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台所収納に入る順番が、先頭がクーパーさん、その後ろにお偉いさんのお三方、まりあ、出入り口を張っていた警察官2名となった。
いざ、入ろうとした時、まりあが ふと閃いた。
「そういえば、ウチに地中探査機なるものがあったような気がする。詳しいことは部長に聞かなきゃだけど、地中探査機を遣えば、台所収納の地下道がどこに繋がっているかわかるはず」
「もういいじゃん。行こう行こう」
先を急かされ、まりあの言葉は無視される。いつものことだけど、ちょっとムカつく。
先頭を行くクーパーさんから、ナカは真っ暗だと報告が来る。当たり前じゃない!
まりあは仕方なく、光魔法で前方を照らす。
「おお!魔法とは、便利だなぁ」
歓声が上がるが、まりあは聞こえよがしに大きなため息をつく。
ほどなくすると、壁にぶち当たったらしい。狭い通路なので、大人一人がかろうじて、すれ違うほどの幅しかない。
まりあは、お偉いさんお三方を追い抜いて、なんとか先頭のクーパーさんのところまで行く。
ああ、これは ニッポンのオフィスでよく使われているIDタイプのカードキーが必要なタイプの扉だということがわかる。
当然、IDカードは所持していない、谷本の荷物の中にも、なかったような気がする。
これ、無理に突破したら、セ〇ムさんが飛んでくるやつ?いやいや、いくら何でも異世界までは……考えにくいけど、壁際のセンサー部分に魔力を流してみると、すんなり開いた。
なんだ……「開けゴマ」とか言えば、よかったのかもしれない。拍子抜けするぐらいに、すんなり開いたので、罠かも?と警戒しながら中に入ってみた。
中は石造りの広さ300平方メートルぐらいの伽藍洞になっていた。一番奥の端に、階段らしきものがあるが、普段は、倉庫として使用しているのだろう。
まりあもよく知っている、着物に綾笠を被った女性の絵柄が特徴的な小町ブランドのコメ袋が無造作に置いてあった。
それにフラワー小麦粉も業務用の袋が積んである。
クーパーさんとお偉いさんトリオは、階段が気になるようで、しきりに階段付近を物色されている。
まりあは、階段よりも、むしろこの部屋の中に魔方陣があるのでは?と思い、懸命に床を見ながら歩く。
これだけの荷物を運ぶには、この部屋に魔方陣を仕掛けた方が効率的で、きっとここにあると踏んでいる。
まりあは、不自然な時空の歪みを頼りに検知していく。分析オタクの本領発揮というところで、かなり集中して探索しているというのに、クーパーさんとお偉いさん三人衆は、階段の上を探索してみると言い出す。
どうぞ。ご勝手に。ここがニッポンなら間違いなく、そう断言するところだが、何といっても、ここは異世界。
「ちょっと待ってください。魔方陣を探索すれば、うまくいけば、ニッポンか地球上のどこかの国に出るはずです。奴らのアジトに近いところが分かれば、一網打尽にできます。だから、しばらくジッとしていてください」
精一杯、丁寧に言ったつもりなのに、オジサン方は、明らかに不服そうに顔をゆがめている。
「捜査の素人の癖に……」
まりあは、その言い分に腹を立てつつも、冷静に、と心がけているものの。オジさんトリオの動向も気になる。
イライラしてきたので、少し、休憩しようと壁にもたれかかったら、その壁がなぜだか柔らかい?何かカーテンがかかっているような?奥に別の空間があるような感じがした。
まりあは、思い切って、壁の中に手を突っ込むと、そこには新たな空間があり、魔方陣があったのだ。壁には、隠ぺい魔法と幻影魔法がかけられていて、壁に見えただけで、実際にはカーテンもなく、むき出しのまま魔方陣が輝いていた。
恐らくだが、この家の主も事件に関与しているのだろう。階段を上がり、突き止めたいという気持ちをグっとこらえ、まずは、オジサントリオを呼び寄せ、魔方陣に乗ることを提案してみる。
いざ、入ろうとした時、まりあが ふと閃いた。
「そういえば、ウチに地中探査機なるものがあったような気がする。詳しいことは部長に聞かなきゃだけど、地中探査機を遣えば、台所収納の地下道がどこに繋がっているかわかるはず」
「もういいじゃん。行こう行こう」
先を急かされ、まりあの言葉は無視される。いつものことだけど、ちょっとムカつく。
先頭を行くクーパーさんから、ナカは真っ暗だと報告が来る。当たり前じゃない!
まりあは仕方なく、光魔法で前方を照らす。
「おお!魔法とは、便利だなぁ」
歓声が上がるが、まりあは聞こえよがしに大きなため息をつく。
ほどなくすると、壁にぶち当たったらしい。狭い通路なので、大人一人がかろうじて、すれ違うほどの幅しかない。
まりあは、お偉いさんお三方を追い抜いて、なんとか先頭のクーパーさんのところまで行く。
ああ、これは ニッポンのオフィスでよく使われているIDタイプのカードキーが必要なタイプの扉だということがわかる。
当然、IDカードは所持していない、谷本の荷物の中にも、なかったような気がする。
これ、無理に突破したら、セ〇ムさんが飛んでくるやつ?いやいや、いくら何でも異世界までは……考えにくいけど、壁際のセンサー部分に魔力を流してみると、すんなり開いた。
なんだ……「開けゴマ」とか言えば、よかったのかもしれない。拍子抜けするぐらいに、すんなり開いたので、罠かも?と警戒しながら中に入ってみた。
中は石造りの広さ300平方メートルぐらいの伽藍洞になっていた。一番奥の端に、階段らしきものがあるが、普段は、倉庫として使用しているのだろう。
まりあもよく知っている、着物に綾笠を被った女性の絵柄が特徴的な小町ブランドのコメ袋が無造作に置いてあった。
それにフラワー小麦粉も業務用の袋が積んである。
クーパーさんとお偉いさんトリオは、階段が気になるようで、しきりに階段付近を物色されている。
まりあは、階段よりも、むしろこの部屋の中に魔方陣があるのでは?と思い、懸命に床を見ながら歩く。
これだけの荷物を運ぶには、この部屋に魔方陣を仕掛けた方が効率的で、きっとここにあると踏んでいる。
まりあは、不自然な時空の歪みを頼りに検知していく。分析オタクの本領発揮というところで、かなり集中して探索しているというのに、クーパーさんとお偉いさん三人衆は、階段の上を探索してみると言い出す。
どうぞ。ご勝手に。ここがニッポンなら間違いなく、そう断言するところだが、何といっても、ここは異世界。
「ちょっと待ってください。魔方陣を探索すれば、うまくいけば、ニッポンか地球上のどこかの国に出るはずです。奴らのアジトに近いところが分かれば、一網打尽にできます。だから、しばらくジッとしていてください」
精一杯、丁寧に言ったつもりなのに、オジサン方は、明らかに不服そうに顔をゆがめている。
「捜査の素人の癖に……」
まりあは、その言い分に腹を立てつつも、冷静に、と心がけているものの。オジさんトリオの動向も気になる。
イライラしてきたので、少し、休憩しようと壁にもたれかかったら、その壁がなぜだか柔らかい?何かカーテンがかかっているような?奥に別の空間があるような感じがした。
まりあは、思い切って、壁の中に手を突っ込むと、そこには新たな空間があり、魔方陣があったのだ。壁には、隠ぺい魔法と幻影魔法がかけられていて、壁に見えただけで、実際にはカーテンもなく、むき出しのまま魔方陣が輝いていた。
恐らくだが、この家の主も事件に関与しているのだろう。階段を上がり、突き止めたいという気持ちをグっとこらえ、まずは、オジサントリオを呼び寄せ、魔方陣に乗ることを提案してみる。
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