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現世
1.婚約破棄(1)
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その日は、よく晴れ渡った日。学園の卒業式が行われるが、第2王子マリオットが差し向けた馬車はまだ来ない。
近頃、学園でリリアーヌ・ドイル男爵令嬢にご執心のためだ。リリアーヌ嬢は、ドイル男爵の庶子で、1年前まで市井で花売りをしていた娘と聞く。その奔放な言動は、貴族社会の中では特異で、令嬢はことごとく眉をしかめる存在。だが、令息は彼女のコロコロ変わる表情に、大口を開けて笑う姿に、走る時に見せつけるかのような白い太ももに釘付けになっており、寮母や生活指導の先生方の注意に知らんぷりを決め込んでいる。
ステファニーは、エストロゲン公爵家の第1子なのだが、エストロゲン公爵家は、何らかの異能持ちを輩出する名門でもある。
ステファニーは、異能を持たないが優しく素直な令嬢として育っていく。
ステファニーがまだ幼いときに、早々と第1王子のクリストファー殿下と婚約が調ったことは、この異能が発現してからでは遅いと判断されたからで、このクリストファー殿下の母は側妃であったことから、エストロゲン家の後ろ盾を得ると、必然的に王太子殿下になる可能性があったため、周囲の反発が凄まじく、特に正妃派からの反発で、婚約したものを保留に戻す異例の処置が行われた。
当時3歳のステファニーは嘆き悲しみ、ついに泣きすぎて記憶を失ってしまうほどだった。
それから2年後、マリオット殿下5歳の時、お妃選定会でステファニーが再び選ばれるまでステファニーから笑顔が消えてしまう。
ステファニーは3歳の時も、5歳になってからも魔力すらなく異能も発現していないというのに、なぜ王家は立て続けに王子との婚約を急いだかと言うと、エストロゲン公爵家は、どこの派閥にも属していない中立でいたから、エストロゲン公爵家を取り込むことができるところが、王位継承権第1位に躍り出ることができる。という理由。
なぜ異能が発現してからでは遅いと判断したかは、異能の種類により異なるが、国家間で取り合いになる可能性が出てくるからで、国にとって有用な軍事、豊穣、再生、聖女などが発現すれば、国家間の火種となる可能性があるためでもある。
そのため異能の青田刈りが行われるのが通例である。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
「ステファニー・エストロゲン公爵令嬢!貴様とは、今宵をもって、婚約破棄とさせてもらおう!」
「……」
「おい!聞いているのか?ったく、お前は以前からもそうであったが、愛想がない娘だな。それに異能もまだ発現していない役立たずだというのに、いつまでも、王太子の婚約者でいること自体がわからない。お前の弟は剣聖、もう一人の弟は賢者、妹は聖女様であるというのに、お前だけ、何も持たないとは……、本当に公爵のタネなのか!?」
それまでは黙って聞いていたステファニーであるが、今の発言は聞き捨てならない。それではまるで、母が浮気をしていたように聞こえる。
「わたくしは、不義の娘ではございません!」
「ほう。ムキになって反論するということは、そうなのだな?」
ダメだ。マリオットの挑発に乗ってしまってはダメだということに気がついているにも関わらず、つい……言い放ってしまったことに後悔が募る。
「よい。お前が、異能なしということがこれでハッキリしたということだ。今までよくもだましていてくれたな?それに男爵令嬢のリリアーヌを学園内でイジメていたそうではないか?異能なしの役立たずの分際で、よくもリリアーヌを苛めていたな?」
「え!?わたくし、そんなこと存じ上げませんわ」
「嘘です!ステファニー様は、私とマリオット殿下の仲を嫉妬して、さんざんイジメてこられたでしょう?もはや言い逃れするとは、信じられません!」
この言動には、多くの貴族令嬢が不満の声を漏らす。
近頃、学園でリリアーヌ・ドイル男爵令嬢にご執心のためだ。リリアーヌ嬢は、ドイル男爵の庶子で、1年前まで市井で花売りをしていた娘と聞く。その奔放な言動は、貴族社会の中では特異で、令嬢はことごとく眉をしかめる存在。だが、令息は彼女のコロコロ変わる表情に、大口を開けて笑う姿に、走る時に見せつけるかのような白い太ももに釘付けになっており、寮母や生活指導の先生方の注意に知らんぷりを決め込んでいる。
ステファニーは、エストロゲン公爵家の第1子なのだが、エストロゲン公爵家は、何らかの異能持ちを輩出する名門でもある。
ステファニーは、異能を持たないが優しく素直な令嬢として育っていく。
ステファニーがまだ幼いときに、早々と第1王子のクリストファー殿下と婚約が調ったことは、この異能が発現してからでは遅いと判断されたからで、このクリストファー殿下の母は側妃であったことから、エストロゲン家の後ろ盾を得ると、必然的に王太子殿下になる可能性があったため、周囲の反発が凄まじく、特に正妃派からの反発で、婚約したものを保留に戻す異例の処置が行われた。
当時3歳のステファニーは嘆き悲しみ、ついに泣きすぎて記憶を失ってしまうほどだった。
それから2年後、マリオット殿下5歳の時、お妃選定会でステファニーが再び選ばれるまでステファニーから笑顔が消えてしまう。
ステファニーは3歳の時も、5歳になってからも魔力すらなく異能も発現していないというのに、なぜ王家は立て続けに王子との婚約を急いだかと言うと、エストロゲン公爵家は、どこの派閥にも属していない中立でいたから、エストロゲン公爵家を取り込むことができるところが、王位継承権第1位に躍り出ることができる。という理由。
なぜ異能が発現してからでは遅いと判断したかは、異能の種類により異なるが、国家間で取り合いになる可能性が出てくるからで、国にとって有用な軍事、豊穣、再生、聖女などが発現すれば、国家間の火種となる可能性があるためでもある。
そのため異能の青田刈りが行われるのが通例である。
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「ステファニー・エストロゲン公爵令嬢!貴様とは、今宵をもって、婚約破棄とさせてもらおう!」
「……」
「おい!聞いているのか?ったく、お前は以前からもそうであったが、愛想がない娘だな。それに異能もまだ発現していない役立たずだというのに、いつまでも、王太子の婚約者でいること自体がわからない。お前の弟は剣聖、もう一人の弟は賢者、妹は聖女様であるというのに、お前だけ、何も持たないとは……、本当に公爵のタネなのか!?」
それまでは黙って聞いていたステファニーであるが、今の発言は聞き捨てならない。それではまるで、母が浮気をしていたように聞こえる。
「わたくしは、不義の娘ではございません!」
「ほう。ムキになって反論するということは、そうなのだな?」
ダメだ。マリオットの挑発に乗ってしまってはダメだということに気がついているにも関わらず、つい……言い放ってしまったことに後悔が募る。
「よい。お前が、異能なしということがこれでハッキリしたということだ。今までよくもだましていてくれたな?それに男爵令嬢のリリアーヌを学園内でイジメていたそうではないか?異能なしの役立たずの分際で、よくもリリアーヌを苛めていたな?」
「え!?わたくし、そんなこと存じ上げませんわ」
「嘘です!ステファニー様は、私とマリオット殿下の仲を嫉妬して、さんざんイジメてこられたでしょう?もはや言い逃れするとは、信じられません!」
この言動には、多くの貴族令嬢が不満の声を漏らす。
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