろうか?
まあ、あの硬くてゴワゴワしているパンよりかは、いくぶんマシであろうと思うが異世界人にこのおにぎりの良さがわかるのだろうか?
「うんうん」唸っていると、使用人が
「仕入れのご心配なら、なさらなくても大丈夫でございます。1年前に国交が樹立した時、この王都にも出店があり、食糧庫にあるすべての食材なら、すぐにでも取り寄せることができます!」
「本当?なら、すぐにでも行ってみたいわ。あっ!でも午後からは教会へお勉強に行かなくてはいけないし……、午前中なら予定がないのであれば行きたいわ」
「では、すぐにでも馬車の支度をしてまいります」
思いがけずに和食の材料が手に入ると聞き、ワクワクする。それにいつの間にかクローゼットの中身も充実していることに気づく。あの顔だけ男が使用人に言いつけて、揃えてくれたらしい。
なんだかんだと気を遣ってくれることはありがたいけど、だからといってやったことへの罪滅ぼしにはならないわよ。
まりあの人生を台無しにしたことへの責任はきちんととってもらうからね!
もう初日みたいに行き交う人々からの視線を気にすることなく馬車はスムーズに進んでいく。
着いた店舗は懐かしい屋根瓦仕様で、店内は香を焚いているのか、かすかに白檀らしき匂いがしている。
こういう食料品店で余計なニオイだと、まりあは不快感をあらわにする。
それと同時にさっきまでの購買意欲は嘘のように影を潜める。
応対した店主らしき男は、ニッポンで言えば明らかに筋モノとわかる人相を隠しもせず、そろばんをはじきながらニヤリと下卑た笑いを浮かべる。
カラダ中に張り巡らせた血管やリンパ管を伝い、全身にくまなく供給すると魔力操作は完成する。
司祭様の説明を聞きながら、リケジョのまりあは全身コントロールをイメージしてみたら、これまたすぐに達成してしまい、「さすがは聖女様!」とまた褒められたけど、ちっとも嬉しくない。
帰りも王宮の馬車を使わせていただき、自宅へ送り届けられたけど、こんな練習で本当に魔法が使えるようになるとはとても信じられるものではない。
それでも晩御飯の支度に、今朝出汁を取ったばかりのスープを少量加え、肉のソースに加えてみたら格段に美味しくなったわけで……。
美味しいものは正義だ!
昨夜とは、段違いのおいしさに舌鼓を打ちつつ、お風呂に入って早めに寝ることにした。
翌日曜日。
早朝からレストランの厨房に立つことにして、食糧庫の中をチェックしていくと、驚いたことにコメがあった。
それに味噌や醤油まで……!
なにゆえ?
起き出してきた使用人から事情を聴くと、海を隔てた隣国の使節団が以前置いていったものだそうで、でも使用方法がわからないので、王宮の食糧庫から昨日、こちらへ運び込まれたものだそうで、いやあ助かる!
王宮からすれば、厄介払いをしたつもりであろうが、まりあからすれば「御の字」というところ。さっそくコメを研いで、ご飯を炊く。
まりあはご飯に味噌汁があれば、何日でも生きていけるというもの。これで一安心と言いたいところだが、何か足りない。いや足りないものだらけで、困ってしまう。
バカ王子に言っても、取り寄せてもらえるかどうかもわからないし……。
とにかく炊き上がったご飯に塩をまぶしておにぎりを作っていく。おにぎりなら冷めても美味しく食べられる。
焼きのりも梅干しもおかかもないけど、これぞまりあのソウルフードの完成で異世界へ来てから、まだ2日しか経っていないというのに。おにぎりを食べながら涙がポロポロと溢れてくる。
使用人は、このおにぎりもレストランメニューに出すべきだと言うが、実のところ迷っている。美味しいし、冷めても携帯食になり腹持ちがいい。
だけど次の仕入れがままならないうちにメニューに出してしまってもいいのだろうか?
まあ、あの硬くてゴワゴワしているパンよりかは、いくぶんマシであろうと思うが異世界人にこのおにぎりの良さがわかるのだろうか?
「うんうん」唸っていると、使用人が
「仕入れのご心配なら、なさらなくても大丈夫でございます。1年前に国交が樹立した時、この王都にも出店があり、食糧庫にあるすべての食材なら、すぐにでも取り寄せることができます!」
「本当?なら、すぐにでも行ってみたいわ。あっ!でも午後からは教会へお勉強に行かなくてはいけないし……、午前中なら予定がないのであれば行きたいわ」
「では、すぐにでも馬車の支度をしてまいります」
思いがけずに和食の材料が手に入ると聞き、ワクワクする。それにいつの間にかクローゼットの中身も充実していることに気づく。あの顔だけ男が使用人に言いつけて、揃えてくれたらしい。
なんだかんだと気を遣ってくれることはありがたいけど、だからといってやったことへの罪滅ぼしにはならないわよ。
まりあの人生を台無しにしたことへの責任はきちんととってもらうからね!
もう初日みたいに行き交う人々からの視線を気にすることなく馬車はスムーズに進んでいく。
着いた店舗は懐かしい屋根瓦仕様で、店内は香を焚いているのか、かすかに白檀らしき匂いがしている。
こういう食料品店で余計なニオイだと、まりあは不快感をあらわにする。
それと同時にさっきまでの購買意欲は嘘のように影を潜める。
応対した店主らしき男は、ニッポンで言えば明らかに筋モノとわかる人相を隠しもせず、そろばんをはじきながらニヤリと下卑た笑いを浮かべる。
97
あなたにおすすめの小説
看病しに行ったら、当主の“眠り”になってしまった
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全36話⭐︎
倒れた当主を看病する役目を振られた使用人リィナは、彼の部屋へ通うことになる。
栄養、灯り、静かな時間、話し相手――“眠れる夜”を整えていく。そして、回復していく当主アレクシス。けれど彼は、ある夜そっと手を握り返し、低い声で囁く。
「責任、取って?」
噂が燃える屋敷で、ふたりが守るのは“枠(ルール)”。
手だけ、時間だけ、理由にしない――鍵はリィナが握ったまま。
けれど、守ろうとするほど情は育ち、合図の灯りはいつしか「帰る」ではなく「眠る」へ変わっていく。
看病から始まった優しい夜は、静かな執着に捕まっていく。
それでも、捕獲の鍵は彼ではなく――彼女の手にある。
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身
にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。
姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる