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父が長期出張に出かけたある日のこと、突然、父の後妻だという女が訪ねてきて、公爵邸に飛び込んできたのだ。
「あなたがジュリアスティちゃんね、初めまして。私があなたの新しいお母様ですよ。こちらは姉のリリアーヌと妹のルルアンヌですわ。二人とも、ご挨拶なさい。」
執事も家令も誰一人、父が再婚することなど聞いていない。そして、ジュリアスティ自身も初耳のことで……。
でも名前と年齢と家族構成を知っているということは?
お父様ったら、わたくしの婚約だけはお急ぎになられて、ご自分のことを言うのをお忘れになられてしまわれたのかしら。
「お待ちください、新しい奥様、旦那様からわたくしどもは何も伺っておりませんもので、旦那様から確認が取れるまでは、屋敷に入ることはご遠慮くださいませ。」
「なんですってー!私が嘘を吐いているとでも?アナタは言いたいわけですわね?」
「いえいえ、そういうわけではございませんが、旦那様のお許しがなければ、何人たりとも、この家に入れるわけにはまいりません。」
「だったら、すぐにブルーフォード国に連絡を取りなさいよっ!」
旦那様の、お父様の赴任先の国名をズバリ言い当てられ、執事も家令もジュリアスティも本物?と思ってしまったのだ。
これがすべての間違いの始まり。
「荷物を運ぶのを、手伝ってちょうだい!」
公爵家の使用人総出で、新しい奥様アナベル様の引っ越しのお手伝いをすることになったのである。
すべての部屋を見て回り、アナベルは、さっさと亡き母の部屋を自分の部屋にし、娘たち二人の部屋をジュリアスティが使っていた部屋を横取りする。
「その部屋は先妻の奥様が使われてたお部屋で、旦那様から、そのまま保存するように、と申しつかっておりまして……、そちらのお部屋は、ジュリアスティお嬢様のお部屋で。」
「うるさいわねっ!この部屋が気に入ったのよ。この娘たちもこの部屋が気に入ったんだから、ベッドをもう一つ入れて頂戴な。狭くても辛抱しなさい。」
「ジュリアスティちゃん、イイでしょう。この娘たちに使わせても?」
「……。」
「ほら、本人がイイって言ってんだから、さっさとベッドを運びなさいよ。ああ、そうだ。このベッドはジュリアスティちゃんがお使いになるから、新品のベッドを2台注文してくださる?そして、そうね。ジュリアスティちゃんの新しいお部屋を決めてあげるわ。上のお部屋なんて、よろしくなくて?」
ジュリアスティは屋根裏部屋に追いやられ、使用人も口出しができない。
そして、食事もジュリアスティは食堂を使うことを禁止され、屋根裏部屋で食事する羽目になったのです。
大事な跡取りお嬢様が、そんな目に遭っていても、誰もお守りすることができない。何か反論すると、すぐ「クビよ。」と言われるから。
ジュリアスティの持ち物だったドレスも宝石も、亡き母の形見のドレスも宝石も、全部アナベル母子にとられてしまう。
そんなある日、ボンド公爵家とモンシャトレ公爵家からハートフルス家に厳重抗議が来る。
内容は、聞いてビックリ!
第1王子様と第3王子様にリリアーヌとルルアンヌがちょっかいを出しているらしい。
王子様の前で全裸になり、王子様の股間を触りながら、年頃の王子様は、それだけでイチコロになってしまわれる。
「ねぇ、アレクサンドル様ぁ、ボンド公爵令嬢なんて、ほっといて私といいことしない?」
「フランシス様ぁ、私と気持ちいいことしましょう。」
貴族間の政略での決まり事を無視する所業に怒り心頭で、ハートフルス家に抗議が来たのだ。
調べてみたら、継母子の悪行はそれだけにとどまらず、継母のアナベルはこともあろうに国王陛下の愛人の座を狙っているという。
継母子は、媚薬を用い、陛下と二人の王子様、ひょっとすれば、第2王子のクリストファー様にも仕掛けているのかもしれない。
お父様もこの手で誑し込まれたのだろうか?と考えるよりも、今度は第2王子様からの呼出し命令がある。
婚約してから初めての呼出しだが、着ていくものがない。すべて、継子にとられてしまったから、侍女のとっておきのドレスを手直しして、着ていくことになったのである。
「公爵令嬢ジュリアスティ・ハートフルス、貴様との婚約は、本日今この時をもって、破棄させてもらうこととする!」
高らかに宣言されてしまったのである。
「なぜでございますか?貴様の義理の姉妹が俺の兄弟たちを誑し込んでいるからだ。そのような姉妹がいる令嬢と婚約を続ければ、俺がズルしているように見え、王位継承権を失うからだ。すまない。違約金は、きちんと支払うから、婚約はなかったことにしてほしい。」
決して、本心からクリストファーが言っているのではない。でもその時は、こうするよりほかに手はなかったのだ。
「わかりましたわ。そういうことであれば、致し方ございませんわ。クリストファー殿下、どうぞご立派な王様になってくださいませ。」
そう言って、お城を後にする。
翌日、莫大友言える婚約違約金が支払われたのだが、家令に預け、この家を出て行こうと思うと、家の者に告げると、
「お嬢様が出て行かれるのはおかしいことでございます。むしろ、出て行くのはあいつらのほうです。でも、どうしても出て行かれ、お父様のところへ行きたいと仰せなら、我々使用人も全員で、お嬢様と行動を共に致しますとも。」
「ありがとう。お気持ちだけでも嬉しいし、心強いわ。」
その日は、継母子共に外出する日であった。国王陛下は、側妃の選定と王子2人の婚約者を変更するに際して、最終的な評議会が行われる。そのために二人の継子と継母もその評議会にて、証言するためである。
出かける前に家令は馬車の御者に、一言言っている。
3人が馬車で出かけた後、大急ぎで、引っ越し準備を始める。ジュリアスティが婚約破棄されてから、少しずつ用意をしてきたから、準備はあっという間に終わる。
馬車を何台か連ねて、国境を目指すのだが、お母様と少しの間でもある思いでの家をこのままにしておくのは忍びない。
燃やしてから、出て行こうかと悩む。使用人の中にアイテムボックス持ちがいたので、「家一軒ぐらいなら入りますよ。」と軽く申し出てくれたので、それに任せることにし、家も持っていくことにしたのだ。
継母と継子を王城まで、送り届けた馬車は、王城で馬車を停めず、そのまま国境を目指すのだった。
評議会では、まずアナベル、リリアーヌ、ルルアンヌの身分を調べることになったのだが、アナベルは平民の出で、二人の娘も平民の親から生まれたものだということが判明する。平民出身者はお妃候補にはなれない。そして、ハートフルス公爵家とも、何の関係もないことが判明するのであった。
後妻のような顔をして、ハートフルス家に入り込んだが、手続きが一切されていなく単なる居候だとわかったのである。
これはもう犯罪者レベルで、その家の跡取りお嬢様を蔑ろにしていた咎で、3人とも牢屋に入れられる。
王城から、そのことの連絡をハートフルス家にしても、もぬけの殻どころか、家ごと出奔した後だったから、さらに3人の罪状は重くなる。
いくら、媚薬を使い身体で王子様を誑し込んだところで、王子様は一切助けない。国王陛下もしかりである。それほど、アナベルが良かったわけではないが、ただどんな要求でも呑む毒婦のようなところが魅力的だったのである。暇つぶしの遊び相手と言ったところ。
ハートフルス公爵の赴任先へ連絡するにも、行って帰ってくるだけで半年はかかるという遠い国へ行ったから、今さら戻って来いとも言えず、評議会は解散するのである。
第1王子のアレクサンドル様と第3王子のフランシス様は、二人の毒娘にひっかかったことで、王位継承権を失ってしまう。
第2王子のクリストファー様は、それならばあの時、無理に婚約破棄などせずに婚約を継続していれば良かったと後悔するが、これも後の祭りとなってしまったことである。
「あなたがジュリアスティちゃんね、初めまして。私があなたの新しいお母様ですよ。こちらは姉のリリアーヌと妹のルルアンヌですわ。二人とも、ご挨拶なさい。」
執事も家令も誰一人、父が再婚することなど聞いていない。そして、ジュリアスティ自身も初耳のことで……。
でも名前と年齢と家族構成を知っているということは?
お父様ったら、わたくしの婚約だけはお急ぎになられて、ご自分のことを言うのをお忘れになられてしまわれたのかしら。
「お待ちください、新しい奥様、旦那様からわたくしどもは何も伺っておりませんもので、旦那様から確認が取れるまでは、屋敷に入ることはご遠慮くださいませ。」
「なんですってー!私が嘘を吐いているとでも?アナタは言いたいわけですわね?」
「いえいえ、そういうわけではございませんが、旦那様のお許しがなければ、何人たりとも、この家に入れるわけにはまいりません。」
「だったら、すぐにブルーフォード国に連絡を取りなさいよっ!」
旦那様の、お父様の赴任先の国名をズバリ言い当てられ、執事も家令もジュリアスティも本物?と思ってしまったのだ。
これがすべての間違いの始まり。
「荷物を運ぶのを、手伝ってちょうだい!」
公爵家の使用人総出で、新しい奥様アナベル様の引っ越しのお手伝いをすることになったのである。
すべての部屋を見て回り、アナベルは、さっさと亡き母の部屋を自分の部屋にし、娘たち二人の部屋をジュリアスティが使っていた部屋を横取りする。
「その部屋は先妻の奥様が使われてたお部屋で、旦那様から、そのまま保存するように、と申しつかっておりまして……、そちらのお部屋は、ジュリアスティお嬢様のお部屋で。」
「うるさいわねっ!この部屋が気に入ったのよ。この娘たちもこの部屋が気に入ったんだから、ベッドをもう一つ入れて頂戴な。狭くても辛抱しなさい。」
「ジュリアスティちゃん、イイでしょう。この娘たちに使わせても?」
「……。」
「ほら、本人がイイって言ってんだから、さっさとベッドを運びなさいよ。ああ、そうだ。このベッドはジュリアスティちゃんがお使いになるから、新品のベッドを2台注文してくださる?そして、そうね。ジュリアスティちゃんの新しいお部屋を決めてあげるわ。上のお部屋なんて、よろしくなくて?」
ジュリアスティは屋根裏部屋に追いやられ、使用人も口出しができない。
そして、食事もジュリアスティは食堂を使うことを禁止され、屋根裏部屋で食事する羽目になったのです。
大事な跡取りお嬢様が、そんな目に遭っていても、誰もお守りすることができない。何か反論すると、すぐ「クビよ。」と言われるから。
ジュリアスティの持ち物だったドレスも宝石も、亡き母の形見のドレスも宝石も、全部アナベル母子にとられてしまう。
そんなある日、ボンド公爵家とモンシャトレ公爵家からハートフルス家に厳重抗議が来る。
内容は、聞いてビックリ!
第1王子様と第3王子様にリリアーヌとルルアンヌがちょっかいを出しているらしい。
王子様の前で全裸になり、王子様の股間を触りながら、年頃の王子様は、それだけでイチコロになってしまわれる。
「ねぇ、アレクサンドル様ぁ、ボンド公爵令嬢なんて、ほっといて私といいことしない?」
「フランシス様ぁ、私と気持ちいいことしましょう。」
貴族間の政略での決まり事を無視する所業に怒り心頭で、ハートフルス家に抗議が来たのだ。
調べてみたら、継母子の悪行はそれだけにとどまらず、継母のアナベルはこともあろうに国王陛下の愛人の座を狙っているという。
継母子は、媚薬を用い、陛下と二人の王子様、ひょっとすれば、第2王子のクリストファー様にも仕掛けているのかもしれない。
お父様もこの手で誑し込まれたのだろうか?と考えるよりも、今度は第2王子様からの呼出し命令がある。
婚約してから初めての呼出しだが、着ていくものがない。すべて、継子にとられてしまったから、侍女のとっておきのドレスを手直しして、着ていくことになったのである。
「公爵令嬢ジュリアスティ・ハートフルス、貴様との婚約は、本日今この時をもって、破棄させてもらうこととする!」
高らかに宣言されてしまったのである。
「なぜでございますか?貴様の義理の姉妹が俺の兄弟たちを誑し込んでいるからだ。そのような姉妹がいる令嬢と婚約を続ければ、俺がズルしているように見え、王位継承権を失うからだ。すまない。違約金は、きちんと支払うから、婚約はなかったことにしてほしい。」
決して、本心からクリストファーが言っているのではない。でもその時は、こうするよりほかに手はなかったのだ。
「わかりましたわ。そういうことであれば、致し方ございませんわ。クリストファー殿下、どうぞご立派な王様になってくださいませ。」
そう言って、お城を後にする。
翌日、莫大友言える婚約違約金が支払われたのだが、家令に預け、この家を出て行こうと思うと、家の者に告げると、
「お嬢様が出て行かれるのはおかしいことでございます。むしろ、出て行くのはあいつらのほうです。でも、どうしても出て行かれ、お父様のところへ行きたいと仰せなら、我々使用人も全員で、お嬢様と行動を共に致しますとも。」
「ありがとう。お気持ちだけでも嬉しいし、心強いわ。」
その日は、継母子共に外出する日であった。国王陛下は、側妃の選定と王子2人の婚約者を変更するに際して、最終的な評議会が行われる。そのために二人の継子と継母もその評議会にて、証言するためである。
出かける前に家令は馬車の御者に、一言言っている。
3人が馬車で出かけた後、大急ぎで、引っ越し準備を始める。ジュリアスティが婚約破棄されてから、少しずつ用意をしてきたから、準備はあっという間に終わる。
馬車を何台か連ねて、国境を目指すのだが、お母様と少しの間でもある思いでの家をこのままにしておくのは忍びない。
燃やしてから、出て行こうかと悩む。使用人の中にアイテムボックス持ちがいたので、「家一軒ぐらいなら入りますよ。」と軽く申し出てくれたので、それに任せることにし、家も持っていくことにしたのだ。
継母と継子を王城まで、送り届けた馬車は、王城で馬車を停めず、そのまま国境を目指すのだった。
評議会では、まずアナベル、リリアーヌ、ルルアンヌの身分を調べることになったのだが、アナベルは平民の出で、二人の娘も平民の親から生まれたものだということが判明する。平民出身者はお妃候補にはなれない。そして、ハートフルス公爵家とも、何の関係もないことが判明するのであった。
後妻のような顔をして、ハートフルス家に入り込んだが、手続きが一切されていなく単なる居候だとわかったのである。
これはもう犯罪者レベルで、その家の跡取りお嬢様を蔑ろにしていた咎で、3人とも牢屋に入れられる。
王城から、そのことの連絡をハートフルス家にしても、もぬけの殻どころか、家ごと出奔した後だったから、さらに3人の罪状は重くなる。
いくら、媚薬を使い身体で王子様を誑し込んだところで、王子様は一切助けない。国王陛下もしかりである。それほど、アナベルが良かったわけではないが、ただどんな要求でも呑む毒婦のようなところが魅力的だったのである。暇つぶしの遊び相手と言ったところ。
ハートフルス公爵の赴任先へ連絡するにも、行って帰ってくるだけで半年はかかるという遠い国へ行ったから、今さら戻って来いとも言えず、評議会は解散するのである。
第1王子のアレクサンドル様と第3王子のフランシス様は、二人の毒娘にひっかかったことで、王位継承権を失ってしまう。
第2王子のクリストファー様は、それならばあの時、無理に婚約破棄などせずに婚約を継続していれば良かったと後悔するが、これも後の祭りとなってしまったことである。
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