聖女召喚された科捜研の女~異世界科学捜査で玉の輿を狙う

青の雀

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ICPOの捜査官アラミス・クーパーだけを残し、他の捜査官は元の世界へ戻っていった。というより、まりあが送り届けたのであるが……。

「本当に一緒に帰らなくてよかったのですか?」

「当然ですよ。こんなに興味深い事件を目の前にして、のけ者はズルイです」

日本語検定N1を持っているだけあって、クーパーさんは流ちょうに話す。それにレディファーストの国から来られただけあり、まりあに対しても親切で優しい対応が嬉しい。

同期の智子が知ったら、絶対に悔しがるだろうけど、教えない。休みの日には、デートに誘ってくれることもあり、益々親近感がわく。

捜査の方は、音羽会系暴力団が組織的に異世界でマネーロンダリングしていたらしい。すなわち金融投資詐欺を地球で行い、その汚い金を異世界金貨で浄化していた仕組みの疑いがある。

それは異世界の谷本のところからパチってきたパソコンの中にデータが残されていたので、わかったこと。だから、ある意味、そのパソコンを持ち出してきたことについて、まりあのお手柄でもある。

谷本も何かあった時の口封じの保険として、パソコンの中にデータを残し、それを異世界の自宅に置いていたのであろう。

異世界であれば、電源がなければ絵に描いたも同然のただの板として処理されると思ったのだろうか。

へ?それって、知らずにまりあも汚い金を浄化するのを手伝っていたってこと?ぅわっ!バレたらクビかなぁ!?

でも、これってどう考えても不可抗力だよね。

だって、好きでこの世界に召喚されたわけじゃないし。商売して、お金を稼がなきゃ生きていけなかったわけだし、分析以外に何もできない女が一人で生きていくためには、ニッポンで炊事していた経験しかないわけだし、何か作って売る。だけど、ここでは調理方法や味付けがほとんど決まっているので、できる料理は限られてくる。

そんな時にコメを見せられたら、欲しがるに決まっている。それが谷本の店だったとは知らずに購入してしまったのだから、情状酌量の余地なくない?

確かに外見はガラの悪いニッポン人ぽく見えたけど……、ヤーパン人はあんな感じだと言われたので納得してしまったのよ。

だって、自分以外にニッポン人がいるわけがない……とは思ってはいなかったけど、それはあの店のカップラーメンの底にあった表示がニッポン語だったから。

また、部長からお小言を飛んできそうになるが、なんとかごまかそう。

ああ、でもカップラーメンの底を見られるのも時間の問題だと思う。どうしよう。

オロオロおどおどしているまりあにクーパーは優しく寄り添ってくれる。

「っ!クーパーさん、いつからいらしたのですか!?」

「うーん。もうずいぶん前から……と言ったら、怒るかな?」

「えっえー!」

ヤダ。見られていた?独り言も全部聞かれていたかもしれない。

顔面蒼白になり、ブルブル震えだすまりあの瞳をジっとみつめるクーパーは、突如、ケタケタと大声で笑いだした。

「冗談ですよ。今、来たところです。何か早乙女さんがお困りのようなので、声をかけるかどうか迷っていたのです」

「んもうっ!意地悪ね」

「ふふふ。やっと笑ってくれましたね。早乙女さんは笑顔の方が何倍も素敵ですよ」

二人は見つめあったまま……、プっと吹き出す。

いい雰囲気になりそうなところだったけど、二人とも照れてしまったのだ。

それからまた少し、クーパーさんとの距離が縮まったような気がした。

それにしても谷本の奴、あれだけの食材をどこで保管していたのか気になる。どこかに魔方陣を隠していたにせよ。いったい誰が、その魔方陣を作ったのだろうか?

こちらの世界に協力者がいなければ不可能な犯行だと思うのだが……真相に近づくことはできるのかしら?

ある日、王弟殿下が古代魔法の文献を持って現れた。

「王家に昔から伝わる文献なのだが、ひょっとすればマリアの役に立つかもしれないと思って持ってきたよ」

「ありがとうございます」

でも、ページをめくるとその内容は、チンプンカンで……。

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