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現世
2.婚約破棄(2)
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「わたくしたちは、父からの言いつけでステファニー様と学園では行動を共にしておりましたが、一度もリリアーヌ様とご一緒したことがございません。いったい、いつ、どこで、どういったシチュエーションでイジメがあったと仰せられるのですか?」
それは、ステファニーの取り巻きの貴族令嬢たちで、将来、王妃となるべくステファニーを護る目的で結成された、淑女・令嬢軍団のことであり、小さい頃からの付き合いで幼馴染でもある。
「ええいっ!うるさいわい!ならば、お前らも同罪だ!こいつらもろとも、ひっ捕らえよ」
その一言で、卒業パーティの会場は騒然となる。なぜなら、各貴族令嬢の傘下のパーティは、それぞれの家門の護衛騎士が付き添ってきているので、護衛騎士と衛兵との間の小競り合いが始まり出したのだ。
悲鳴と怒号が飛び交う中、ステファニーは、マリオットに突き飛ばされ、強かに頭を打ち付ける。そこへ激昂したマリオットのパンチが顔面を襲い、ほとんど血だらけになり、意識を手放す。
エストロゲン家では、異能なしのステファニーに護衛騎士を付けていないことから、その血だらけのステファニーを救護したのは、最初の婚約者であるクリストファー殿下が、お姫様抱っこをして別室に連れて行き、医務班と自ら治癒魔法で処置をしてくれたのである。
おかげで、ドレスは血濡れたが、顔面の腫れもすっかり引き、元通りの美しい顔になったが、なかなかステファニーの意識が戻らない。
他の令嬢は、地下牢に放り込まれ、卒業パーティの騒動は、歴史に残る事件へと発展していく。各家紋の貴族は、すぐさま王家に怒鳴り込み、それで初めて第2王子のマリオットがステファニーと婚約破棄をして、男爵令嬢のリリアーヌと結婚したがっていることを知るところとなる。
卒業パーティの会場は、王城の別宮で行われているので、陛下の執務室からは喧騒が聞こえない。
国王陛下は、カンカンに激怒され、事態の収拾を図るべく専門官をパーティに派遣をすることを決める。
マリオットは肩で息をしながら、なおもステファニーの姿を狂ったように追い求めている。
「アイツ、どこへ行った?わが愛するリリアーヌをイジメ抜いておいて、逃げ隠れするなど言語道断の所業だ!」
リリアーヌは、ことが大きくなりすぎたので、ほんの些細な自分の嘘がここまでの大事になるとは夢にも思っていなかったので、怖くて、パーティ会場の隅でブルブル震えている。
本当は、逃げ出してしまいたいが、マリオット殿下がここまで自分のことを思ってくれていたかを知り、正直なところ嬉しい。でも、その反面、嘘がバレた時のことを思い浮かべると、やはり怖くて仕方がない。
そうこうしているうちに、国王陛下おなりの合図が会場に響き渡る。
さすがに陛下が登場されると、それまでの喧騒がウソのように静まり返ってしまう。
「マリオット!これはいったい何ごとの騒ぎだ?」
「父上、私はステファニーとの婚約を破棄し、男爵令嬢のリリアーヌを嫁にしたいです」
「バカ者!そのようなたわけたことを本気で申しているのか?……はぁ……学園長はおるか?」
陛下の呼びかけに対し、初老の男性が恐る恐る陛下の前へ進み出る。
「はい。学園長のセオールでございます」
「うむ。あれを開示せよ。……その前に関係者一同を集めよ」
地下牢に入れられていた令嬢が陛下の前に跪きはじめ、リリアーヌもマリオット殿下と共に陛下の前に歩み出る。
「ステファニー嬢はいかがした?」
側近が陛下に耳打ちすると、陛下の顔色はますます険悪になっていく。
「ステファニー嬢と婚約させるのに、大変な苦労をしたのだ。お前はそんな苦労を水の泡にしおって」
「ですが、私は真実の愛に目覚めてしまったのです」
学園長は、用意してきた包みを解きはじめる。
それは、ステファニーの取り巻きの貴族令嬢たちで、将来、王妃となるべくステファニーを護る目的で結成された、淑女・令嬢軍団のことであり、小さい頃からの付き合いで幼馴染でもある。
「ええいっ!うるさいわい!ならば、お前らも同罪だ!こいつらもろとも、ひっ捕らえよ」
その一言で、卒業パーティの会場は騒然となる。なぜなら、各貴族令嬢の傘下のパーティは、それぞれの家門の護衛騎士が付き添ってきているので、護衛騎士と衛兵との間の小競り合いが始まり出したのだ。
悲鳴と怒号が飛び交う中、ステファニーは、マリオットに突き飛ばされ、強かに頭を打ち付ける。そこへ激昂したマリオットのパンチが顔面を襲い、ほとんど血だらけになり、意識を手放す。
エストロゲン家では、異能なしのステファニーに護衛騎士を付けていないことから、その血だらけのステファニーを救護したのは、最初の婚約者であるクリストファー殿下が、お姫様抱っこをして別室に連れて行き、医務班と自ら治癒魔法で処置をしてくれたのである。
おかげで、ドレスは血濡れたが、顔面の腫れもすっかり引き、元通りの美しい顔になったが、なかなかステファニーの意識が戻らない。
他の令嬢は、地下牢に放り込まれ、卒業パーティの騒動は、歴史に残る事件へと発展していく。各家紋の貴族は、すぐさま王家に怒鳴り込み、それで初めて第2王子のマリオットがステファニーと婚約破棄をして、男爵令嬢のリリアーヌと結婚したがっていることを知るところとなる。
卒業パーティの会場は、王城の別宮で行われているので、陛下の執務室からは喧騒が聞こえない。
国王陛下は、カンカンに激怒され、事態の収拾を図るべく専門官をパーティに派遣をすることを決める。
マリオットは肩で息をしながら、なおもステファニーの姿を狂ったように追い求めている。
「アイツ、どこへ行った?わが愛するリリアーヌをイジメ抜いておいて、逃げ隠れするなど言語道断の所業だ!」
リリアーヌは、ことが大きくなりすぎたので、ほんの些細な自分の嘘がここまでの大事になるとは夢にも思っていなかったので、怖くて、パーティ会場の隅でブルブル震えている。
本当は、逃げ出してしまいたいが、マリオット殿下がここまで自分のことを思ってくれていたかを知り、正直なところ嬉しい。でも、その反面、嘘がバレた時のことを思い浮かべると、やはり怖くて仕方がない。
そうこうしているうちに、国王陛下おなりの合図が会場に響き渡る。
さすがに陛下が登場されると、それまでの喧騒がウソのように静まり返ってしまう。
「マリオット!これはいったい何ごとの騒ぎだ?」
「父上、私はステファニーとの婚約を破棄し、男爵令嬢のリリアーヌを嫁にしたいです」
「バカ者!そのようなたわけたことを本気で申しているのか?……はぁ……学園長はおるか?」
陛下の呼びかけに対し、初老の男性が恐る恐る陛下の前へ進み出る。
「はい。学園長のセオールでございます」
「うむ。あれを開示せよ。……その前に関係者一同を集めよ」
地下牢に入れられていた令嬢が陛下の前に跪きはじめ、リリアーヌもマリオット殿下と共に陛下の前に歩み出る。
「ステファニー嬢はいかがした?」
側近が陛下に耳打ちすると、陛下の顔色はますます険悪になっていく。
「ステファニー嬢と婚約させるのに、大変な苦労をしたのだ。お前はそんな苦労を水の泡にしおって」
「ですが、私は真実の愛に目覚めてしまったのです」
学園長は、用意してきた包みを解きはじめる。
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