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第1章
1.婚約破棄
結婚式を1週間後に控えた昼下がりのこと、通りの向こうから婚約者とそのお義父様が歩いてこられるのが見える。
まもなくすると、玄関ドアベルが鳴り響く。
使用人が部屋まで呼びに来るまで待つ。それが淑女のたしなみというもの。
普段着から、余所行きのドレスに着替えて、応接間に入る。
すでに兄上と父上が座っておられ、なんだかよくわからないけど、厳しい顔をしていらっしゃる。
「こんにちは。アーノルド。久しぶりね。」
「ああ。」
「先に、君の父上と兄上に申し伝えたのだが、実はジェニファー嬢とウチの愚息アーノルドの婚約をなかったことにしてもらいたいと思ってな。」
「え!?挙式は、もう来週のことですわよ?今更、招待状も送付した後では、貴賓や要人も、それにわたくしの友人も何人もご招待しているというのに。なぜですか?」
「すまない。ジェニファー、他に愛する人ができたんだ。このまま自分の心を偽って、結婚しても、ジェニファーに対して失礼になるだろ?だから、ジェニファーは、もっといい男と結婚してくれ。」
「そんな……。お相手は誰ですか?」
「それは……、ジェニファーがよく知っている女性だ。」
「だれ?もったいぶらないで、さっさと言ってよ。」
「公爵令嬢のスカーレットだ。君の親友として、紹介してくれただろ?スカーレットと愛し合う関係になってしまったんだ。だから、俺たちの婚約を許して、祝福してくれ。」
「いやよ。なんで、わたくしがそこまでしてあげなきゃいけないのよ?この浮気者が!」
「婚約違約金は、3倍払う。だから、ジェニファーの領地で婚約式をしたい。それがスカーレットの条件なんだ。ジェニファーの領地は風光明媚だろ?できれば、そこで結婚式もしたいけど、それでは、あまりにもひどいからって、優しいスカーレットが気をまわしてくれて、せめて婚約披露だけでも、その場でさせてもらえないだろうか?ちょうど、ジェニファーの方は準備万端だったろ?無駄にするよりは、俺たちのために使ってくれたら嬉しいのだけど。」
「お断りよ。そこでわたくしに恥をかかせたいのでしょ?性悪なスカーレットが考えそうなことよね。」
「スカーレットのことを悪く言うのは、許さない。俺のことはいくら恨んでくれても構わないが、スカーレットは、本当に優しい娘なんだ。あんなに仲良くしてたじゃないか?」
その時、兄上が横から口を挟む。
「返事は後日でも構わないでしょうか?とにかく妹も、すぐに返事が難しい案件だと思いますので、妹が落ち着いたら、きちんとお返事させていただきます。」
「ああ、いい返事を待っている。」
そのまま義父とアーノルドは、背を向けて帰っていく。
「許せない!許せない!こんなこと、許せるわけがない!」
「落ち着け、ジェニファー。で、スカーレットという娘はどういった娘だ?」
「わたくしとは、タイプが違う美形の女の子で、いつも取り巻きは男子ばっかりにチヤホヤされているってとこかな?」
「ほう。我が家の姫とは、タイプが違う美形か?」
ジェニファーは、どちらかと言えば、知的な美人。クールビューティと言った言葉がよく似合う。
対して、スカーレットは、おバカな可愛い子ちゃんタイプ。
アイドルと美人女優の差くらいはある。
「なるほど。ワガママ娘と言ったところか。」
「でも相手は公爵令嬢だぞ?まともに喧嘩して、勝てるとは思えない。」
「ちょっと俺に考えがあるから、この話承諾して良いか?」
「いいわよ。どうせわたくしが恥をかけばいいだけの話ですものね。」
「いや。俺の姫に恥などかかせない!ワガママ娘とアーノルドに一泡吹かせてやろうと思う。」
「わかったわ。お兄様を信じます。……それにしても、腹が立つ!」
「まったくだ。我が家もここまでコケにされるとは、公爵家なら、何をしても許されると、こっちが黙ると思ってのことだろうがな。もうオビンソン家とは絶縁してやる!」
ちなみにジェニファーとアーノルドは、侯爵令嬢と侯爵令息です。
まだ二人が幼かったときに、親同士が勝手に決めた許婚。
まもなくすると、玄関ドアベルが鳴り響く。
使用人が部屋まで呼びに来るまで待つ。それが淑女のたしなみというもの。
普段着から、余所行きのドレスに着替えて、応接間に入る。
すでに兄上と父上が座っておられ、なんだかよくわからないけど、厳しい顔をしていらっしゃる。
「こんにちは。アーノルド。久しぶりね。」
「ああ。」
「先に、君の父上と兄上に申し伝えたのだが、実はジェニファー嬢とウチの愚息アーノルドの婚約をなかったことにしてもらいたいと思ってな。」
「え!?挙式は、もう来週のことですわよ?今更、招待状も送付した後では、貴賓や要人も、それにわたくしの友人も何人もご招待しているというのに。なぜですか?」
「すまない。ジェニファー、他に愛する人ができたんだ。このまま自分の心を偽って、結婚しても、ジェニファーに対して失礼になるだろ?だから、ジェニファーは、もっといい男と結婚してくれ。」
「そんな……。お相手は誰ですか?」
「それは……、ジェニファーがよく知っている女性だ。」
「だれ?もったいぶらないで、さっさと言ってよ。」
「公爵令嬢のスカーレットだ。君の親友として、紹介してくれただろ?スカーレットと愛し合う関係になってしまったんだ。だから、俺たちの婚約を許して、祝福してくれ。」
「いやよ。なんで、わたくしがそこまでしてあげなきゃいけないのよ?この浮気者が!」
「婚約違約金は、3倍払う。だから、ジェニファーの領地で婚約式をしたい。それがスカーレットの条件なんだ。ジェニファーの領地は風光明媚だろ?できれば、そこで結婚式もしたいけど、それでは、あまりにもひどいからって、優しいスカーレットが気をまわしてくれて、せめて婚約披露だけでも、その場でさせてもらえないだろうか?ちょうど、ジェニファーの方は準備万端だったろ?無駄にするよりは、俺たちのために使ってくれたら嬉しいのだけど。」
「お断りよ。そこでわたくしに恥をかかせたいのでしょ?性悪なスカーレットが考えそうなことよね。」
「スカーレットのことを悪く言うのは、許さない。俺のことはいくら恨んでくれても構わないが、スカーレットは、本当に優しい娘なんだ。あんなに仲良くしてたじゃないか?」
その時、兄上が横から口を挟む。
「返事は後日でも構わないでしょうか?とにかく妹も、すぐに返事が難しい案件だと思いますので、妹が落ち着いたら、きちんとお返事させていただきます。」
「ああ、いい返事を待っている。」
そのまま義父とアーノルドは、背を向けて帰っていく。
「許せない!許せない!こんなこと、許せるわけがない!」
「落ち着け、ジェニファー。で、スカーレットという娘はどういった娘だ?」
「わたくしとは、タイプが違う美形の女の子で、いつも取り巻きは男子ばっかりにチヤホヤされているってとこかな?」
「ほう。我が家の姫とは、タイプが違う美形か?」
ジェニファーは、どちらかと言えば、知的な美人。クールビューティと言った言葉がよく似合う。
対して、スカーレットは、おバカな可愛い子ちゃんタイプ。
アイドルと美人女優の差くらいはある。
「なるほど。ワガママ娘と言ったところか。」
「でも相手は公爵令嬢だぞ?まともに喧嘩して、勝てるとは思えない。」
「ちょっと俺に考えがあるから、この話承諾して良いか?」
「いいわよ。どうせわたくしが恥をかけばいいだけの話ですものね。」
「いや。俺の姫に恥などかかせない!ワガママ娘とアーノルドに一泡吹かせてやろうと思う。」
「わかったわ。お兄様を信じます。……それにしても、腹が立つ!」
「まったくだ。我が家もここまでコケにされるとは、公爵家なら、何をしても許されると、こっちが黙ると思ってのことだろうがな。もうオビンソン家とは絶縁してやる!」
ちなみにジェニファーとアーノルドは、侯爵令嬢と侯爵令息です。
まだ二人が幼かったときに、親同士が勝手に決めた許婚。
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