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9 結界
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シュゼット国とカモミール国は、戦争に発展している。
シュゼット国の言い分は、カモミール国のヴィンセント王太子を廃嫡し、国外追放にしたのは、聖女様の婿殿を王太子に据える気でいるからだろうと、聖女様を返せ!そもそもは、聖女様は我が国の王太子とお見合いの席からいなくなったのは、カモミール国の男が連れ去ったたと言い張る。
カモミール国は、聖女様はカモミール国へ入国した形跡すらない、妙な言いがかりをつけられては困る。
ヴィンセントを廃嫡したのは、聖女様の妹君を殺してしまったからで、聖女様とは、何の関係もないことである。と主張したのである。
シュゼット国の言い分には、嘘が混じっているが、カモミールのほうは、本当のことばかりである。
だいたい聖女様を返せとは、いったいどういう了見で言っているのか意味が分からない。
聖女様はカモミール国の公爵令嬢なのだから、2番目に聖女様の権利を主張できるはず。1番目は、もちろん聖女様ご自身の選択である。その聖女様が、シュゼット国から出られたのは、聖女様ご自身のご意思ほかならない。
それをカモミール国が隠した、盗ったなどと言いがかりも甚だしい。
シュゼット国は国民の不満をカモミール国への不満とすり替えているのである。反カモミール国を打ち出すことにより、内政から目を遠ざける作戦である。
ついに、開戦。それぞれの国境付近にまで軍を進め、にらみ合いの状態である。
カモミール国は、ダディッキー公爵と親しかった貴族に、聖女様と連絡が取れないか聞いてみるが、皆、首を横に振るばかりである。
その中の一人の貴族が、聖女様とは、連絡が取れないが、以前自分の使用人だった者が、ダディッキー家の使用人と結婚して、ダディッキー家で働いている。という情報を持ってきたのだ。
それともう一つ、カモミール大聖堂の役立たず司祭様、聖女様とまではいかないにしろ、そこそこの結界は張れるだろうと、司祭様にも招聘がかかり、国境に派遣されることになったのである。
国境で睨み合いは続いているが、いずれ、どちらかが煽って、進軍してくることは間違いがないから、結界は張れるだけ張ろう。
シュゼットっ国が、ロザリーヌをめぐって、そんなことを言っているとは、驚きである。
ダディッキー家の使用人を通して、カモミール国とシュゼット国が、戦争になって国境でにらみ合いが続いていると聞かされた時、ロザリーヌはすでに6か月の身重であったのだ。
当然、ロッゲンブロート国は、聖女様が結界を張りに行くことに難色を示す。
ロザリーヌは、そこであることを思いつく。それは、初めてロッゲンブロート国に来たとき、マクシミリアン様から頂いたティアラには、確かに魔法を高める要素があったということを。
カモミールに宝石を売るのだ。その宝石に、ロザリーヌが魔法を仕込み、結界の代わりが出来上がる。
そして、国境付近に長い宝石のネックレス?のようなものを並べると何人たりとも悪意ある者、敵意ある者は、弾き飛ばされ、通れなくなってしまう。
ロッゲンブロート国は、鉱山の国であるから、貴金属は豊富にある。それこそ売るほどあるのである。
宝石だけでなく、宝石を繋ぐ金属にも、ロザリーヌは魔法をかけていく。売価はしめて金貨1億枚(日本円換算で1兆円)安いね。もっと、高くしてもいいだろうか?
支払い能力があるから、売掛金が焦げ付いたら、元も子もない。
使用人を通して、前金で金貨5000万枚を支払わせてから、結界を渡すことにしたのである。
結界は、見事に功を奏して、シュゼット国の兵は、なんびとたりともカモミール国へ入れなくなったのである。
それで諦めればよいものを、シュゼット国は、これだけの結界が張れるのは、カモミールに聖女様がいらっしゃるからだと思い込み、今度は、アダムブッシュ帝国を巻き込んで、聖女奪還を果たそうと企てる。懲りないね。
ロザリーヌとしては、あと1億5000万枚支払ってくれるのなら、いくらでも結界作れるよ。
カモミール国は、背に腹は代えられないから、即金で支払ってくれたのだ。あの男尊女卑の国のスティーヴがロザリーヌを欲しがっているとは、とても想像がつかない。
ついでに、もし今度生まれてくる子供がお世継ぎではなかったとしたら、アダムブッシュ帝国が、国境超えしてロッゲンブロートに攻め入るかもしれないから、全部の国境に豪華な宝石の結界ではなく、原石の結界を張り巡らせたのである。こうすれば、盗難の恐れがない。それに地中に埋め込んでしまえば、原石かどうかもわからない。
原石の結界をしたら、原価は10分の1ぐらいに抑えられたのである。これを知ったら、カモミールの王様、さぞかし怒るだろうな。
ロザリーヌとしては、カモミールが滅ぼうとどうなろうと知ったこっちゃない。だけど、シュゼット国の言い草に腹を立てているのである。それに公爵家の使用人の奥さんからの頼みとあれば、断りにくい。
ロッゲンブロートの結界を張り終えたことは、思わぬ効果をもたらす。小動物が結界内に逃げ込んでくるのである。オオカミに追われたウサギがひとたび、結界内に逃げ込むと、オオカミが入ろうとしても、弾き飛ばされる。
人間にだけ効果があるモノではないということが立証されたのである。
こうして、ロッゲンブロート国の新たな産業として、結界づくりの需要が高まる。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
その頃、アダムブッシュ帝国では、
「シュゼット国め、聖女様に振られたことで、ウチの国を巻き込もうとしているのではないか?」
疑念があって、当然である。
「本当に、カモミール国に聖女様がいらっしゃるかどうかも、疑問である。結界ぐらい、教会の司祭様にでも張れるだろうから、しばらくは、様子見としよう。シュゼットは我が国の軍を当てにしている節がある。他人のふんどしで相撲を取る気だ。」
なかなか懸命な判断です。
シュゼット国の言い分は、カモミール国のヴィンセント王太子を廃嫡し、国外追放にしたのは、聖女様の婿殿を王太子に据える気でいるからだろうと、聖女様を返せ!そもそもは、聖女様は我が国の王太子とお見合いの席からいなくなったのは、カモミール国の男が連れ去ったたと言い張る。
カモミール国は、聖女様はカモミール国へ入国した形跡すらない、妙な言いがかりをつけられては困る。
ヴィンセントを廃嫡したのは、聖女様の妹君を殺してしまったからで、聖女様とは、何の関係もないことである。と主張したのである。
シュゼット国の言い分には、嘘が混じっているが、カモミールのほうは、本当のことばかりである。
だいたい聖女様を返せとは、いったいどういう了見で言っているのか意味が分からない。
聖女様はカモミール国の公爵令嬢なのだから、2番目に聖女様の権利を主張できるはず。1番目は、もちろん聖女様ご自身の選択である。その聖女様が、シュゼット国から出られたのは、聖女様ご自身のご意思ほかならない。
それをカモミール国が隠した、盗ったなどと言いがかりも甚だしい。
シュゼット国は国民の不満をカモミール国への不満とすり替えているのである。反カモミール国を打ち出すことにより、内政から目を遠ざける作戦である。
ついに、開戦。それぞれの国境付近にまで軍を進め、にらみ合いの状態である。
カモミール国は、ダディッキー公爵と親しかった貴族に、聖女様と連絡が取れないか聞いてみるが、皆、首を横に振るばかりである。
その中の一人の貴族が、聖女様とは、連絡が取れないが、以前自分の使用人だった者が、ダディッキー家の使用人と結婚して、ダディッキー家で働いている。という情報を持ってきたのだ。
それともう一つ、カモミール大聖堂の役立たず司祭様、聖女様とまではいかないにしろ、そこそこの結界は張れるだろうと、司祭様にも招聘がかかり、国境に派遣されることになったのである。
国境で睨み合いは続いているが、いずれ、どちらかが煽って、進軍してくることは間違いがないから、結界は張れるだけ張ろう。
シュゼットっ国が、ロザリーヌをめぐって、そんなことを言っているとは、驚きである。
ダディッキー家の使用人を通して、カモミール国とシュゼット国が、戦争になって国境でにらみ合いが続いていると聞かされた時、ロザリーヌはすでに6か月の身重であったのだ。
当然、ロッゲンブロート国は、聖女様が結界を張りに行くことに難色を示す。
ロザリーヌは、そこであることを思いつく。それは、初めてロッゲンブロート国に来たとき、マクシミリアン様から頂いたティアラには、確かに魔法を高める要素があったということを。
カモミールに宝石を売るのだ。その宝石に、ロザリーヌが魔法を仕込み、結界の代わりが出来上がる。
そして、国境付近に長い宝石のネックレス?のようなものを並べると何人たりとも悪意ある者、敵意ある者は、弾き飛ばされ、通れなくなってしまう。
ロッゲンブロート国は、鉱山の国であるから、貴金属は豊富にある。それこそ売るほどあるのである。
宝石だけでなく、宝石を繋ぐ金属にも、ロザリーヌは魔法をかけていく。売価はしめて金貨1億枚(日本円換算で1兆円)安いね。もっと、高くしてもいいだろうか?
支払い能力があるから、売掛金が焦げ付いたら、元も子もない。
使用人を通して、前金で金貨5000万枚を支払わせてから、結界を渡すことにしたのである。
結界は、見事に功を奏して、シュゼット国の兵は、なんびとたりともカモミール国へ入れなくなったのである。
それで諦めればよいものを、シュゼット国は、これだけの結界が張れるのは、カモミールに聖女様がいらっしゃるからだと思い込み、今度は、アダムブッシュ帝国を巻き込んで、聖女奪還を果たそうと企てる。懲りないね。
ロザリーヌとしては、あと1億5000万枚支払ってくれるのなら、いくらでも結界作れるよ。
カモミール国は、背に腹は代えられないから、即金で支払ってくれたのだ。あの男尊女卑の国のスティーヴがロザリーヌを欲しがっているとは、とても想像がつかない。
ついでに、もし今度生まれてくる子供がお世継ぎではなかったとしたら、アダムブッシュ帝国が、国境超えしてロッゲンブロートに攻め入るかもしれないから、全部の国境に豪華な宝石の結界ではなく、原石の結界を張り巡らせたのである。こうすれば、盗難の恐れがない。それに地中に埋め込んでしまえば、原石かどうかもわからない。
原石の結界をしたら、原価は10分の1ぐらいに抑えられたのである。これを知ったら、カモミールの王様、さぞかし怒るだろうな。
ロザリーヌとしては、カモミールが滅ぼうとどうなろうと知ったこっちゃない。だけど、シュゼット国の言い草に腹を立てているのである。それに公爵家の使用人の奥さんからの頼みとあれば、断りにくい。
ロッゲンブロートの結界を張り終えたことは、思わぬ効果をもたらす。小動物が結界内に逃げ込んでくるのである。オオカミに追われたウサギがひとたび、結界内に逃げ込むと、オオカミが入ろうとしても、弾き飛ばされる。
人間にだけ効果があるモノではないということが立証されたのである。
こうして、ロッゲンブロート国の新たな産業として、結界づくりの需要が高まる。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
その頃、アダムブッシュ帝国では、
「シュゼット国め、聖女様に振られたことで、ウチの国を巻き込もうとしているのではないか?」
疑念があって、当然である。
「本当に、カモミール国に聖女様がいらっしゃるかどうかも、疑問である。結界ぐらい、教会の司祭様にでも張れるだろうから、しばらくは、様子見としよう。シュゼットは我が国の軍を当てにしている節がある。他人のふんどしで相撲を取る気だ。」
なかなか懸命な判断です。
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