転生令嬢は魔王に溺愛される~二度目の人生、魔王様に捧げます

青の雀

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カトリーヌ・フランチェスカ

断罪

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 翌日、卒業式後の記念パーティで、ベルフェゴール・アンドロマリウス様は、カトリーヌの保護者として参加している。

 出かけるときの母の様子は、前世の記憶があるのかと思えるほどに、カトリーヌを引き留めた。ベルフェゴール様が一緒だから、と言って安心させて出てきた。

 煌びやかな会場は昨日、見た風景と寸分違わなかった。

 「公爵令嬢カトリーヌ・フランチェスカ、貴様との婚約は、本日をもって破棄とする。」

 「そうですか、わかりました。わたくしも一言言わせていただいて、よろしいでしょうか?」

 「うむ、発言を許す。」

 「わたくし、殿下のことは少しも好きではありませんでした。政略なので、仕方なく婚約していただけです。これで、わたくしも自由になれます。ありがとうございました。」

 「な、なんだとぉ!」

 クロード王太子殿下のことが嫌いと言えば、リリアーヌを虐める動機がなくなる、ベルフェゴール様と昨日の打ち合わせで決めたことだった。

 クロード殿下は、憎悪に燃えるような眼をして、カトリーヌを睨みつつも、予想外の返事に戸惑っているっことも明らかだった。相変わらず、ピンクブロンドの男爵令嬢リリアーヌの腰を抱いている。

 「彼女の名前は、リリアーヌ・ドイル、私が初めて愛した女性である。」

 聞いてもいないことを、ベラベラ喋り出すクロード。

 「そうですか、初めまして。リリアーヌ嬢とおっしゃるのね。殿下とお似合いですわ。」

 優雅にカーテシーをする。

 「はじめまして?だと!貴様がさんざん、いじめていたではないか!」

 「は?どうして、見ず知らずの女性を虐めたりできますか?」

 「ひどいですわっ!カトリーヌ様は、私と殿下の仲を嫉妬して…、」

 「どうして?好きでもない殿下のことを嫉妬するんですか?殿下が、どこの誰と浮気しようとわたくしには、関係ありませんことよ。」

 「ひどいっ!ひどいっ!!それなら、なぜ私を虐めたんですか?私を階段から突き落としたり、池に放り込んだり、教科書も破って、ごみ箱に入れましたよね?」

 「は?なんのことでしょうか?」

 ベルフェゴール様が、指をパチンと鳴らされると、会場全体に学園風景が映し出された。誰もいない校舎の中、リリアーヌが階段を上っている、と悲鳴を上げて突然、リリアーヌが勝手に一人で落ちていく姿。誰もいない池にリリアーヌが一人で飛び込む姿。そのあと助けに来た男子学生に「カトリーヌに突き落とされた。」と涙ながらに言っている姿。誰もいない教室でリリアーヌがカバンの中から教科書を取り出し、ビリビリとちぎって、ごみ箱に捨てに行く姿。が映し出された。

 「な、なによぉ!誰が撮ってたのよぉ!私はカトリーヌに突き落とされたのよ。」

 そう叫ぶリリアーヌのカラダから黒い煙が立ち込めていた。誰の目にも、ハッキリと見える禁忌の魅了魔法だった。
 リリアーヌは、すぐさま護衛の騎士に捕まえられ、獄門台送りとなった。

 これで、すべてが終わった。ほっと息を吐いて、会場から出ていくカトリーヌ。

 それを追いかける王太子のクロード殿下、

 「ま、ま、待ってくれ!待って、待って、カトリーヌ行かないでくれ!」

 振り返ったカトリーヌは、「殿下もどうぞ、お幸せに。」

 「カトリーヌ……。カトリーヌ……。」いつまでもカトリーヌの名を呼びながら泣いていた。
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