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3 アナベル視点
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私の名前はアナベル。元は花売り娘をやっていたんだけどさ。亭主と知り合ってからは、飲み屋で働くようになったってわけさ。まぁ、娘と言われるような年齢でもなかったから、ちょうど良かったんだけどね。
亭主は冒険者くずれで、何日も場合によれば、何か月も帰ってこない。お金もロクに家に入れてくれなくて、それで飲み屋で働くことになったんだ。
飲み屋の客にちょいとカラダを触らせれば、なんでも情報が入る。
でもこの前はそれで大損したのだ。
それは塩を買い占めること。塩不足になるから、今、買い占めると値上がりしたら、高値で買い取ってもらえるって話を聞きこんだのさ。
そしたら、塩の専売特許は王家にしかないのに、バカみたいに借金してまで買い込んだ挙句、誰も買い取ってくれない。塩は民間人では売れないのである。塩を売る権利を持っているのは、王家だけだとさ。
それで借金返済のために、今度掴んだ情報は、ハートフルス公爵様が、遠方のブルーフォード国に長期赴任されることになったと聞いた。何でも公爵様に奥様はいらっしゃらなく、15歳になるお嬢様一人が公爵家を守られている。つい先ごろ、そのお嬢様に婚約者ができたらしいが、お相手は第2王子様、王位継承権をめぐって3人の王子様が公爵令嬢と次々婚約された。という話を聞きこんできたのである。
そのお嬢様の名前が、ジュリアスティ様だという。
これは、なんだ。うまくいけばその家を乗っ取ることができるかもしれないね。15歳の世間知らずの娘が一人で暮らしている家なんて、美味しい話だろうか。
ウチの娘は二人とも、もう男を知っているというのに。
身元をとやかく詮索されたら、男爵家の未亡人ということにでもしておこう。
公爵が出かけたら、半年は戻らないから、その間に、公爵家の財産を根こそぎいただいてやろうと思ったのさ。
世の中騙される方が悪いのさ。幸せの中にドップリ浸かって、後で吠え面かけってんだ。
それに知らなかったとはいえ、多少王家に対して恨みもあるからさ。だってそうだろう。塩を勝手に売りさばいたらダメだ、なんていつ決めたのさ。
だって借金があるんだよ。借金返さないと、娘たち二人とも売り飛ばすって、言われてさ。
娘売り飛ばされたら、いくらろくでなしの亭主でも怒るだろうし。仕方ないんだ。
公爵が出かけた後、頃合いを見計らって、ハートフルス家に乗り込んでやったのさ。
執事?家令?と言われる初老の男性が出てきて、追い返されそうになったものだから、嘘八百、はったりをかましてやったら、あっさり信じてやんの。
あとは強引に押し切ったわよ。ここまで来たら、もう後戻りはできないからさ。
お嬢様のジュリアスティちゃんの姿と言ったら、天女様かと見まがえるほど清らかな娘だったわよ。
まずは、この娘を汚してやろうと思ったぐらいね。でも、ウチのバカ娘と来たら、自分と同い年の王子様にばかり気を取られて、お嬢様の相手の王子様には目もくれない。
媚薬?ああ、客からもらったのよ。どんな男でも媚薬さえ使えば、イチコロよ。それを娘たちが勝手に王子様に使うものだから、私の分がなくなってしまうじゃない!
仕方なく?王子様の親父さんを私が狙ったってわけよ。聞けば、王妃様不在だとか?それじゃあ、ハートフルス公爵が帰ってくる前に王妃様になってやろうじゃないかと欲を出してしまったのよ。
別に最初から、王家を狙ったわけではないのよ。たまたまよ。あくまでもたまたま、そうなっただけ。塩の恨みはあったけどさ。
ハートフルスの名前を使えば、王城には出入り自由だから、ついでにハートフルスの名前で借金してやろうと思ったけど、財布のひもは家令がしっかり握っていて、ビタ一文よこさない。
本当にっ、あの家令はケチだったわ。
「何にいくら使ったかをメモして、旦那様が帰ってこられて承認されたら、その分はさかのぼってお支払いします。」
そんなめんどくさいこと言わずに出してくれたらいいものを、仕方なく亡き先代の奥様の宝石やドレス、それにジュリアスティちゃんが持っていたドレスや宝石を娘が取り上げたような形にして、みんな売り払ってお金に換えたわ。
だって、お金くれないんだもん。
そしたら、ジュリアスティちゃんが第2王子様と婚約破棄されて、ざまぁみろとも言ってられなくなったのよ。娘たちがちょっかいを出した王子様の婚約者から厳重抗議が来て、話が大きくなってしまったわ。
それでお城で評議会なるものが開かれて、一見よさそうな話だけど、これってほとんどつるし上げ状態の会議で弁明と釈明をしている間にどんどんボロが出て、わたくしたち3人とも牢屋へ直行よ。
あとから聞いた話では、私たちが評議会に呼ばれている間にジュリアスティちゃんも使用人一同もあの屋敷ごと、出奔したらしい。それで私たちが追い出したみたいに疑われて、さらに重い罪が科せられそうになったってこと。ついてないわ。
こんなことなら、変な夢見るんじゃなかったわよ。
他人を騙そうとして、墓穴に落ちたってこと。
亭主は冒険者くずれで、何日も場合によれば、何か月も帰ってこない。お金もロクに家に入れてくれなくて、それで飲み屋で働くことになったんだ。
飲み屋の客にちょいとカラダを触らせれば、なんでも情報が入る。
でもこの前はそれで大損したのだ。
それは塩を買い占めること。塩不足になるから、今、買い占めると値上がりしたら、高値で買い取ってもらえるって話を聞きこんだのさ。
そしたら、塩の専売特許は王家にしかないのに、バカみたいに借金してまで買い込んだ挙句、誰も買い取ってくれない。塩は民間人では売れないのである。塩を売る権利を持っているのは、王家だけだとさ。
それで借金返済のために、今度掴んだ情報は、ハートフルス公爵様が、遠方のブルーフォード国に長期赴任されることになったと聞いた。何でも公爵様に奥様はいらっしゃらなく、15歳になるお嬢様一人が公爵家を守られている。つい先ごろ、そのお嬢様に婚約者ができたらしいが、お相手は第2王子様、王位継承権をめぐって3人の王子様が公爵令嬢と次々婚約された。という話を聞きこんできたのである。
そのお嬢様の名前が、ジュリアスティ様だという。
これは、なんだ。うまくいけばその家を乗っ取ることができるかもしれないね。15歳の世間知らずの娘が一人で暮らしている家なんて、美味しい話だろうか。
ウチの娘は二人とも、もう男を知っているというのに。
身元をとやかく詮索されたら、男爵家の未亡人ということにでもしておこう。
公爵が出かけたら、半年は戻らないから、その間に、公爵家の財産を根こそぎいただいてやろうと思ったのさ。
世の中騙される方が悪いのさ。幸せの中にドップリ浸かって、後で吠え面かけってんだ。
それに知らなかったとはいえ、多少王家に対して恨みもあるからさ。だってそうだろう。塩を勝手に売りさばいたらダメだ、なんていつ決めたのさ。
だって借金があるんだよ。借金返さないと、娘たち二人とも売り飛ばすって、言われてさ。
娘売り飛ばされたら、いくらろくでなしの亭主でも怒るだろうし。仕方ないんだ。
公爵が出かけた後、頃合いを見計らって、ハートフルス家に乗り込んでやったのさ。
執事?家令?と言われる初老の男性が出てきて、追い返されそうになったものだから、嘘八百、はったりをかましてやったら、あっさり信じてやんの。
あとは強引に押し切ったわよ。ここまで来たら、もう後戻りはできないからさ。
お嬢様のジュリアスティちゃんの姿と言ったら、天女様かと見まがえるほど清らかな娘だったわよ。
まずは、この娘を汚してやろうと思ったぐらいね。でも、ウチのバカ娘と来たら、自分と同い年の王子様にばかり気を取られて、お嬢様の相手の王子様には目もくれない。
媚薬?ああ、客からもらったのよ。どんな男でも媚薬さえ使えば、イチコロよ。それを娘たちが勝手に王子様に使うものだから、私の分がなくなってしまうじゃない!
仕方なく?王子様の親父さんを私が狙ったってわけよ。聞けば、王妃様不在だとか?それじゃあ、ハートフルス公爵が帰ってくる前に王妃様になってやろうじゃないかと欲を出してしまったのよ。
別に最初から、王家を狙ったわけではないのよ。たまたまよ。あくまでもたまたま、そうなっただけ。塩の恨みはあったけどさ。
ハートフルスの名前を使えば、王城には出入り自由だから、ついでにハートフルスの名前で借金してやろうと思ったけど、財布のひもは家令がしっかり握っていて、ビタ一文よこさない。
本当にっ、あの家令はケチだったわ。
「何にいくら使ったかをメモして、旦那様が帰ってこられて承認されたら、その分はさかのぼってお支払いします。」
そんなめんどくさいこと言わずに出してくれたらいいものを、仕方なく亡き先代の奥様の宝石やドレス、それにジュリアスティちゃんが持っていたドレスや宝石を娘が取り上げたような形にして、みんな売り払ってお金に換えたわ。
だって、お金くれないんだもん。
そしたら、ジュリアスティちゃんが第2王子様と婚約破棄されて、ざまぁみろとも言ってられなくなったのよ。娘たちがちょっかいを出した王子様の婚約者から厳重抗議が来て、話が大きくなってしまったわ。
それでお城で評議会なるものが開かれて、一見よさそうな話だけど、これってほとんどつるし上げ状態の会議で弁明と釈明をしている間にどんどんボロが出て、わたくしたち3人とも牢屋へ直行よ。
あとから聞いた話では、私たちが評議会に呼ばれている間にジュリアスティちゃんも使用人一同もあの屋敷ごと、出奔したらしい。それで私たちが追い出したみたいに疑われて、さらに重い罪が科せられそうになったってこと。ついてないわ。
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