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マザコン
2.
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社長宅は赤坂にあるタワーマンションの35階、ワンフロア全部が居宅になっていた超豪華版のお部屋に智子は、着くなり絶句してしまう。
間仕切りはあるものの1000平方メートルはあろうかと思う広さに、ただただ度肝を抜かれる。
建設中に4戸分をまとめて購入し、間仕切りはあるものの、その当時、会社の本社をタワマンの中に移すつもりで買ったとか……?
それにしても広すぎる。端から端まで行くのに、何分ぐらいかかるのか?妙な計算を頭の中でしていると、奥様から声をかけられた。
「今日から、智子さんと呼ばせてくださいね。」
「あ、はい。」
「智子さん、ウチの久志ちゃんのことをどう思っている?」
「どうと、言われましても……。」
「智子さん、恋人はいるの?」
「いいえ。いません。」
「そうよね。今日、智子さんに来てもらったのは、久志ちゃんとの結婚を勧めるために来てもらったのよ。」
「へっ!?」
あまりのことで、ビックリして、つい大声を張り上げてしまった。
「昔から、よく言うでしょ?一つ年上の姉さん女房は禁のわらじを履いて探せ。って。社長から聞いたら、智子さんはとても優秀だというから、ぜひ、わが社の後継者を産んでほしいと思って。」
いやいや、仕事と結婚は別物でしょ?
「そうと決まれば、今日から、この部屋に引っ越してらっしゃい。と売っても、今まで使っていたものはすべて捨てて、必要なものはこちらで新しく買い揃えます。とりあえず、洋服ぐらいは持っていらっしゃい。」
「いや、でも、急に……。」
「久志ちゃんは、一日も早い跡取りができるまで智子さんと今夜からヤりまくりなさい。避妊なんて、許しませんからね。そうそう、結婚式は3か月後にさせてもらうわね。うまくいけばその頃には、妊娠がわかっているかもしれないからね。」」
「おい。なんでもお前が一人で決めるな。こういうことは、本人同士の了解と同意が一番大切だ。」
「だって、社長。智子さんはもう28歳なのよ。急がないと29歳中に出産できなくなるわ。マルコーになっちゃうじゃない?」
出た!昭和の死語。〇の中に高というハンコがカルテに押される。いわゆる高齢出産のことで、高齢出産をすると、母体の危険性や、健康な子供を産めないリスクが上がるということを意味している。
団塊の世代が出産ラッシュの頃は、確かに30歳でマルコーだったが、その後医学の進歩により、35歳になり、40歳になり、ついには廃止されてしまったのだ。
智子は歴史的事実として、そのことを知っているだけ。
「すまんな。瀬田さん、こいつが先走ったことを言って、他に好きな人がいるのならいつでも断ってくれてかまわんよ。だが、もし久志とでも結婚してもいいと思うなら、3か月後には結婚式の予定だからそれまでには、言ってくれ。だけど、納得が行かなければ、3か月が半年後になっても、構わないよ。」
「できたら少しお付き合いがしたいです。それでどうしても無理だと思ったときは、お断りさせていただきます。」
「いいだろ。よろしく頼むよ。」
とりあえず、今日から同衾の話は流れ、ホッとしている。
それにしても、さっきから専務は、黙っているだけで、何を考えているのか、何も考えていないのか?さえもわからない。
なんでも母親の言うがままで、自分では何一つ決められないどうしようもないくず男なのかと疑う。
それならば、この話は速攻お断りよね。
週末は、いきなりの結婚話で驚いたけど、次の日の日曜日、専務から何らかのアクションがあるのかと期待していたが、なんにもなし。
そうよね。専務もきっと、お義母さんがあんなことを言ったことに驚いていらっしゃるのだわ。
月曜日どんな顔をして、出社したらいいか困っていたけど、この分なら、何事もなかったかのような顔をして出勤すればいいかもしれない。と少しホっとして、出勤の支度を始める。
間仕切りはあるものの1000平方メートルはあろうかと思う広さに、ただただ度肝を抜かれる。
建設中に4戸分をまとめて購入し、間仕切りはあるものの、その当時、会社の本社をタワマンの中に移すつもりで買ったとか……?
それにしても広すぎる。端から端まで行くのに、何分ぐらいかかるのか?妙な計算を頭の中でしていると、奥様から声をかけられた。
「今日から、智子さんと呼ばせてくださいね。」
「あ、はい。」
「智子さん、ウチの久志ちゃんのことをどう思っている?」
「どうと、言われましても……。」
「智子さん、恋人はいるの?」
「いいえ。いません。」
「そうよね。今日、智子さんに来てもらったのは、久志ちゃんとの結婚を勧めるために来てもらったのよ。」
「へっ!?」
あまりのことで、ビックリして、つい大声を張り上げてしまった。
「昔から、よく言うでしょ?一つ年上の姉さん女房は禁のわらじを履いて探せ。って。社長から聞いたら、智子さんはとても優秀だというから、ぜひ、わが社の後継者を産んでほしいと思って。」
いやいや、仕事と結婚は別物でしょ?
「そうと決まれば、今日から、この部屋に引っ越してらっしゃい。と売っても、今まで使っていたものはすべて捨てて、必要なものはこちらで新しく買い揃えます。とりあえず、洋服ぐらいは持っていらっしゃい。」
「いや、でも、急に……。」
「久志ちゃんは、一日も早い跡取りができるまで智子さんと今夜からヤりまくりなさい。避妊なんて、許しませんからね。そうそう、結婚式は3か月後にさせてもらうわね。うまくいけばその頃には、妊娠がわかっているかもしれないからね。」」
「おい。なんでもお前が一人で決めるな。こういうことは、本人同士の了解と同意が一番大切だ。」
「だって、社長。智子さんはもう28歳なのよ。急がないと29歳中に出産できなくなるわ。マルコーになっちゃうじゃない?」
出た!昭和の死語。〇の中に高というハンコがカルテに押される。いわゆる高齢出産のことで、高齢出産をすると、母体の危険性や、健康な子供を産めないリスクが上がるということを意味している。
団塊の世代が出産ラッシュの頃は、確かに30歳でマルコーだったが、その後医学の進歩により、35歳になり、40歳になり、ついには廃止されてしまったのだ。
智子は歴史的事実として、そのことを知っているだけ。
「すまんな。瀬田さん、こいつが先走ったことを言って、他に好きな人がいるのならいつでも断ってくれてかまわんよ。だが、もし久志とでも結婚してもいいと思うなら、3か月後には結婚式の予定だからそれまでには、言ってくれ。だけど、納得が行かなければ、3か月が半年後になっても、構わないよ。」
「できたら少しお付き合いがしたいです。それでどうしても無理だと思ったときは、お断りさせていただきます。」
「いいだろ。よろしく頼むよ。」
とりあえず、今日から同衾の話は流れ、ホッとしている。
それにしても、さっきから専務は、黙っているだけで、何を考えているのか、何も考えていないのか?さえもわからない。
なんでも母親の言うがままで、自分では何一つ決められないどうしようもないくず男なのかと疑う。
それならば、この話は速攻お断りよね。
週末は、いきなりの結婚話で驚いたけど、次の日の日曜日、専務から何らかのアクションがあるのかと期待していたが、なんにもなし。
そうよね。専務もきっと、お義母さんがあんなことを言ったことに驚いていらっしゃるのだわ。
月曜日どんな顔をして、出社したらいいか困っていたけど、この分なら、何事もなかったかのような顔をして出勤すればいいかもしれない。と少しホっとして、出勤の支度を始める。
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