王配狙いで悪役令嬢にされ婚約破棄~社会勉強のため伯爵家へ養女に行った王女殿下が立派な女王陛下となるまで

青の雀

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 ジャクリーンは、大学を休学して、子供を産みまくる。レオンハルト様は、大学に行きながら、ひたすら一日中、腰を動かされているようなもの。

 妊娠したら、その後、いくらしても結果が同じだということを知ってる?ま、好きでやられているのでしょうから、ほっとくけどね。

 畑が若いから、丈夫な子供が産める。初乳だけ済ませた後は、乳母にさっさと預け、身体が回復すると、子づくりして産んでを繰り返す。

 ジャクリーンの両親もまだ若いから、進んで子守をしてくれるから、大助かりです。

 それにバーナードの舅姑も、最近では元気を回復されて、子守を申し出てくださる。でも、任せられない。ウチの子は猫の子ではありませんから、頂戴と言われたら、困るもの。

 レオンハルト様は一人ぐらいバーナードを継がせたいと思っていらっしゃるみたいだけど、そんなことさせてたまるものですか!

 絶対、イヤです。とはいっても成長すれば、向こうを継ぎたいと言い出す子がいるかもしれない、その時はその時よ。

 とにかく今はダメ、みんな可愛い我が子なんだからね。

 結局、レオンハルト様が修士課程を修了されるまで、子供を産みまくって、その後大学に復帰するので、2年生からやり直しです。あのケバイ令嬢、え……と、なんて名前だったかしらエリーゼ・フランドル公爵令嬢も無事、大学を卒業された後で、教職課程を取られたと伺いました。あんなのが先生になれば、生徒は困るね。

 レオンハルト様は、王配としての修業が始まります。本来、ジャクリーンがしなければならないお仕事を先行してしてくださることになりました。

 5年後、ジャクリーンが卒業したら、今度はジャクリーンが王女の仕事見習いで入り、レオンハルト様はバーナード国の王太子としてのお仕事に就かれる予定です。

 ジャクリーンは学業に専念したいのに、子供が熱を出したら、いちいちジャクリーンのところへ連絡が入り、正直、困惑する。父親であるレオンハルト様がいるのに、なぜかいつもキャンパスライフをしているジャクリーンのところに言われるのである。何か判断が必要なわけでもないのに。

 ほっとくと、王女殿下は水臭い、薄情と言われるし、せめて試験中は勘弁してもらいたいわ。

 やっぱり大学を出てから、結婚したほうが良かったのかもしれない。結婚して、子供でも産めば、なんだかんだと一生苦労が付いて回る。

 これが娘時代なら、超身軽だから、自分の都合だけで生きていける。生涯独身の人が増える原因なのだけど、社会保障費がバカにならない。ひところDINKSなるものが流行った時代もあったけれど、今はどうなのでしょうね。

 Double incomeでもmany kidsの人のほうが多いような気がします。そういう方たちは、子育てを上手にアウトソーシングされていますね。

 でもジャクリーンの世界はアウトソーシングがないのです。昭和の頃と同じ、育児休業も看護休暇もない。産後休暇も8週間もない、そんな世界でのことです。

 瞬く間に5年の歳月が流れ、見事経営学修士を取得したジャクリーン、本格的なDouble incomeの始まりです。

 ベルソ村に建てていた別宮も元の場所に戻します。村長にお礼を言い、全員で、王都に引っ越しです。

 王女の仕事は、簡単に言えば、国王の経営補佐である。王国の運営のため、国王のスケジュール管理から始まり、財務状況の管理と入札適正価格の設定、徴税事務と給与計算を承認決済、その後の連絡とファイリング、予算配分の組み立て、実際額との割合分析、苦情処理のお小言を聞いて、たまには地方に視察、公式行事は挨拶を考え、外国からの使節団が来られた時は、おもてなしをする。

 一日に何度かは、国王への謁見申し込みがあるので、その時間的な調整も行わなければならないのである。

 幼い頃より、横で見ていたから、いきなりよりマシというだけで、大変な激務である。

 初日は、シャワーも浴びずにベッドに倒れ込んだ。子供におやすみの挨拶もせずに寝たことから、また批難されることになったのである。

 こんなことだったら、結婚しなければよかった。独身時代なら、どれほど気楽だったことか。

 レオンハルト様も王太子のお仕事が大変らしく、でもジャクリーンが大学へ通っている間は、王配としてのお仕事をしていらしたから、ゼロではないと思うのだけど、やはり国によって、多少やり方が異なるらしく、ヘトヘト状態であることは変わらない。

 いっそのこと、別居婚にしようかしら。お仕事と子供のこと、その上レオンハルト様の面倒まで見切れきれない。レオンハルト様は、ご自分のご両親の健康状態が芳しくなく、元気を取り戻したからといえども、万全ではないという意味だと思うが、けっこうバーナードに行きっぱなしになっておられるご様子で。

 ん?ひょっとして、浮気しているのではないでしょうね?

 やっぱり別居婚は心配だから、異空間通路を通って、帰ってきてもらうことにするか、抜き打ちで時々見に行くこともいいかもしれない。

 ジャクリーンは異空間を通り、抜き打ちで見に行くことにしたら、何やらレオンハルト様とどこかのご婦人?が親密そうに顔をくっつけて、喋っているところを見てしまう。

 「あら、ごきげんよう。」

 努めて、平静を装いながら、二人に近づくジャクリーン、ギョッとして振り返るレオンハルト様、ご婦人は首をかしげてらっしゃる。

 「「レオさま、ご紹介していただけませんこと?」」

 そのご婦人?ご令嬢?もレオンハルト様のことを「レオ様」呼びしていらっしゃる。

 「いやいやいや、ジャッキー君は何か誤解をしているようだ。ここではなんだから、家へ帰ってゆっくり話そう。」

 「は?誤解も六階もございませんことよ!」

 「いやいやいや、君が考えているような間柄ではないのだ。こちらは私の幼馴染でグレイス公爵令嬢であらせられるのだ。」

 「あら、ご令嬢でしたの?わたくしてっきりご婦人かと思いましたわ。」

 だって、そのご婦人、もといご令嬢は三十路近い年齢の方でしたのよ。

 そのオバ……ご令嬢は顔を真っ赤にして怒っていらっしゃるご様子、だって他人の亭主にちょっかいかけるからよ!

 「わたくし、レオンハルトの家内でございます。主人がいつもお世話になっております。宅の主人に何かご用事がおありだったのでございましょうか?わたくしのことは、お気になさらず、どうぞお話しお続けくださいませ。」

 「し、失礼ではないか!ジャッキー帰るぞ。」

 「あら、お逃げになるおつもりでございますか?」

 「だ、だ、だから、君は誤解しているのだ。グレイスとは何でもない!」

 「グレイス嬢ではなく、グレイスと呼び捨てになさるようなご関係なのですね?」

 「いや、いやだからその……、ただの幼馴染だから。」

 「わたくしとレオ様は、クーデター前までは、婚約者の間柄でしたの。」

 「それで?元御婚約者様が、宅の主人にどのようなご用事が?」

 「やめないか!みっともない!」

 「うるさいわね!アナタは黙ってなさい!」

 「はい。」

 急におとなしくなるレオンハルト様

 「あのクーデターで、わたくしとレオンハルト様が婚約者であったことから、ずいぶんと迫害を受けまして、レオンハルト様は雲隠れされてしまい、父は拷問の上、亡くなりました。家督の相続のため、レオンハルト様にお願いして、なんとか家を復興できないか、相談しておりましたのよ。奥様に黙っていて、申し訳ございませんでしたね。」

 「いいえ、そんなことなら、お安い御用ですわ。お父様お気の毒でしたわね。」

 「本当でございますか?奥様、ありがとう存じます。」

 「いや、でも家督のことは国王陛下専権事項で……。」

 「わたくしは、両陛下の命の恩人でございますれば、わたくしがお願いしたら嫌とは申されませんでしょう?」

 「はぁ、確かに。」

 「では、あの聖女様というのは……?」

 「妻のジャクリーンのことだ。」

 「まぁ!聖女様、ありがとう存じます。なんとお礼を申し上げたらよいのか。」

 それからジャクリーンはグレイス嬢と話し込み、レオンハルトの存在をすっかり忘れている。

 「よろしければ、我が家でお食事でも?」

 「ええ!よろしいのですか?」

 「お客様が来られると子供たちが歓びますから。」

 そして二人は仲良く、異空間通路を通っていくのである。その後ろを黙ってついていくレオンハルトは、もう形無しだったのである。

 翌朝、ジャクリーンは、舅のところへグレイスを伴っていき、その場でOKが出たのは、言うまでもないこと。

 そして再会を約束して、グレイス嬢と笑顔で別れた後、レオンハルト様に

 「ずいぶん、おきれいな婚約者様がいらっしゃったのですね。」

 「うむ。……いや、ジャクリーンのほうがずっときれいだよ。愛している。」

 愛していると言えば、なんでも許されると思うな!

 「はいはい。浮気しようたってさせませんからね!」

 「だから、そんなんじゃないってば。もうっ!」

 今回は、浮気ではなかったみたいだけど、これからもちょくちょく抜き打ちで見に行こうと心に誓う。

 別に信用していないってわけじゃないけど、男は隙あらば、浮気願望が誰にでもあるみたいだからね。

 女は、一度孕むと、もう他の男となんて、ちょっと考えにくいものだけど、男は違うみたいよ。

 種をばらまくという観点からして、植物とかわらないのかもしれないね。

 浮気封じの結界なんてあるのかしらね。もしあれば、レオンハルト様に知らんぷりしながら、こっそり張ってやりたいわ。

 昔、よく勉強した図書館へ行き、籠る。あるにはあったみたいだけど……、男性の機能として弱くなるみたい。うーん、それも困りもの?今、しばらくはたまには欲しくなる時があるから。

 そうこう言っているうちに3年の月日が流れる。

 バーナードの国王陛下の容態が悪いらしい。やっぱり、自分のバカ息子に3年間も暗がりで閉じ込められていたことが影響しているようだ。

 それに先年、王妃様が亡くなられて、ガックリきていらっしゃるのだろう。仲のいいご夫婦は、奥様が先に亡くなられると、必ずご主人がその後を追われる形になりますね。あれ、不思議です。ご主人が先に亡くなられても、奥様は何十年もピンピンしていらっしゃるケースは多々見受けられますが……。

 そういえば、タコ取り名人の話というものを聞いたことがあります。

 名人の話によれば、タコを捕まえるとき、夫婦でいるタコの雌から仕留めるらしいです。間違って、雄を先に仕留めると雌は、ぴゅーっと逃げてしまうかららしい。雄のほうが、いつまでも未練たらしく雌に引っ付いているものらしい。

 男は女がいないと生きていけない動物なのかしらね。
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