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現世:カフェレストラン
14.エストロゲン公爵視点(2)
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どうしてもステファニーの部屋を突破できないエストロゲン公爵は苛立ち「勝手にしろ!」と言い放ち、それどころか、「お前など勘当だ!今すぐ、家から出ていけ!」と大声で怒鳴り散らしているところに、運悪くクリストファー殿下が婚約の正式書面を持って、公爵邸を訪問していた時だったのだ。
「公爵!今、何と申した?ステファニーを勘当すると申していたようだが……?」
「いや、あの……その……、今日、ステファニーが修道院に行く日でして、それが部屋に立てこもり一歩も出てこようとしないので、つい、苛立ってしまって」
「修道院とは何だ?この前、来たときには、そのような話はなかったではないか?」
「あの……だから、殿下にはスザンヌがおりますでしょう。スザンヌとぜひ、婚約してくださいませ、と申し上げたはずでございます」
「おま、……王家からの縁談を断るなど、どういうつもりで言っているのだ?それは謀反と同じ国家反逆罪の罪に問われても致し方がないということだぞ!とにかく、今日はステファニーに合わせてもらえるまで、帰らないつもりでいる。お前がいくら反対しようが、ステファニーさえよければ、今日にでもステファニーを妻とし、この家から救出するつもりで来た」
「それでは、私どもが、まるでステファニーに対して虐待をしているように聞こえるではございませんか?」
「虐待?ステファニーがこれまでそなたら家族からどのような扱いを受けてきたかを思えば、ただの虐待という言葉だけでは済まされぬことをしてきたではないか!」
「そんな……、滅相もございません!ステファニーは長女ですので、それはそれは、大事に可愛がり自慢の娘?として、育てて参りました」
「では、聞くが、ステファニーの誕生日にパーティを何度開いたか?それに弟の誕生日パーティ、妹の誕生日パーティにいつもステファニーは出席すら許されていなかったではないか?その時のステファニーの悲しみ、寂しさを誰も思いやろうとしなかったのではないか?何がスザンヌ聖女様だ。薄汚い心根のくせに、姉のことを思いやることもできない聖女様など、聖女様ではない!一生、教会という檻の中で、せいぜい我が儘を言いたい放題、やりたい放題して暮らすが良い」
「殿下、それはあまりにも言い過ぎではございませんか?」
「ほう。私に意見するなど、その方、いつからそんなに偉くなったのだ?今の言動だけでも、帥(そち)を処罰することなど、いとも簡単になったわい」
「いや、あの……、それはお許しください。わかりましたスザンヌを王妃にすることは諦めます」
エストロゲン公爵は、しどろもどろになりながら、汗を拭いている。
そこへ、修道院からの使いの者が、
「あのぉ、こちらのお嬢様はいつ修道院へ来られるので、ございましょうか?ウチの院長はお嬢様の到着を、首を長くして待っております。なんと言っても、公爵様からのご依頼でもありますし、……それに多大なる寄付金も絡んでおりますから、『公爵様は首に縄をかけてでも、引きずってでも、娘を連れて行くとお約束をされました。』と院長から伺っております」
「な、何だとぉ!貴様、寄付金付きで、ステファニーを修道院へ送るつもりだったのか!?王家から正式に婚約を打診していたというのに?こんな無礼者を見たことがない。おい!」
クリストファー殿下は、同行してきた騎士を呼び寄せる。
「いや、あの……その……、ステファニーはわが家門の恥さらしものでございますれば……」
「それで、厄介払いをしようとしたのか?こ奴を地下牢にぶち込め!詮議は帰城してからとする。引っ立てぃ!」
「はっ!」
「あ、あの……、それで寄付金はいつ支払われるのでございますか?」
この修道院から来た男も相当、空気が読めない。
「公爵!今、何と申した?ステファニーを勘当すると申していたようだが……?」
「いや、あの……その……、今日、ステファニーが修道院に行く日でして、それが部屋に立てこもり一歩も出てこようとしないので、つい、苛立ってしまって」
「修道院とは何だ?この前、来たときには、そのような話はなかったではないか?」
「あの……だから、殿下にはスザンヌがおりますでしょう。スザンヌとぜひ、婚約してくださいませ、と申し上げたはずでございます」
「おま、……王家からの縁談を断るなど、どういうつもりで言っているのだ?それは謀反と同じ国家反逆罪の罪に問われても致し方がないということだぞ!とにかく、今日はステファニーに合わせてもらえるまで、帰らないつもりでいる。お前がいくら反対しようが、ステファニーさえよければ、今日にでもステファニーを妻とし、この家から救出するつもりで来た」
「それでは、私どもが、まるでステファニーに対して虐待をしているように聞こえるではございませんか?」
「虐待?ステファニーがこれまでそなたら家族からどのような扱いを受けてきたかを思えば、ただの虐待という言葉だけでは済まされぬことをしてきたではないか!」
「そんな……、滅相もございません!ステファニーは長女ですので、それはそれは、大事に可愛がり自慢の娘?として、育てて参りました」
「では、聞くが、ステファニーの誕生日にパーティを何度開いたか?それに弟の誕生日パーティ、妹の誕生日パーティにいつもステファニーは出席すら許されていなかったではないか?その時のステファニーの悲しみ、寂しさを誰も思いやろうとしなかったのではないか?何がスザンヌ聖女様だ。薄汚い心根のくせに、姉のことを思いやることもできない聖女様など、聖女様ではない!一生、教会という檻の中で、せいぜい我が儘を言いたい放題、やりたい放題して暮らすが良い」
「殿下、それはあまりにも言い過ぎではございませんか?」
「ほう。私に意見するなど、その方、いつからそんなに偉くなったのだ?今の言動だけでも、帥(そち)を処罰することなど、いとも簡単になったわい」
「いや、あの……、それはお許しください。わかりましたスザンヌを王妃にすることは諦めます」
エストロゲン公爵は、しどろもどろになりながら、汗を拭いている。
そこへ、修道院からの使いの者が、
「あのぉ、こちらのお嬢様はいつ修道院へ来られるので、ございましょうか?ウチの院長はお嬢様の到着を、首を長くして待っております。なんと言っても、公爵様からのご依頼でもありますし、……それに多大なる寄付金も絡んでおりますから、『公爵様は首に縄をかけてでも、引きずってでも、娘を連れて行くとお約束をされました。』と院長から伺っております」
「な、何だとぉ!貴様、寄付金付きで、ステファニーを修道院へ送るつもりだったのか!?王家から正式に婚約を打診していたというのに?こんな無礼者を見たことがない。おい!」
クリストファー殿下は、同行してきた騎士を呼び寄せる。
「いや、あの……その……、ステファニーはわが家門の恥さらしものでございますれば……」
「それで、厄介払いをしようとしたのか?こ奴を地下牢にぶち込め!詮議は帰城してからとする。引っ立てぃ!」
「はっ!」
「あ、あの……、それで寄付金はいつ支払われるのでございますか?」
この修道院から来た男も相当、空気が読めない。
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