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グレジオラ国では、バカ王太子のせいで、女神様の怒りに触れたことを真剣に話し合いがもたれ、その結果、国立国会図書館で1000年前の文献を調べることになったのである。
氷像、氷の建物の対処法を探すことにしたのである。
とにもかくにも、偽聖女だった化けヒキガエルを退治して、レオナルド13世を救出して、女神様を怒らせたことによる人柱になってもらわなければならない。
女神の呪いはいかにして防ぐことができるのか?そもそも文献に残されているのは、女神側から見た対処法で、一般人向けではない。
結界はどうなったのか、グレジオラの内側から見ている段にはわからない。
そうこうしている間に、化けヒキガエル討伐隊がヒキガエルの生息地とされる山へ到着したのであった。
レオナルド13世は、ひからびた精気をみんなヒキガエルに吸い取られたような姿をしていて、半分凍りかけていたのである。
「おお!よくぞ参ってくれた。俺を助けに来てくれたのか?」
などとのんきなことを言っている。
「この化け物をさっさと退治してくれ。」
「さんざん、あたいと愛し合っといて、なんだその言い草は!お前なんぞ食ってやるわ。」
ヒキガエルが食おうとしたところを、騎士団が槍で突き刺す。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ~」
断末魔の悲鳴!さらに、槍を投げて、弓矢で射て、とどめを刺す。
驚いたことに、ヒキガエルにとどめを刺した瞬間、レオナルド13世は一部分凍っていたのが、全身に氷がまとわりつき、あっという間に氷像になり果てたのである。
ヒキガエルが生きて、産卵のためレオナルド13世を利用していたから、かろうじて女神の呪いを免れていたのである。
そして、とどめを刺され絶命したヒキガエルも、そのまま凍り付いたのである。
騎士団は、氷像をそのままにして、王都へ帰還することにした。持ち帰っても、もう人間の姿には戻れないだろう。また、ヒキガエルとまぐわうような王太子に王位継承権などあるはずがない。
グレジオラ開国当初は、誰も聖女教育や聖人教育のおかげで、魅了魔法などに引っかかるものは存在しなかったのである。
それが1000年後はどうだろう。毒や悪い魔法にかかる王族が後を絶たない。もうこの国は、国としての寿命が尽きたのである。
女神様は、また新しい国を作られたらいい。その時は、騎士団もこぞって、その国に入れてもらいたい。
女神様がいらっしゃった公爵邸のあった場所は、大きな底なしの穴が開いている。近隣の貴族屋敷が火を放とうとしたら、女神様の呪い返しで、あたり一面焼け野原になったそうである。
これ以上、女神様を怒らせて、どうするつもりだったのか?本当に、貴族どもは、グレジオラ国をつぶしたい気持ちがあったのだろうか?
女神様の領地でも同じように大きな底なしの穴が開いていると聞く。女神様は、もうこのグレジオラ国をお捨てになられたからこそ、土地ごと国外追放の処分に甘んじられたのだろう。
騎士団長のジョージア・フリーランスは、女神様を崇拝している一人であったのだ。
あの卒業記念祝賀パーティでは、外の警護に当たっていたので、会場内でそのような断罪劇が行われているとは、夢にも思っていなかったのである。
できれば自分も女神様と行動を共にしたかった。レオナルド13世殿下の婚約者がゴールデニア様で、開国の祖の女神様と同じ名前であったことから、気にはかけていたのだ。
まさかそのゴールデニア様が本当に女神様の化身であったとは、もっと早く気づいていれば、一緒に行動を共にすることができたはずであり、悔やんでも悔やみきれない。
もうこの国は、たぶんもたないであろう。
女神様と行動を共にしたい。
そう、ゴールデニアは、ろくすっぽ転生の神から、レオナルド様の行くえを聞かずにグレジオラに来てしまったのには、訳がある。
なぜかゴールデニアの熱心な信者が、ここ、グレジオラにいることがわかっていたからである。
ゴールデニアはアンダルシアに着いてからというものの、何かグレジオラに忘れ物をしてきた気分になり、いくら考えてもその正体がわからない。
アントニオ様と一緒に居られて身も心も充実しているはずなのに、なぜか落ち着かない。
「ちょっと、グレジオラへ見に行ってくるわね。」
ゴールデニアは自身に隠蔽魔法をかけ、空の上から忘れ物の正体を探ると、うっすら金色に輝く一人の男性を発見した。
男性のすぐ近くまで、透明人間のまま降りる。男性は一人ブツブツ言いながら、
「女神様、どうか私めをお傍に置いてくださいませ……。」
ビックリしてゴールデニアが姿を現すと、その男性も驚かれたようで
「私は、騎士団長をしております。ジョージア・フリーランスという若輩者でございます。常々、女神様を信奉致しておりました。どうか女神様のお傍近くに置いてもらえないでしょうか?」
ゴールデニアのドレスの裾にキスを落としたのである。
「あなたがわたくしの信者様でしたのね。気づかず、出国してしまい、ごめんなさい。あなた、ご家族はいらっしゃらないの?」
「母がひとりいます。」
「わかりました。ではお母様もろともわたくしのいるところへ参りましょう。」
ジョージアに実家の場所をイメージさせ、ともに実家まで飛ぶと、そこにいたのは初代グレジオラ国王妃殿下の魂を持つ女性だったのだ。
「ゴールデニアちゃん?」
「お義母様!」
二人は懐かしすぎて、しばらく見つめ合い。それから涙を流し
「あれから、何度も転生しましたわ。でも、ゴールデニアちゃんにもレオナルドにも、グレジオラにも出会えなかった。それが今日、会えてうれしいわ。」
「お義母様、わたくし今、レオナルド様の魂を持つ方と一緒におりますのよ。お義母様もぜひ、ご一緒に来てくださらないかしら。」
「ええ?レオと一緒にいるの?それなら一緒に行くわ。」
ジョージアの実家の土地ごと、異空間に放り込み、ジョージアとお義母様の手を繋いで、真ん中にゴールデニアが来るように並び、転移魔法を使い、アンダルシアに戻るのであった。
アンダルシアでは、アントニオの今世の父王と謁見して、滞在許可をもらい、ジョージアの実家とともに、ハーバード領地とグレジオラ王都にあった公爵家の敷地を埋め立てるかのように、バンバン出していく。また、海の王ポセイドンが怒るだろうな、と思いながら。
謁見したときは、気づかなかったが、主に国王陛下の対応は、ハ―バード公爵に任せきりだったので、アントニオ様の話では、グレジオラの初代国王の魂を持っているみたい。
ここに初代の家族が勢ぞろいした格好になったのである。
アンダルシアの国王陛下=グレジオラ公爵
ジョージアの母=グレジオラ公爵夫人
アントニオ・アンダルシア=レオナルド・グレジオラ
ゴールデニア・ハーバード=ゴールデニア・グレジオラ
こんなことってあるの?
転生の神にちゃんと聞いておかなくて、良かった。でないとジョージアとそのお母さんに会うことはなかったであろう。
ジョージアが篤信家なのは、フリーランス夫人が今も昔もゴールデニアの信者様であったからである。
アンダルシアの国王陛下は、王妃を亡くしたやもめである。
うまくいけば、フリーランス夫人が後妻にだって、入れる。
グレジオラで王妃をやってきた経験が生かせるというものである。
「ええ?もう1000年も昔のことよ。」
「儂が支える。ぜひ、我が妻になってもらいたい。」
結局、フリーランス夫人は、アンダルシア国王陛下と再婚し、王妃の仕事に就くことになります。1000年前、愛し合った夫婦だから、息もピッタリでしたわ。
アントニオ様とゴールデニアは、結婚が決まり、式にはまたあの人が臨席することになったのである。
「神の祝福を授ける。」
参列者の頭上に、祝福を受け、健康で怪我もしない身体となったのです。
氷像、氷の建物の対処法を探すことにしたのである。
とにもかくにも、偽聖女だった化けヒキガエルを退治して、レオナルド13世を救出して、女神様を怒らせたことによる人柱になってもらわなければならない。
女神の呪いはいかにして防ぐことができるのか?そもそも文献に残されているのは、女神側から見た対処法で、一般人向けではない。
結界はどうなったのか、グレジオラの内側から見ている段にはわからない。
そうこうしている間に、化けヒキガエル討伐隊がヒキガエルの生息地とされる山へ到着したのであった。
レオナルド13世は、ひからびた精気をみんなヒキガエルに吸い取られたような姿をしていて、半分凍りかけていたのである。
「おお!よくぞ参ってくれた。俺を助けに来てくれたのか?」
などとのんきなことを言っている。
「この化け物をさっさと退治してくれ。」
「さんざん、あたいと愛し合っといて、なんだその言い草は!お前なんぞ食ってやるわ。」
ヒキガエルが食おうとしたところを、騎士団が槍で突き刺す。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ~」
断末魔の悲鳴!さらに、槍を投げて、弓矢で射て、とどめを刺す。
驚いたことに、ヒキガエルにとどめを刺した瞬間、レオナルド13世は一部分凍っていたのが、全身に氷がまとわりつき、あっという間に氷像になり果てたのである。
ヒキガエルが生きて、産卵のためレオナルド13世を利用していたから、かろうじて女神の呪いを免れていたのである。
そして、とどめを刺され絶命したヒキガエルも、そのまま凍り付いたのである。
騎士団は、氷像をそのままにして、王都へ帰還することにした。持ち帰っても、もう人間の姿には戻れないだろう。また、ヒキガエルとまぐわうような王太子に王位継承権などあるはずがない。
グレジオラ開国当初は、誰も聖女教育や聖人教育のおかげで、魅了魔法などに引っかかるものは存在しなかったのである。
それが1000年後はどうだろう。毒や悪い魔法にかかる王族が後を絶たない。もうこの国は、国としての寿命が尽きたのである。
女神様は、また新しい国を作られたらいい。その時は、騎士団もこぞって、その国に入れてもらいたい。
女神様がいらっしゃった公爵邸のあった場所は、大きな底なしの穴が開いている。近隣の貴族屋敷が火を放とうとしたら、女神様の呪い返しで、あたり一面焼け野原になったそうである。
これ以上、女神様を怒らせて、どうするつもりだったのか?本当に、貴族どもは、グレジオラ国をつぶしたい気持ちがあったのだろうか?
女神様の領地でも同じように大きな底なしの穴が開いていると聞く。女神様は、もうこのグレジオラ国をお捨てになられたからこそ、土地ごと国外追放の処分に甘んじられたのだろう。
騎士団長のジョージア・フリーランスは、女神様を崇拝している一人であったのだ。
あの卒業記念祝賀パーティでは、外の警護に当たっていたので、会場内でそのような断罪劇が行われているとは、夢にも思っていなかったのである。
できれば自分も女神様と行動を共にしたかった。レオナルド13世殿下の婚約者がゴールデニア様で、開国の祖の女神様と同じ名前であったことから、気にはかけていたのだ。
まさかそのゴールデニア様が本当に女神様の化身であったとは、もっと早く気づいていれば、一緒に行動を共にすることができたはずであり、悔やんでも悔やみきれない。
もうこの国は、たぶんもたないであろう。
女神様と行動を共にしたい。
そう、ゴールデニアは、ろくすっぽ転生の神から、レオナルド様の行くえを聞かずにグレジオラに来てしまったのには、訳がある。
なぜかゴールデニアの熱心な信者が、ここ、グレジオラにいることがわかっていたからである。
ゴールデニアはアンダルシアに着いてからというものの、何かグレジオラに忘れ物をしてきた気分になり、いくら考えてもその正体がわからない。
アントニオ様と一緒に居られて身も心も充実しているはずなのに、なぜか落ち着かない。
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ゴールデニアは自身に隠蔽魔法をかけ、空の上から忘れ物の正体を探ると、うっすら金色に輝く一人の男性を発見した。
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ビックリしてゴールデニアが姿を現すと、その男性も驚かれたようで
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ゴールデニアのドレスの裾にキスを落としたのである。
「あなたがわたくしの信者様でしたのね。気づかず、出国してしまい、ごめんなさい。あなた、ご家族はいらっしゃらないの?」
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「わかりました。ではお母様もろともわたくしのいるところへ参りましょう。」
ジョージアに実家の場所をイメージさせ、ともに実家まで飛ぶと、そこにいたのは初代グレジオラ国王妃殿下の魂を持つ女性だったのだ。
「ゴールデニアちゃん?」
「お義母様!」
二人は懐かしすぎて、しばらく見つめ合い。それから涙を流し
「あれから、何度も転生しましたわ。でも、ゴールデニアちゃんにもレオナルドにも、グレジオラにも出会えなかった。それが今日、会えてうれしいわ。」
「お義母様、わたくし今、レオナルド様の魂を持つ方と一緒におりますのよ。お義母様もぜひ、ご一緒に来てくださらないかしら。」
「ええ?レオと一緒にいるの?それなら一緒に行くわ。」
ジョージアの実家の土地ごと、異空間に放り込み、ジョージアとお義母様の手を繋いで、真ん中にゴールデニアが来るように並び、転移魔法を使い、アンダルシアに戻るのであった。
アンダルシアでは、アントニオの今世の父王と謁見して、滞在許可をもらい、ジョージアの実家とともに、ハーバード領地とグレジオラ王都にあった公爵家の敷地を埋め立てるかのように、バンバン出していく。また、海の王ポセイドンが怒るだろうな、と思いながら。
謁見したときは、気づかなかったが、主に国王陛下の対応は、ハ―バード公爵に任せきりだったので、アントニオ様の話では、グレジオラの初代国王の魂を持っているみたい。
ここに初代の家族が勢ぞろいした格好になったのである。
アンダルシアの国王陛下=グレジオラ公爵
ジョージアの母=グレジオラ公爵夫人
アントニオ・アンダルシア=レオナルド・グレジオラ
ゴールデニア・ハーバード=ゴールデニア・グレジオラ
こんなことってあるの?
転生の神にちゃんと聞いておかなくて、良かった。でないとジョージアとそのお母さんに会うことはなかったであろう。
ジョージアが篤信家なのは、フリーランス夫人が今も昔もゴールデニアの信者様であったからである。
アンダルシアの国王陛下は、王妃を亡くしたやもめである。
うまくいけば、フリーランス夫人が後妻にだって、入れる。
グレジオラで王妃をやってきた経験が生かせるというものである。
「ええ?もう1000年も昔のことよ。」
「儂が支える。ぜひ、我が妻になってもらいたい。」
結局、フリーランス夫人は、アンダルシア国王陛下と再婚し、王妃の仕事に就くことになります。1000年前、愛し合った夫婦だから、息もピッタリでしたわ。
アントニオ様とゴールデニアは、結婚が決まり、式にはまたあの人が臨席することになったのである。
「神の祝福を授ける。」
参列者の頭上に、祝福を受け、健康で怪我もしない身体となったのです。
応援ありがとうございます!
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