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オフィスラブ
4.婚姻届
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リベンジポルノが嫌だから来たわけではない。美織の顔のタイプが社長の顔と合致したから、あの顔に抱かれるだけなら、仕方がないと受け入れられる。これがチビデブハゲのおっさんだったら、とても無理。
約束の時間にホテルに着くが、なんという名前で部屋をとっているかがわからない。困って、ロビーの椅子に腰かけた途端にスマホが鳴る。
まさか?一介の女子社員の携帯電話番号を社長が知っているとも思わない。でも、一応、出てみると、目の前に社長がいた。
「あ!」
「美織が気づかないから、電話したんだよ。」
「はい。お待たせして、すみません。」
「行こうか。」
手を引かれ、部屋まで連れていかれる。
「そんなに緊張すんなよ。」
社長は部屋の応接セットに座り、テーブルの上に何やら書面を出していく。
よく見ると、契約書と婚姻届があった。
やっぱりこれは、契約結婚だったのか。少し、ホッとしている美織。そうよね、一介の女子社員が、いくら原価計算ができたところで、御曹司と結婚なんて無理もいいところ。家柄が違いすぎる。
契約なら、ビジネスと同じだから相手が好きでもない男性でも受け入れやすいかもしれない。
きっと、社長もそうなのだろう。社長ぐらいのイケメンであれば、他にいくらでも縁談があるはず。恋人もきっと今まで大勢いたと思うから、でも何らかの理由があって、今は結婚できないのだと思う。
だからそれまでのリリーフとして、たまたまこの前、ワンナイトラブをした相手だからということで、選ばれただけに違いがない。
美織は大人の対応として、結婚することを承諾したが、
「社長、一つだけ、お願いがあるのですが?よろしいでしょうか?」
「ん?なんだ。言ってみろ。」
「ウチの両親に挨拶に行ってもらえないでしょうか?」
「ああ、そんなことなら、すぐにでも行くよ。君は確か……?」
「京都です。」
「わかった。ご両親の都合がつく日時を教えてくれ。」
それから契約書類にサインし、婚姻届にも捺印する。
「これから一緒に出しに行くか?」
「え?もう?」
「こういうことは既成事実を作ってしまえば、誰も反対できないだろ?」
悪戯っぽく笑う社長に唖然とするものの、結局区役所へ婚姻届を出しに行き、その足で、晩御飯を食べに行く。
「なあ、新居は俺ん家で良いか?いつ、引っ越してこれる?」
「別に書類1枚のことですし、通い婚でもいいのではありませんか?」
「そんなわけには、行かないよ。結婚したってことになれば、親父やおふくろも押しかけてくることがあるかもしれないからな。カタチだけでも、一緒に住まないことには格好がつかない。」
「だったら、私の部屋でもいいのではありませんか?私は、木たる将来、家なき子になってしまうのですから、今住んでいる家を離れたいとは思いません。」
「ああ、そうか。離婚後の家の心配をしているのだな?それには、心配及ばない。離婚したら、俺が家を出ていく。そのことは契約書にもちゃんと書いている。お前に一生困らないだけの財産も渡してやる。これでいいだろ?」
「なぜ、そこまでなさるのですか?たかがワンナイトラブの相手に。社長こそ、私をヤリ捨てればいいだけの話ですよ。」
そんなこと、美織が好きだからに決まっているだろ?あの相性がいいだけで、結婚したいと思わないさ。とは、口が裂けても言えない。
「お前、結婚願望ないだろ?そういうところが俺にとって、都合がいい女なのだ。」
「だから、セフレでいいって、言っているではありませんか?」
「おいおい。声がデカイぞ。」
「すみません……。」
「ただ、俺も世界的化粧品メーカーの御曹司だから、言い寄ってくる女は五万といる。誇張でなくてだ。そういう女は後腐れがありすぎるし、苦手なんだ。俺をATM代わりだとしか思っていない。その点、お前は計数管理がしっかりしている。」
「ハァ……。都合がいい女ですか。」
約束の時間にホテルに着くが、なんという名前で部屋をとっているかがわからない。困って、ロビーの椅子に腰かけた途端にスマホが鳴る。
まさか?一介の女子社員の携帯電話番号を社長が知っているとも思わない。でも、一応、出てみると、目の前に社長がいた。
「あ!」
「美織が気づかないから、電話したんだよ。」
「はい。お待たせして、すみません。」
「行こうか。」
手を引かれ、部屋まで連れていかれる。
「そんなに緊張すんなよ。」
社長は部屋の応接セットに座り、テーブルの上に何やら書面を出していく。
よく見ると、契約書と婚姻届があった。
やっぱりこれは、契約結婚だったのか。少し、ホッとしている美織。そうよね、一介の女子社員が、いくら原価計算ができたところで、御曹司と結婚なんて無理もいいところ。家柄が違いすぎる。
契約なら、ビジネスと同じだから相手が好きでもない男性でも受け入れやすいかもしれない。
きっと、社長もそうなのだろう。社長ぐらいのイケメンであれば、他にいくらでも縁談があるはず。恋人もきっと今まで大勢いたと思うから、でも何らかの理由があって、今は結婚できないのだと思う。
だからそれまでのリリーフとして、たまたまこの前、ワンナイトラブをした相手だからということで、選ばれただけに違いがない。
美織は大人の対応として、結婚することを承諾したが、
「社長、一つだけ、お願いがあるのですが?よろしいでしょうか?」
「ん?なんだ。言ってみろ。」
「ウチの両親に挨拶に行ってもらえないでしょうか?」
「ああ、そんなことなら、すぐにでも行くよ。君は確か……?」
「京都です。」
「わかった。ご両親の都合がつく日時を教えてくれ。」
それから契約書類にサインし、婚姻届にも捺印する。
「これから一緒に出しに行くか?」
「え?もう?」
「こういうことは既成事実を作ってしまえば、誰も反対できないだろ?」
悪戯っぽく笑う社長に唖然とするものの、結局区役所へ婚姻届を出しに行き、その足で、晩御飯を食べに行く。
「なあ、新居は俺ん家で良いか?いつ、引っ越してこれる?」
「別に書類1枚のことですし、通い婚でもいいのではありませんか?」
「そんなわけには、行かないよ。結婚したってことになれば、親父やおふくろも押しかけてくることがあるかもしれないからな。カタチだけでも、一緒に住まないことには格好がつかない。」
「だったら、私の部屋でもいいのではありませんか?私は、木たる将来、家なき子になってしまうのですから、今住んでいる家を離れたいとは思いません。」
「ああ、そうか。離婚後の家の心配をしているのだな?それには、心配及ばない。離婚したら、俺が家を出ていく。そのことは契約書にもちゃんと書いている。お前に一生困らないだけの財産も渡してやる。これでいいだろ?」
「なぜ、そこまでなさるのですか?たかがワンナイトラブの相手に。社長こそ、私をヤリ捨てればいいだけの話ですよ。」
そんなこと、美織が好きだからに決まっているだろ?あの相性がいいだけで、結婚したいと思わないさ。とは、口が裂けても言えない。
「お前、結婚願望ないだろ?そういうところが俺にとって、都合がいい女なのだ。」
「だから、セフレでいいって、言っているではありませんか?」
「おいおい。声がデカイぞ。」
「すみません……。」
「ただ、俺も世界的化粧品メーカーの御曹司だから、言い寄ってくる女は五万といる。誇張でなくてだ。そういう女は後腐れがありすぎるし、苦手なんだ。俺をATM代わりだとしか思っていない。その点、お前は計数管理がしっかりしている。」
「ハァ……。都合がいい女ですか。」
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