あの日々に戻りたくない!自称聖女の義妹に夫と娘を奪われた妃は、死に戻り聖女の力で復讐を果たす

青の雀

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 ベルディがリリアーヌをロッテンマイヤー家の跡継ぎにさせたいがため、嘘を吐き、あれ以来毎日のようにロッテンマイヤー家に押しかけるようになった。

 そのせいで、本来なら、もうとっくに出かけているはずのスカーレットの日程調整が大きくずれ込んでしまっているのだ。

 ロベルトは、まだジェミニにいるのならば、と花束を持って押しかけてくるは。ベルディとリリアーヌの対応に追われるやはで、てんてこまいしている。

 そこでリリアーヌにとっては、運命の出会いをしてしまったというから、スカーレットは笑いがこみあげてくるのをグッと我慢した。

 それはもちろんロベルト殿下のことで、どうやらリリアーヌはロベルトの顔面偏差値の高さを前に初恋を体験してしまったらしい。

 もともと父親不在で育ってきたので、年上の男性に憧れがあってもおかしくはない。

 それからというもの、リリアーヌは、ロベルトの姿を見たいがためにロッテンマイヤー家に通うようになっていく。

 ロベルトはというと、今のところ、イヤそうなそぶりを見せて逃げ回っているが、男と女はどうなるか、わからない。

 今は、少女というより女児としての体型しかないが、後4~5年すれば女性らしい体型となり、夢中になることは想定済み。

 だから、放っておくことにした。庭先で、ロベルトがスカーレットに助けを求める声が聞こえても、知らんぷりして、馬車で出かける。

 リリアーヌは、ロベルトと結婚したいがために自らを聖女様と名乗るようになっていく。これには、母であるベルディの方が腰を抜かした。

 よりにもよって、そんな大嘘を王子様に言ってしまったら、取り返しのつかない大罪になってしまう。

 ロッテンマイヤー家を利用しようと、さんざん嘘を吐いてきたこととは比べ物にならないほどの大罪に恐れおののき、自分のことを棚に上げ、必死にリリアーヌの口を手で押さえるも、リリアーヌの興奮は、増々エスカレートしていく。

 リリアーヌの吐いた大嘘の話が、ついに教会の耳に入り、国王陛下の耳にも届いた。リリアーヌが聖女様かどうかの審判の日がやって来た。

 だが、その前にそもそもリリアーヌが誰のタネか、はっきりさせる審問が開かれるというベルディにとっては、寝耳に水のような出来事が先に行われることになった。

 リリアーヌの父親探しが、聖女様の儀式よりも優先されることになり、ベルディは詰んだ。と、その場に崩れ落ちた。

 その父娘判定の方法は、ジェミニ国でのものではなく、遠い東の国で、その昔、お家騒動が起こった時に研究開発された方法だと聞いた。

 水晶玉に、血を1滴ずつ垂らし、本当の父と娘ならば水晶玉が青く光るが、血縁関係がない場合は、水晶玉は、何の反応もしないというものだった。

 結果は、……水晶玉は何も反応しなかった。ロッテンマイヤーは、ホっと胸を撫でおろす。

 ベルディは、ロッテンマイヤーに謝罪の言葉を残し、早々に立ち去りたいところだが、まだ娘の聖女判定の儀式が残っている。

 ベルディには、もう判定しなくても、結果がわかっている。だから、リリアーヌを急かしてその場を立ち去りたい。

 ところが、リリアーヌには、自分が嘘を吐いたことで大事になっているという認識が欠けている。

 ロッテンマイヤーが父親ではなかったことについても、
「だったら、本当のお父さんは、どこへ行ってしまったの?」

 リリアーヌがもし3歳ぐらいの少女なら、この言動は許せるというものかもしれないが、何といってももう11歳にもなって、こんなセリフしか言えないということは、お里が知れるという以前に、常識がないと自ら暴露しているようなもの。

 頭がお花畑の娘が、聖女判定をして、その罪が軽減されるとは思えない。場合によっては国家反逆罪や王族(ロッテンマイヤーの偽娘を名乗ったこと)不敬罪に問われかねない。

 ベルディは、膝から崩れ落ち、その場でむせび泣く。
「バカな娘に育ててしまい、まことに申し訳ございません。リリアーヌは聖女様ではございません。ロベルト殿下に一目ぼれをしてしまい、大それた嘘を吐いてしまいました」

 制止しようとしているベルディをリリアーヌから引き離し、教会関係者は、ジェミニの国宝の水晶玉をリリアーヌの前に置く。

「さあ、これに手を翳してごらん」

 言われるままに、リリアーヌは手を翳すが、案の定、何の反応もない。

「嘘!?どういうこと?」
「もう、いいですよ。下がってください」

 教会関係者が、促すも、リリアーヌは首を傾げたまま、水晶玉を見つめている。

「オジサン、この玉、偽物でしょう?偽物はいらない!」

 リリアーヌは、事もあろうか、国宝の水晶玉を両手に持ち、頭上まで、振りかざし、そのまま下に向けて、叩き割ってしまったのだ。

 これには、一同驚いてしまって、ガタガタと震えだすものまで現れた。

「な、なんてことを……」
「あ、ああ、大事な水晶玉が粉々に散ってしまった」
「ジェミニの宝が……」

 ベルディ、リリアーヌの母娘は、すぐさまその場で捕縛され、その日のうちに断頭台送りとなった。

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