5 / 6
5 きつねうどん お子様ランチ
しおりを挟む
キャロラインは今日も今日とて、厨房に立っている。
前世、ニッポンでひところ流行った「一杯の掛けそば」の話は、嘘っぱちの作り話だと聞いたことがある。なぜか都市伝説が独り歩きして、さもありなんの話になったそうである。
今日は、なんとなくきつねうどんが食べたくなったのである。昆布と鰹節で出汁を取り、たっぷりのお湯でうどんを湯がく、お出しをお砂糖と薄口醤油で味を調え、お揚げを煮る。新鮮なものなら、生でも食べられるのであるが、お揚げは熱湯をさっとかけ、油抜きしてから煮ます。料理人の中には、ガスの直火であぶる人もいるが、なんとなくお湯で油抜きしたほうが、健康に良さそうな気がする。
これがあくまで、キャロラインだけの賄い食なのであるが、昆布の成分、グルタミン酸がおいしそうなにおいを出すので、護衛の騎士たちも今や遅しと、きつねうどんができあがるのを待っている。
お箸もうまく使いこなせないのに、スープとしてだけでも美味しいらしいわ。
賄い用なのに、客も行列を作り始めたので、スープとしてきつねうどんを出すことにしたのである。
お揚げを甘く煮るのが京風なのだ。だいたい京料理は、なんでも甘い。すき焼きでもお寿司でも甘めに作るのだ。たぶん都があった時の習わしだと思う。砂糖は貴重品だったから、甘く作ることが一種のステータスだったのであろう。
今日のあの席のお客様は、家族連れだったわ。
ご注文は、子供が喜ぶようなもの。だったのよ。
前世日本人のキャロラインは、子供が喜ぶものと言えば……、オムライス、カレーライス、ハンバーグ、ナポリタン、エビフライにから揚げ?目玉焼き、卵焼きというのもどうだろう?
これらすべてをワンプレートに乗せ、お子様ランチを作ることにしたのである。少しずつをたくさん皿に盛る。
お子様ランチと言えば、なんといっても国旗、つまようじに日の丸を糊でくっつける。これがなんとも懐かしい。どこの国の人だかわからないけど、キャロラインは、日の丸の旗をオムライスに建てる。なんでもいいのよ。子供はただ旗が立っているだけで喜ぶものだから。
簡単なデザートもいちごでもなんでもいいフルーツの盛り合わせたものを添える。子供さんにそれを提供していたら、ご両親も同じものを頼むと言ってきたから、ハナから3人前作ってあるのよ♪
子供と一緒に同じものを食べる幸せというものもあるはずだから。
ご両親の分をお盆にのせていたら、他の客がそれを欲しがったのである。やっぱりね。ワンプレートで食べるというのがいいよね。みんなが大好物なものばかりを乗せているから、たとえ量は少しずつでも全部食べたらお腹いっぱいになる。
お子様ランチのレシピを乗せようかと思いましたが、ハンバーグもオムライスもナポリタンもから揚げも、それぞれのところで書いたみたいなので、今回はレシピなしで行きます。
メルセデス亭では、お子様ランチが「ワンピレートディナー」として、定番の料理メニューとなるまで、時間がかからなかった。ビールとともにすれば、十分すぎるディナーになるし、ジュースやミルクとセットにすれば、お子様でもゆっくり食べられる。
それに伴い、キャロラインは、子供と大人とお皿の大きさを変えることにして、値段も子供は、大人の代金の半額としたのである。
オンワード王国建国以来の一大ヒット食品となるのであったのだ。
他の店も一様に真似をするのだが、見たこともない日本の食材ばかりなので、復元できなかったのである。トマトなど大きなトマトは一般的だが、プチトマトなど一口サイズのトマトはこの世界にはまだない。
甘いイチゴなども季節でないと手に入らない。ケチャップもしかり、何人もの同業者のスパイが食べに来るが一向に製法がわからずにいたのである。
そんなある夜のこと。店の営業が終わり、戸締りして帰った夜のこと。
何者かが、店の警護の目を盗み、店内に侵入したのである。食材を盗むためか、レシピでも置いてあると思ったのか?それはわからないが、とにかく、真っ暗な店内に侵入したのである。警護は、というと見せの前で棒切れにでも叩かれたのであろうか、のびている。
ところが朝になってみると、その泥棒達が、店内で気絶して、泡を吹いて、ぶっ倒れているのだ。
真っ暗な誰もいない店内で、何があったというのか?おそらく、幽霊を見たのであろう。
泥棒は、誰もいないはずの店内で、うしろから不意に声をかけられる。振り向くが誰もいない。前を向いて、進もうとした途端、何かが顔を触る。ろうそくの明かりを頼りにそちらを見ると……、見たこともない薄気味悪い、その泥棒にとっては、何より怖い死んだはずの人が立っている。
その幽霊たちは、朝までその泥棒達が逃げ出さないように、見張ってくれていたみたいで、朝から幽霊さんのリクエストに追われることになったのである。
賄い、そっちのけで朝からコロッケやとんかつを上げることになったのだが、幽霊といえども世知にうるさくワンプレートモーニングを要求されたのである。
前世、ニッポンでひところ流行った「一杯の掛けそば」の話は、嘘っぱちの作り話だと聞いたことがある。なぜか都市伝説が独り歩きして、さもありなんの話になったそうである。
今日は、なんとなくきつねうどんが食べたくなったのである。昆布と鰹節で出汁を取り、たっぷりのお湯でうどんを湯がく、お出しをお砂糖と薄口醤油で味を調え、お揚げを煮る。新鮮なものなら、生でも食べられるのであるが、お揚げは熱湯をさっとかけ、油抜きしてから煮ます。料理人の中には、ガスの直火であぶる人もいるが、なんとなくお湯で油抜きしたほうが、健康に良さそうな気がする。
これがあくまで、キャロラインだけの賄い食なのであるが、昆布の成分、グルタミン酸がおいしそうなにおいを出すので、護衛の騎士たちも今や遅しと、きつねうどんができあがるのを待っている。
お箸もうまく使いこなせないのに、スープとしてだけでも美味しいらしいわ。
賄い用なのに、客も行列を作り始めたので、スープとしてきつねうどんを出すことにしたのである。
お揚げを甘く煮るのが京風なのだ。だいたい京料理は、なんでも甘い。すき焼きでもお寿司でも甘めに作るのだ。たぶん都があった時の習わしだと思う。砂糖は貴重品だったから、甘く作ることが一種のステータスだったのであろう。
今日のあの席のお客様は、家族連れだったわ。
ご注文は、子供が喜ぶようなもの。だったのよ。
前世日本人のキャロラインは、子供が喜ぶものと言えば……、オムライス、カレーライス、ハンバーグ、ナポリタン、エビフライにから揚げ?目玉焼き、卵焼きというのもどうだろう?
これらすべてをワンプレートに乗せ、お子様ランチを作ることにしたのである。少しずつをたくさん皿に盛る。
お子様ランチと言えば、なんといっても国旗、つまようじに日の丸を糊でくっつける。これがなんとも懐かしい。どこの国の人だかわからないけど、キャロラインは、日の丸の旗をオムライスに建てる。なんでもいいのよ。子供はただ旗が立っているだけで喜ぶものだから。
簡単なデザートもいちごでもなんでもいいフルーツの盛り合わせたものを添える。子供さんにそれを提供していたら、ご両親も同じものを頼むと言ってきたから、ハナから3人前作ってあるのよ♪
子供と一緒に同じものを食べる幸せというものもあるはずだから。
ご両親の分をお盆にのせていたら、他の客がそれを欲しがったのである。やっぱりね。ワンプレートで食べるというのがいいよね。みんなが大好物なものばかりを乗せているから、たとえ量は少しずつでも全部食べたらお腹いっぱいになる。
お子様ランチのレシピを乗せようかと思いましたが、ハンバーグもオムライスもナポリタンもから揚げも、それぞれのところで書いたみたいなので、今回はレシピなしで行きます。
メルセデス亭では、お子様ランチが「ワンピレートディナー」として、定番の料理メニューとなるまで、時間がかからなかった。ビールとともにすれば、十分すぎるディナーになるし、ジュースやミルクとセットにすれば、お子様でもゆっくり食べられる。
それに伴い、キャロラインは、子供と大人とお皿の大きさを変えることにして、値段も子供は、大人の代金の半額としたのである。
オンワード王国建国以来の一大ヒット食品となるのであったのだ。
他の店も一様に真似をするのだが、見たこともない日本の食材ばかりなので、復元できなかったのである。トマトなど大きなトマトは一般的だが、プチトマトなど一口サイズのトマトはこの世界にはまだない。
甘いイチゴなども季節でないと手に入らない。ケチャップもしかり、何人もの同業者のスパイが食べに来るが一向に製法がわからずにいたのである。
そんなある夜のこと。店の営業が終わり、戸締りして帰った夜のこと。
何者かが、店の警護の目を盗み、店内に侵入したのである。食材を盗むためか、レシピでも置いてあると思ったのか?それはわからないが、とにかく、真っ暗な店内に侵入したのである。警護は、というと見せの前で棒切れにでも叩かれたのであろうか、のびている。
ところが朝になってみると、その泥棒達が、店内で気絶して、泡を吹いて、ぶっ倒れているのだ。
真っ暗な誰もいない店内で、何があったというのか?おそらく、幽霊を見たのであろう。
泥棒は、誰もいないはずの店内で、うしろから不意に声をかけられる。振り向くが誰もいない。前を向いて、進もうとした途端、何かが顔を触る。ろうそくの明かりを頼りにそちらを見ると……、見たこともない薄気味悪い、その泥棒にとっては、何より怖い死んだはずの人が立っている。
その幽霊たちは、朝までその泥棒達が逃げ出さないように、見張ってくれていたみたいで、朝から幽霊さんのリクエストに追われることになったのである。
賄い、そっちのけで朝からコロッケやとんかつを上げることになったのだが、幽霊といえども世知にうるさくワンプレートモーニングを要求されたのである。
0
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
『恋心を凍らせる薬を飲みました』 - 残りの学園生活、どうぞご自由にお遊びください、婚約者様
恋せよ恋
恋愛
愛されることを諦めた。だから、私は心を凍らせた。
不誠実な婚約者・ユリアンの冷遇に耐えかねたヤスミンは、
伝説の魔女の元を訪れ、恋心を消し去る「氷の薬」を飲む。
感情を捨て、完璧な「人形」となった彼女を前に、
ユリアンは初めて己の罪と執着に狂い始める。
「お願いだ、前のように僕を愛して泣いてくれ!」
足元に跪き、涙を流して乞う男に、ヤスミンは冷酷に微笑む。
「愛?……あいにく、そのような無駄な感情は捨てましたわ」
一度凍りついた心は、二度と溶けない。
後悔にのたうち回る男と、心を凍らせた冷徹な公爵夫人の、
終わりのない贖罪の記録。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
追放聖女の薬草店~光らない無能と言われた私の治癒力は、最強騎士団長の呪いにだけ効くようです。辺境で始める溺愛スローライフ~
黒崎隼人
恋愛
「君の力だけが、俺を救ってくれる」
派手な光を放つ魔法が使えず、「光らない無能」として国を追放された聖女エリナ。
彼女は辺境の村で廃屋を買い取り、念願だった薬草店をオープンする。
相棒の精霊獣ポポと共にスローライフを始めたある嵐の夜、店の前に倒れていたのは、国の最強騎士団長ゼフィルだった。
「黒竜の呪い」に侵され、あらゆる魔法を受け付けない彼の体。
しかし、エリナの持つ「細胞そのものを活性化させる」地味な治癒力だけが、彼の呪いを解く唯一の鍵で……!?
無能扱いされた聖女と、余命わずかの最強騎士。
二人が辺境で紡ぐ、温かくて幸せな再生と溺愛の物語。
毒と薬は使いよう〜辺境の毒りんご姫は側室候補となりました
和島逆
恋愛
辺境の令嬢シャノンには、毒りんごを生み出す異能があった。
「辺境の毒りんご姫」と呼ばれる彼女を警戒し、国王ランベルトは側室候補としてシャノンを王都に召喚する。初対面から彼女を威圧し、本音を探ろうとするランベルトだったが──
「この毒りんごに、他者を殺める力はございません」
「わたくしは決して毒好きなわけではなく、わたくしが愛でているのはあくまで毒りんごなのです」
ランベルトの予想はことごとく外れ、いつの間にかマイペースな彼女にすっかり振り回されていくのであった。
「お前を愛することはない」と言われたお飾りの妻ですが、何か?
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することはない!」「そんな事を言うために女性の寝室に押し入ったのですか? もう寝るつもりで化粧を落として髪をほどいて寝着に着替えてるのに! 最っ低!」
仕事大好き女が「お飾りの妻最高!」と恋愛感情無しで結婚したらこうなるよね、というお話。
ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…
ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。
一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。
そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。
読んでいただけると嬉しいです。
天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎
ギルドで働くおっとり回復役リィナは、
自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。
……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!?
「転ばないで」
「可愛いって言うのは僕の役目」
「固定回復役だから。僕の」
優しいのに過保護。
仲間のはずなのに距離が近い。
しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。
鈍感で頑張り屋なリィナと、
策を捨てるほど恋に負けていくカイの、
コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕!
「遅いままでいい――置いていかないから。」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる